このページの要点
- 請求できないのは、損害賠償・違約金、商品の使用利益、提供済みの役務の対価、入会金などのその他の金銭。反する特約は無効(9条・24条・48条の各8項)。
- 役務に関連して受領した金銭は速やかに返還する。日数は法に定めがなく、独自の日数を法定のように契約へ書かない。引取りや返還の費用は事業者が負担する。
- 特定継続的役務提供では、関連商品の売買契約も解除の対象。購入が必要とされたかは説明内容と役務との関連性で実質的に判断され、関連商品だけの解除はできない。
- 消耗品の例外は、事業者が使わせた場合は使えず、契約書面に商品名と使用・消費で解除できない旨を赤枠の中に赤字で書いていなければ主張できない(規則94条2項・3項)。
結論:クーリング・オフ後の清算は、「請求できないもの」「返すもの」「負担するもの」の三つで決まる
クーリング・オフが成立したあとの清算は、民法の原状回復の考え方に任せられているわけではありません。特定商取引法(以下「特商法」)が、事業者の側にだけ厳しい特別の効果を定めています。講座やスクール、サロンの運営では、この特別の効果を知らないまま、「提供した分は差し引いて返金する」「入会金は返さない」「振込手数料はお客様負担」といった規約や窓口の説明を置いていることがあります。これらは、クーリング・オフが成立する場面では通用しません。
整理の方法は単純です。事業者が請求できないもの(損害賠償・違約金、商品の使用利益、提供済みの役務の対価、その他の金銭)、事業者が返すもの(役務に関連して受領した金銭。入会金などの名目を問いません)、事業者が負担するもの(引渡し済みの商品や権利の引取り・返還の費用)の三つに分けます。そのうえで、これに反する購入者に不利な特約は無効、と覚えておけば、条項や窓口の説明の誤りを見つけやすくなります。
- 請求できないのは、解除に伴う損害賠償・違約金、商品の使用利益、提供済みの役務の対価、入会金などのその他の金銭です。提供済みの回数や期間があっても差し引けません。
- 返すのは、役務に関連して受領した金銭です。法は『速やかに』と定めており、具体的な日数は定めていません。
- 引取りや返送にかかる費用は、事業者が負担します。購入者に負担させる合意は無効です。
- 特定継続的役務提供では、役務の契約をクーリング・オフすると、関連商品の売買契約も解除の対象になります。使用・消費で価値が著しく減る一部の商品だけが例外です。
- クーリング・オフ期間の経過後の中途解約では、提供済みの対価と上限額までは請求できる点が異なります。混同しないようにします(中途解約と上限)。
このページでは、清算の条文、提供済みの役務や入会金の扱い、引取りの費用と使用された商品、関連商品、決済方法ごとの返金の順に整理します。通知を受け取ってから返金までの動き全体は通知を受け取ったときの対応で、分割払いやクレジット払いの場合は分割払い・クレジット払いと割賦販売法で扱います。
条文で見る効果:請求できないものと、事業者が負うもの
クーリング・オフの効果の条文は、訪問販売が9条3項から8項、電話勧誘販売が24条3項から8項、特定継続的役務提供が48条4項から8項です。条文の番号はずれていますが、内容はほぼ並行しています。次の表に並べます。
クーリング・オフの効果の条文(類型別)
| 効果 | 訪問販売 | 電話勧誘販売 | 特定継続的役務提供 | 事業者の側の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 損害賠償・違約金を請求できない | 9条3項 | 24条3項 | 48条4項 | キャンセル料や解約手数料の名目でも請求しない |
| 使用利益、提供済みの役務の対価、その他の金銭を請求できない | 9条5項(商品の使用利益を含む) | 24条5項(同左) | 48条6項(役務の対価その他の金銭) | 提供済みの回数や期間があっても差し引かない |
| 引渡し済みの商品・権利の引取り・返還の費用 | 9条4項(販売業者の負担) | 24条4項(同左) | 48条5項(特定権利・関連商品について) | 返送料や引取りの費用は事業者が負担する |
| 役務に関連して受領した金銭を返還 | 9条6項(速やかに) | 24条6項(速やかに) | 48条7項(速やかに) | 入会金など名目を問わない。日数は法に定めがない |
| 役務に伴う土地・建物等の現状変更の原状回復 | 9条7項(無償で請求できる) | 24条7項(同左) | (規定なし) | 取付工事など現状を変える役務の場合 |
| 購入者に不利な特約は無効 | 9条8項 | 24条8項 | 48条8項 | 規約や書面に置いても効力がない |
9条・24条・48条の項の番号を並べた表です。48条は、関連商品の売買契約の解除にも及びます(48条2項)。条文は2026年10月22日時点の現行版で確認しています。
三つの類型で効果がほぼ並行している理由は、クーリング・オフが「無条件で契約をなかったことにできる」仕組みだからです。ここで事業者が提供済みの対価や違約金を請求できると、購入者は実際には自由に撤回できなくなります。逐条解説は、この点を次のように説明しています。役務の提供を受けたあとにクーリング・オフが行使された場合、民法の原則どおりなら、役務の提供そのものが不当利得となり、受けた人は役務の対価相当額を支払う義務を負うことになる。それでは実質的な保護にならないので、5項の特例を設けた、と。さらに、役務の対価を一切請求できなくなる結果として、クーリング・オフ期間内に行う役務の提供は一般に自粛されることになる、とも述べています。
損害賠償と違約金についての3項も、同じ発想です。債務不履行に基づく損害賠償を請求できないことは当然として、単なる損失補償の意味を持つ損害賠償や違約金も請求できないと、逐条解説は説明しています。したがって、準備のために使った費用、会場や講師を確保した費用、広告で獲得した費用などを、「実損」として請求する運用は成り立ちません。
提供済みの役務、入会金、事務手数料の扱い
講座や会員制のサービスでは、契約後すぐに役務の一部を提供することが多くあります。申込み直後の初回セッション、教材やアクセス権の付与、体験の延長としての最初のレッスンなどです。こうした提供済みの部分をどう扱うかが、クーリング・オフ後の清算でいちばん揉めやすい点です。
結論は条文に書かれています。クーリング・オフが成立したときは、既に役務が提供されていても、役務の対価その他の金銭を請求できません(9条5項、24条5項、48条6項)。「提供済みの回数分は日割りで差し引く」「初回の個別セッションの分だけは請求する」といった整理は、法の想定にありません。そのうえ、この規定に反する購入者に不利な特約は無効です(9条8項、24条8項、48条8項)。
入会金、事務手数料、システム利用料、登録料といった名目の金銭は、「その他の金銭」に当たります。さらに、役務に関連して受領した金銭は、速やかに返還しなければなりません(9条6項、24条6項、48条7項)。この規定が置かれた理由を、逐条解説は次のように説明しています。役務の契約には、解除の効果が将来に向かってしか生じない(遡及しない)性質のものがあり、その場合には、入会金などの名目で既に支払われた金銭は、民法上は当然には返還されないおそれがある。そこで返還義務を明文で定めた、と。事業者の側から見れば、名目が何であれ、受領した金銭は返すと整理しておけば足ります。
書き方の例(一般的な例) 清算の条項と窓口の説明
提供済みの役務
理由既に役務が提供されていても、役務の対価その他の金銭を請求できません(9条5項、24条5項、48条6項)。
入会金・事務手数料
理由役務に関連して受領した金銭は速やかに返還しなければなりません(9条6項、24条6項、48条7項)。特約で排除することはできません。
返金の手数料
理由差し引きを認める条文はなく、購入者に不利な特約は無効です。実務でも、手数料を事業者の負担と書く整理が分かりやすく、紛争を避けられます。
返金の期限
理由法は『速やかに』と定め、具体的な日数を定めていません。逐条解説も日数を想定した規定ではないとしています。独自の日数を契約に書くと、それが上限のように読まれ、遅れたときに説明が難しくなります。
返金額の考え方を、架空の数字で確認します。受講料30万円(うち入会金3万円)を銀行振込で受領した事業者が、3回分のセッションを提供した後に、クーリング・オフの通知を受けたとします。返金額は30万円です。提供済みの3回分を差し引くことはできず、入会金も返還の対象に含まれます。返金のための振込手数料も事業者が負担します。この例の数字は説明のために作ったもので、実際の契約の金額とは無関係です。
ここで、「それでは提供した分の費用が事業者の持ち出しになる」と感じる方もいるでしょう。法は、そのとおり持ち出しになることを前提にしています。クーリング・オフの期間内に役務を提供すれば、成立したときに何も得られないという結果が、期間内の役務提供を自粛させる効果を持つ、というのが逐条解説の説明です。期間内に提供を急ぐ必要が本当にあるかどうか、提供の開始時期を契約の中で設計し直す(たとえば書面の交付後、一定の期間が経過してから開始するなど)ことも、実務では検討されます。
引取り・返送の費用と、使用された商品
教材、機材、キットなどの商品を引き渡している場合は、返還と費用の問題が加わります。クーリング・オフが成立すると、事業者と購入者はそれぞれ原状回復の義務を負い、代金は返還され、商品も返還されるのが原則です。しかし、通常は返還の費用は返還する側が負担するものとされているため、費用がかさむと、クーリング・オフしても代金の一部が相殺されて目減りしてしまうおそれがあります。この結果を避けるために、商品や権利が既に引き渡されているときは、引取りや返還に要する費用は販売業者が負担すると法が定めています(9条4項、24条4項。特定継続的役務提供では48条5項)。
商品が使用されていた場合も、事業者は使用の利益に相当する金銭を請求できません(9条5項、24条5項)。逐条解説は、書面不交付などで起算日が進まない状態が少なくなく、8日を超える期間の使用利益も念頭に置く必要があると説明しています。開封した、使った、傷がついた、という理由で、返金額を減らす運用は組みにくいのです。
電子データの教材や、動画・アクセス権のような、物としては返還できないものは、返還の対象そのものが物理的に存在しません。この場合は、アクセス権の停止やダウンロードしたデータの利用中止を求める整理が見られますが、条文が特別の定めを置いているわけではないため、返金額を減らす理由には使えません。条項では、返還が必要なものと、利用の停止で足りるものを書き分けておくと、通知を受けたときの対応が決めやすくなります。
清算の条項:請求しないこと、返還すること、引取りの費用
- 乙(事業者)は、購入者が前条の規定により本契約の申込みの撤回又は解除を行ったときは、これに伴う損害賠償又は違約金の支払を請求しない。
- 乙は、前項の場合において、既に役務を提供したときであっても、その対価その他の金銭の支払を請求しない。
- 乙は、第1項の場合において、本契約に関連して購入者から受領した金銭(入会金その他名称のいかんを問わない。)を、速やかに返還する。返還に要する振込手数料その他の費用は、乙の負担とする。
- 購入者が本契約に基づき引渡しを受けた商品がある場合において、第1項の撤回又は解除があったときは、その引取り又は返還に要する費用は乙の負担とする。電子データの提供を受けているときは、購入者は乙の指示に従い、その利用を中止する。
論点ごとの条文例です。条文の全体を載せるものではありません。第1項から第4項までの内容を、通知の受付窓口の条項(メール・LINE・フォームでの通知)と同じ箇所に置くと、購入者にも窓口の担当者にも分かりやすくなります。
関連商品:役務のクーリング・オフに連動して解除される商品
特定継続的役務提供では、役務の契約をクーリング・オフすると、その役務を受けるために購入が必要とされた商品の売買契約(関連商品販売契約)も、同じように解除の対象になります(48条2項)。語学教室でいえば教材のセット、エステでいえば施術に使う化粧品や家庭で飲むことが必要とされた健康食品、パソコン教室でいえば機材やソフトが、その典型です。役務だけをクーリング・オフできても、商品の契約が残ってしまっては、購入者の保護にならないというのが、この規定の理由です。
ただし、関連商品は何でも対象になるわけではありません。対象となる商品は、役務ごとに政令(令29条1項、別表第五)で指定されています。次の表に、確認できた範囲で整理します。
役務ごとの関連商品の指定(令29条・別表第五)
| 役務 | 指定されている関連商品 | 使用・消費で解除できなくなる商品(令29条2項) |
|---|---|---|
| エステティック | 人が摂取する動植物の加工品(医薬品を除く)、化粧品・石けん(医薬品を除く)・浴用剤、下着、電気刺激や超音波などで肌を清潔にし美化する器具・装置 | 人が摂取する動植物の加工品、化粧品・石けん・浴用剤 |
| 語学教室・家庭教師・学習塾 | 書籍、音・影像・プログラムを記録した物、ファクシミリ装置・テレビ電話装置 | 指定なし |
| パソコン教室 | 電子計算機・ワードプロセッサーとその部品・附属品、書籍、音・映像・プログラムを記録した物 | 指定なし |
| 結婚相手紹介 | 真珠・貴石・半貴石、指輪その他の装身具 | 指定なし |
美容医療にも関連商品の指定があります(別表第五第二号)。ここでは触れていません。条文は2026年10月22日時点の現行版で確認しています。
表の右列の商品が、いわゆる消耗品です。これらは、使用または消費してしまうと価値が著しく減るおそれがあるため、購入者が使用・消費した場合はクーリング・オフの対象から外れます(48条2項ただし書)。しかし、この例外には限定が多く、使い方を誤ると、事業者が消耗品の例外を主張できないことになります。逐条解説と規則の定めから、整理できる点は次のとおりです。
- 事業者が使わせた場合は例外の対象外です。店頭でその場で試させる、施術の中で使用するなど、事業者が購入者に使用・消費させた商品は、期間内であればクーリング・オフの対象に戻ります(48条2項ただし書のかっこ書)。
- 契約書面に所定の記載がなければ、例外は使えません。消耗品を使用・消費したら解除できないこととする場合は、契約書面に商品の名称と、使用・消費したら解除できない旨を、赤枠の中に赤字で記載する必要があります(規則94条2項・3項)。『クーリング・オフできる』とだけ書いてあって、この記載がない書面では、消耗品も期間内は解除できると逐条解説は説明しています。
- 密封を開けたかどうかが目安です。包装を破いただけで、容易に包装し直せる商品は、使用・消費にならないとされます。密封されていること自体に意味のある商品を開けた場合は、使用・消費にあたるとされます。
- セット商品は最小単位で判断します。通常販売されている商品の最小単位ごとに判断し、クーリング・オフできない部分の価格は、ばら売りの通常価格で考えます。
- 下着は消耗品に指定されていません。着用されていても、クーリング・オフ期間内は無条件で引取りに応じるという整理が、消費者庁のQ&Aに示されています。
関連商品にあたるかどうかの判断も、重要です。条文は「購入する必要のある商品」と書いています。逐条解説は、役務提供事業者が販売する(代理や媒介を含む)商品で、購入しないと役務の提供を受けられないものを指すと説明し、必ずしも購入する必要のないいわゆる「推奨品」は含まれないとします。判断は、まず商品の販売時に購入が必要だと説明されているか、説明がない場合は商品と役務との関連性(一体性)から実質的に行うとされています。たとえば、「購入は任意」と説明していても、実際には購入していなければ役務の価値がなくなるような学習用ソフトなら、関連商品にあたると考えられます。
この判断を、販売の呼び方だけで済ませると失敗します。「定期購入の商品」「通信販売の商品」と呼んでいても、役務を受けるために購入が必要とされているなら、関連商品にあたります。消費者庁が2026年1月30日に公表した特定継続的役務提供の処分では、体型を整える施術の契約に付随して売られた定期購入の商品について、役務の契約をクーリング・オフ等すれば商品の契約も解除できるのに、契約の勧誘の際に、商品の契約はクーリング・オフができないこと、定期購入は通信販売なので契約回数が終わるまで解約できないことを告げた行為が、解除に関する不実告知にあたるとされました(44条1項)。商品の側の呼称が、解除の可否を決めるわけではないのです。
もう一つの注意点は、関連商品「だけ」のクーリング・オフはできないことです。関連商品のクーリング・オフは、役務の契約がクーリング・オフされた場合に限って認められます(消費者庁Q&A)。関連商品を第三者が販売する場合も、事業者がその第三者との売買を代理したり、特定の業者から買うべきことを指定して取り持ったり(媒介)している場合は、対象に含まれます。書店名を紹介しただけのような場合は、含まれません。関連商品の具体的な扱いは、業種ごとの記事に詳しく書かれています(エステの関連商品と物販、月謝・入塾金・教材費・講習費)。結婚相手紹介の場合は結婚相談所のクーリング・オフと中途解約を参照してください。
確かめる問いと理由ヒヤリングで確かめること
役務と一緒に売る商品はありますか。購入は役務を受ける条件ですか。
条件であれば関連商品として、役務のクーリング・オフに連動して解除の対象になります。説明の内容と、商品がないと役務の価値がなくなるかで実質的に判断するため、販売時の説明の文面も確認します。
その商品は、役務ごとの指定(令別表第五)に入っていますか。
指定外の商品は、関連商品としてのクーリング・オフの対象になりません。指定外でも、通信販売としての返品の問題は別に残ります(通信販売と返品特約)。
商品に、使用・消費で価値が著しく減る消耗品が含まれていますか。
含まれているときは、契約書面に商品名と、使用・消費したら解除できない旨を赤枠の中に赤字で記載していないと、例外を使えません。書面の現物を確認します。
教材やデータは、物として引き渡しますか、電子データですか。
物であれば引取りの費用の負担、電子データであれば利用の停止という整理になります。条項の書き分けのために必要です。
代金は、どの手段で受領していますか。
返金の方法、返金に必要な手続、決済会社の手数料の扱いは、決済手段ごとに違います。次の節の確認項目と合わせて確かめます。
決済方法ごとの返金:銀行振込、カード決済、決済代行
返金の義務は法が定めていますが、返金の手段は、受領した手段によって変わります。実務では、支払に使われた手段で返す整理が分かりやすく、紛争になりにくいと考えられます。手段を変える場合は、購入者の確認を取ってから行います。
決済手段ごとの返金の考え方
| 決済手段 | 返金の考え方 | 事前に確かめること |
|---|---|---|
| 銀行振込・現金 | 受領した金額を、購入者が指定する口座に振り込む。振込手数料は事業者が負担する。 | 返金先の口座の確認方法、名義の確認、受領した金額の内訳 |
| クレジットカード(一括払い) | カード会社の手続で請求の取消しまたは返金を行う。 | 取消し処理を行う担当、カード会社や決済代行会社への連絡の手順、処理に要する期間 |
| 決済代行サービス | 代行会社の返金の機能や手順に従う。 | 返金できる期間の制限、返金時に決済手数料が戻るか、購入者が代行会社に直接問い合わせる必要があるか |
| 分割払い・提携ローン・個別クレジット | 契約の形によって、事業者の側の手続と信販会社の手続が分かれる。 | 割賦販売法の整理が必要(分割払い・クレジット払いと割賦販売法のページで扱う) |
返金の期間は、法は『速やかに』と定めるのみで、日数は定めていません。決済会社側の処理に日数がかかる場合は、その見込みを購入者に伝えます。
返金の時期については、逐条解説が補足しています。「速やかに」は時間的な即時性を表したもので、具体的な日数を想定した規定ではない。しかし、履行の遅延が続くと、債務の履行を拒否し、または不当に遅延させる行為にあたり、主務大臣による指示や業務停止命令の対象になる、という説明です(訪問販売の場合は7条1項1号、8条。電話勧誘販売は22条1項1号、23条。特定継続的役務提供は46条1項1号、47条)。返金が遅れるのは、決済会社の処理待ちや口座の確認待ちのことが多いため、遅れる理由と見込みを購入者に連絡する運用が必要です。
決済会社の返金の手順や制約は、事業者が事前に把握しておくことが前提になります。決済代行会社によっては、返金が可能な期間に制限があったり、返金しても手数料が戻らない取扱いだったりすることがあります。クーリング・オフの通知を受けてから調べるのでは遅いため、導入の段階で、返金の手順を決済会社に確認し、社内の手順書に落としておきます。返金に関する規約や表示の整え方は、返金の手続・期限・控除できる費用の決め方でも扱っています。回数券や月謝の返金は回数券・月謝・入会金の返金ルールが参考になります。
起きがちなこと
クーリング・オフ後の清算で起きがちなこと
- クーリング・オフが成立したのに、提供済みの回数分や、初回セッションの分を差し引いて返金し、不足分を巡って揉める。
- 入会金や事務手数料を『返金不可』と規約に定めたまま、クーリング・オフの場面でも適用している。
- 返送料や引取りの費用を購入者に負担させ、結果として代金の一部が目減りする。
- 関連商品を『通信販売の別契約』と整理して、役務のクーリング・オフに連動する解除の対象から外してしまう。
- 契約書面に消耗品の例外の記載がないのに、商品を使用した事実を理由に、解除を断る。
- 事業者が施術の中で使わせた商品を、購入者が消費したものとして扱う。
- 返金の日数を独自に契約へ書き、決済会社の処理が遅れたときに説明がつかなくなる。
- 決済代行の返金手順を導入時に確認しておらず、通知を受けてから返金の手段を探す。
この記事の出典
- e-Gov法令検索:特定商取引に関する法律(9条、24条、48条、7条、8条、22条、23条、46条、47条)、同法施行令(29条、別表第五)、同法施行規則(94条)(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」逐条解説(訪問販売、特定継続的役務提供)、Q&A「特定継続的役務提供」Q9・Q12(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁が2026年1月30日に公表した特定継続的役務提供の行政処分(公表資料。確認日:2026年10月22日)
よくあるご質問
クーリング・オフされたあとで、すでに提供した講座の回数分を請求できますか。
請求できません。クーリング・オフが成立したときは、既に役務が提供されていても、役務の対価その他の金銭を請求できないと定められています(訪問販売9条5項、電話勧誘販売24条5項、特定継続的役務提供48条6項)。損害賠償や違約金も請求できません。クーリング・オフ期間の経過後の中途解約とは異なります(確認日:2026年10月22日)。
入会金や事務手数料は、返金しなくてよいですか。
返金が必要です。役務に関連して受領した金銭は、入会金などの名目にかかわらず、速やかに返還しなければなりません(9条6項、24条6項、48条7項)。入会金や事務手数料を返金しないと定める規約や書面の特約は、購入者に不利な特約として無効です(確認日:2026年10月22日)。
渡した教材を開封・使用されていても、返金しなければなりませんか。
訪問販売と電話勧誘販売では、商品が使用されていても、使用の利益に相当する金銭を請求できません。特定継続的役務提供の関連商品では、化粧品などの消耗品を使用・消費したときは例外になりますが、契約書面に所定の記載があることや、事業者が使わせたものでないことが条件です(確認日:2026年10月22日、令29条2項、規則94条2項、逐条解説)。
返金の期限は、何日以内ですか。
法は『速やかに』と定めていて、日数は定めていません。消費者庁の逐条解説も、具体的な日数を想定した規定ではないと説明しています。履行の遅延が続くと、指示や業務停止命令の対象になることがあるため、遅れる場合は理由と見込みを購入者に連絡します(確認日:2026年10月22日)。
関連商品だけをクーリング・オフしたいと言われたら、応じる必要がありますか。
特定継続的役務提供の関連商品のクーリング・オフは、役務の契約がクーリング・オフされた場合に限って認められます。関連商品だけの申出は、この制度の対象になりません。ただし、通信販売としての返品の定めや、契約の個別の事情による取扱いは別に検討します(確認日:2026年10月22日、消費者庁Q&A Q9)。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月22日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所