このページの要点
- 通話の形式は問われない。事業者が会議URLを送る、架電する、通話を要請して契約を勧めるなら、電話勧誘販売に当たりうる。
- 勧誘は通話、申込みはフォームでも範囲に入る(施行規則2条の「郵便等」)。申込み画面の外形だけで通信販売とは決まらない。
- お客様が通話を求めた場合の除外は、契約のための請求に限る。相談・問合せの依頼では足りず、除外でも16条・17条・20条は残る。
- 導線を「フォームだけで完結する型」と「通話で勧める型」に分け、後者は予約の案内、冒頭の告知、法定書面、クーリング・オフを整える。
結論:事業者の働きかけで始まる通話やWeb会議で契約を勧めるなら、電話勧誘販売に当たりうる
無料の個別相談、オンライン面談、LINEの通話。講座やコーチングの販売で、申込みの前に通話やWeb会議の場面を置く事業者は多く、「申込みはフォームだから通信販売でよいのか」「Zoomは電話ではないから電話勧誘販売には当たらないのでは」という質問がよく出ます。結論から言うと、どちらも根拠のある整理ではありません。
消費者庁の逐条解説は、特商法2条3項の「電話をかけ」を、電話により通話状態に入ろうとすることと説明し、インターネット回線を使って通話する形式は、映像を伴う場合も含めて「電話」に当たるとしています。事業者がWeb会議を設定して会議用のURLを送り、お客様の反応を待っているような場合は、URLを送った行為が通常「電話をかけ」に当たると考えられる、というのが同じ解説の説明です。申込みの側も、施行規則2条の「郵便等」に情報処理の用に供する機器を利用する方法が含まれるため、フォームやメールでの申込みは範囲に入ります。
ただし、通話を伴えば何でも電話勧誘販売になるわけではありません。通話の中で契約の勧誘をするのか、通話が事業者の働きかけで始まったのか、お客様が契約のために通話を求めたのかを、一つずつ確かめる必要があります。このページでは、その見分け方と、通話で勧める導線に必要な整備を整理します。
- 事業者が通話やWeb会議を設定し(架電、会議URLの送付、通話の要請)、その通話で契約を勧めるなら、電話勧誘販売に当たりうる。通話の形式(電話、通話アプリ、Web会議)は問われない。
- 勧誘は通話、申込みはフォーム、という流れも範囲に入る。申込み画面が通信販売の外形をしていても、類型は勧誘から申込みまでの流れで判定する。
- お客様が通話を求めた場合の除外(26条7項1号)は、契約の申込みや締結のために求めた場合に限る。相談や問合せのための依頼では足りない。
- 除外に当たる場合でも、通話冒頭の氏名等の告知(16条)、断られた後の再勧誘の禁止(17条)、承諾等の通知(20条)は適用される。
- 導線は「フォームだけで完結する型」と「通話で勧める型」に分けて整備する。後者は冒頭の告知、法定書面、クーリング・オフを整える。
取引類型全体の判定の順番は取引の見分け方に、通話の冒頭の告知と再勧誘の禁止の詳細は勧誘前の明示と再勧誘の禁止に置きます。このページは、通話を使う導線が電話勧誘販売に当たるかの判定に絞ります。
電話勧誘販売の定義を、三つの要素に分けて読む
特商法2条3項の電話勧誘販売の定義は一文が長く、読み違えやすい条文です。三つの要素に分けると、通話を使う導線のどこを確かめればよいかが見えてきます。
電話勧誘販売の三つの要素
| 要素 | 条文の言葉 | 読み方 |
|---|---|---|
| 通話の始まり | 電話をかけ、または政令で定める方法により電話をかけさせ | 事業者が通話状態に入ろうとする(架電、会議URLの送付)か、施行令2条の方法で通話を要請してかけさせる。インターネット通話(映像つきを含む)も電話。録音音声・人工音声による通話も含む |
| 通話での勧誘 | その電話において行う契約の締結についての勧誘 | 勧誘とは、お客様の契約締結の意思の形成に影響を与える行為。「購入しませんか」と勧める場合のほか、購入した場合の便利さを強調するなど、客観的に購入意思の形成に影響を与える行為も含む |
| 勧誘による申込み | 勧誘により、申込みを郵便等で受け、または契約を郵便等で結ぶ | 申込みが通話での勧誘に起因していること。郵便等には、フォームやメールなど情報処理機器を使う方法が含まれる(施行規則2条) |
要素の読み方は、消費者庁「特定商取引に関する法律の解説」(2条3項の解説)の説明の要旨です。
三つ目の「勧誘による申込み」には、時間の幅の問題があります。逐条解説は、どのくらいの期間が過ぎれば「勧誘により」に当たらなくなるかは、勧誘の威迫性、しつこさ、通話の内容などで異なり、日数で一概に決められないとしたうえで、事業者から最後に通話があってから1か月以上たってからお客様が申し込んだようなケースは、該当しない場合が多いと考えられるとしています。通話の翌日にフォームから申し込まれた場合と、数か月後に別の広告を見て申し込まれた場合を同じに扱わない、ということです。
通信販売との境目は、条文の作りで決まります。特商法2条2項は、通信販売を「電話勧誘販売に該当しないもの」と定義しています。電話勧誘販売の三つの要素が満たされれば、申込みがフォームでも、通信販売の側に入る余地はありません。反対に、新聞や雑誌に載せた通信販売の広告を見て、お客様が自分から電話をかけて注文し、その電話で広告に載せた商品の契約について勧誘があっても、電話勧誘販売には当たらず通信販売になる、というのが同じ解説の説明です。
消費者庁のQ&Aも、同じ見方を示しています。通信販売の広告に「電話で定期購入の案内を行います」といった注記があるだけで、価格や解除に関する事項など通信販売の広告に必要な表示がない場合は、その後の電話での勧誘は通信販売ではなく、電話勧誘販売の規制対象になる、という趣旨の回答です。判断の視点とされているのは、お客様が予期していない勧誘を不意打ち的に受けるかどうかです。無料相談の予約ページに「個別相談」とだけ書き、通話の中で初めて講座の契約を勧める導線は、この視点から点検されることになります。
通話を「かけさせた」場合:施行令2条が定める二つの方法
電話勧誘販売は、事業者から電話をかけるものが基本ですが、お客様から電話をかけてきた場合でも、事業者が政令の方法で電話をかけさせたのであれば、電話勧誘販売に当たります。お客様が自発的に購入の意思を固めたうえで電話をかけたとはいえず、通話を始めた時点では予期していない勧誘を不意打ち的に受ける点で、事業者から架電する場合と差がない、というのが逐条解説の説明です。施行令2条は、方法を二つ定めています。
電話をかけさせる二つの方法(施行令2条)
| 方法 | 内容 | 実務で気をつける場面 |
|---|---|---|
| 1号:勧誘目的を告げない要請 | 契約の勧誘が目的であることを告げないまま、電話をかけるよう要請する。要請の手段は、電話・郵便・FAX・電磁的方法(SMS、電子メール、SNSのメッセージ等)、ビラ、新聞・雑誌、放送、ウェブページ等 | 予約ページや案内メッセージに、通話の目的が「お悩みの整理」「ご案内」「使い方の説明」とだけ書かれ、実際には講座の契約を勧める |
| 2号:著しく有利な条件の告知 | 他の人に比べて著しく有利な条件で契約できると告げて、電話をかけることを要請する(その要請の日の前に、その事業で取引のあった人への要請を除く) | 「あなただけ特別価格」「抽選に当たったので特別に」といった案内で通話を要請する |
電磁的方法の範囲は施行規則3条が定めています(電話番号宛のメッセージ、電子メール、受信者を特定して情報を伝える電気通信)。
1号の「勧誘をするためのものであることを告げ」について、逐条解説は、何らかの勧誘であることを告げるだけでは足りず、具体的に電話で勧誘することが予定される商品や役務の種類、契約の内容なども告げる必要があるという考え方を示しています。例として挙げられているのは、「先日購入したマニュアルの使い方について説明するので、電話かSNSの通話機能で連絡ください」といったメッセージを送るケースです。勧誘が目的であることを告げずに通話を要請するものの典型とされています。また、何らかの商品の販売意図は告げていても、本来売ろうとしている商品や役務、契約の内容を告げずに通話させるケースも、この号に当たるとされています。
この考え方を、講座やコーチングの導線に引き直してみます。LPや広告から誘導する個別相談の予約ページが、通話の目的を「お悩みのヒヤリング」「活用方法のご案内」とだけ書き、実際の通話では講座の契約を勧めるとします。予約を促すウェブページが「勧誘をするためのものであることを告げずに」通話を要請していると評価される余地があります。反対に、予約ページの段階で、通話は講座の契約を案内するためのものであること、案内する講座の種類を明記していれば、この号に当たる可能性は小さくなります。もっとも、1号に当たらなければ電話勧誘販売でなくなる、というわけではありません。事業者が自ら通話を設定する場合には、「電話をかけ」の側で電話勧誘販売に当たるからです。
無料体験の案内の書き方については、エステの体験を例にした体験コースと勧誘のルールや、コーチングの体験セッションを扱った体験セッションの定め方に、業種の事情が整理されています。
お客様が通話を求めた場合の除外:26条7項1号と施行令19条
特商法26条7項1号は、契約の申込みをし、または契約を締結するために電話をかけることを請求した人に対して行う電話勧誘販売には、18条(申込みの内容の書面)、19条(契約内容の書面)、21条から25条まで(禁止行為、指示・業務停止、クーリング・オフ、取消し、損害賠償額の制限など)の規定を適用しない、としています。予約フォームからお客様が通話を申し込んだのだから、お客様が電話を請求した場合に当たるのでは、と考える事業者は少なくありません。この除外は、狭く読む必要があります。
- 請求の目的:除外されるのは、契約の申込みや締結をするために請求した場合に限られます。逐条解説は、商品内容を聞きたいから電話してほしい、という依頼だけでは契約を結ぶ意思があるとまではいえず、説明を聞くために請求するのが通常だと説明しています。「○○を購入したいので電話されたい」と契約の意思を明確に示した場合や、平常の取引関係から客観的に購入の意思が明らかな場合に限られる、という趣旨です。
- 消費者庁のQ&Aの例:購入済みの情報商材の使い方を相談するつもりで、SNSでWeb会議を依頼した人に対し、会議の途中から別の商品を勧めた事例について、お客様が通話を依頼した段階では、せいぜい購入済みの商品の使い方を相談する意思しかなく、別の商品の契約の申込みや締結の意思はなかったことは明らかだと述べています。
- 勧誘目的を隠した誘引:外形上は契約のために請求したように見えても、施行令19条の行為(契約の勧誘が目的であることを告げないまま、電話をかけることを請求させる行為)で請求させたといえるときは、除外の対象になりません。逐条解説は、主たる商品の販売意図を隠して安価な別の商品で誘い、その契約をしたいと思ったお客様に通話を請求させたうえで主たる商品を勧める場合などを例に挙げています。
- 「また後で電話してくれ」:事業者の架電に対して、お客様が「後でまた電話してほしい」と述べただけでは、契約のために電話を請求したことになりません。
除外に当たる場合でも、残る規定があります。逐条解説は、16条(氏名等の明示)、17条(契約を締結しない旨の意思を表示した人への勧誘の禁止)、20条(承諾等の通知)は、この除外の場合にも適用されると説明しています。つまり、お客様が契約のために通話を求めたといえる場合でも、通話の冒頭に事業者の名称などを告げること、断られた後に勧誘を重ねないことは、事業者の側に残ります。
もう一つ、26条7項2号と施行令20条の除外があります。継続的取引関係にある顧客(勧誘の日の前1年間に、その事業に関して2以上の取引があった人。法違反のあった取引などは数えない)に対して電話をかけ、その電話で勧誘して申込みを受ける取引は、電話勧誘販売の規定の一部の適用から外れます。受講生に追加の講座を通話で案内するときに、この除外の要件を満たしているかは、取引の回数、時期、過去の取引に法違反がなかったかを、条文の文言で確かめる必要があります。要件は細かく、新規の受講生に初めて講座を案内する場面には使えません。
導線の判定:フォームだけで完結する型と、通話で勧める型
ここまでの要素を、事業者の導線に当てはめる順番に整理します。問いは上から順に答えてください。
通話を使う導線が電話勧誘販売に当たるかの判定
- 1
申込みの前に、通話やWeb会議での説明・相談の場面があるか
はい次の問いへ
いいえ通話がなければ、電話勧誘販売の問題ではありません。フォームだけで完結する通信販売として、広告と申込み画面の表示、返品・解約の定めを整えます(通信販売と返品特約)
- 2
その通話で、講座などの契約を勧める働きかけ(購入意思の形成に影響を与える説明)をするか
はい次の問いへ
いいえ申込み後のサポートだけなど、勧誘がない通話は電話勧誘販売の「勧誘」の要素を欠きます。ただし通話の実際の内容で判断されます
- 3
通話は、事業者の働きかけで始まったか(事業者の架電、会議URLの送付、通話の要請)
はい電話勧誘販売に当たる。冒頭の告知、法定書面、クーリング・オフ(8日)を整える
いいえ次の問いへ
- 4
お客様が、契約の申込みや締結のために通話を明確に請求したといえるか。勧誘目的を告げない誘引の結果ではないか
はい26条7項1号の除外に当たる可能性がある。ただし16条・17条・20条は適用される
いいえ電話勧誘販売として整備する
「はい」の欄は、その問いが成り立つときの結論または次の動きです。事実が一部しか分からないときは、分からない点を書き出して確かめます。
判定を具体的な場面にして、見立てと理由を並べます。実際の導線は、場面の組み合わせで成り立っています。
場面ごとの見立て
| 場面 | 見立て | 理由 |
|---|---|---|
| LPの「個別相談」から予約が入り、事業者が会議URLを送る。通話で講座契約を勧め、後でフォームから申込み | 電話勧誘販売になりうる | URLの送付が「電話をかけ」に当たりうる。通話で勧誘し、申込みはフォームで受けても郵便等に含まれる |
| お客様が「この講座を申し込みたいので、手続の説明の通話をお願いします」とフォームに書いて依頼 | 除外に当たる可能性 | 契約のために通話を請求したといえる。ただし、勧誘目的を隠した誘引の結果でないかを確かめる |
| お客様が「内容を聞きたいので、通話で説明してほしい」と依頼 | 除外にならない可能性が高い | 問合せ・相談のための依頼では、契約のための請求にならない(逐条解説) |
| 購入済みの教材について、SNSで「使い方を説明します」と連絡して通話を設定し、通話で別の講座を勧める | 電話勧誘販売 | 勧誘目的を告げずに通話を要請する例(施行令2条1号)と同種 |
| 受講中の人へのフォロー面談で、上位講座を勧める | 電話勧誘販売になりうる | 既存の受講生でも勧誘は勧誘。継続的取引関係にある顧客の除外(施行令20条)は要件が細かい |
| 広告の記載を見て、お客様が自分から電話して注文した。広告に載せた講座の契約だけを通話で確認 | 通信販売 | 広告に必要な事項が表示され、広告にない契約の勧誘がなければ、通話の存在だけで電話勧誘販売にならない |
公表された処分と相談の動向
通話アプリを使った導線は、すでに行政処分の対象になっています。消費者庁が2025年1月23日に公表した処分では、電話勧誘販売の事業者に対して3か月の業務停止命令と指示が行われ、代表者への業務禁止命令(3か月)も行われました。公表された処分の概要によると、事業者はSNSの投稿に興味を持った人にメッセージアプリのIDを登録させ、通話リクエストの機能で電話をかけ、その通話で商品と役務の契約を勧め、情報処理の用に供する機器で契約を結ばせていました。消費者庁は、この取引を電話勧誘販売に当たると認定し、違反行為として、勧誘に先立つ事業者名の不明示(16条)、契約内容を明らかにする書面の不交付(19条1項)、クーリング・オフを妨げる不実の告知(21条1項)を挙げています。SNSからの誘導、通話アプリ、フォームやチェックボックスでの契約という組み合わせが、そのまま電話勧誘販売の枠で判断された例です。個々の事業者名は省いています。
相談の面でも、同じ傾向が国民生活センターから示されています。2026年9月16日公表の「ビジネス講座のトラブルにご注意」は、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座の相談が増えていること、以前はSNS広告をきっかけにした通信販売の相談が多かったが、近年はWeb会議サービスなどで勧誘を受けて契約したケースが見られ、電話勧誘販売に当たる場合があることを指摘しています。年度別の相談件数は、2020年度の1,169件から2025年度の3,551件へ増え、「ビジネス講座の勧誘があることを知らされないままWeb会議に接続した」という事例も挙げられています。これらは消費者向けの注意喚起ですが、事業者の側からは、通話の目的を事前に伝えているかが問われやすい場面だと読めます。
通話で勧める型に必要な整備:予約の案内、冒頭の告知、書面とクーリング・オフ
通話で勧める導線を持つなら、電話勧誘販売として整備します。時系列で、通話の前、通話の冒頭、通話のあとに分けて項目を並べます。
通話の前:予約ページで目的を伝える
予約ページでは、通話が講座の契約を案内するためのものであることと、案内する講座の種類を、お客様が予約する前に分かるように書きます。次の条文例は、予約ページや予約確認メールに置く案内文の構成の一例です。
個別相談の予約ページに置く案内
- 本個別相談は、当社の○○講座(受講期間○か月、受講料○円(税込))の内容をご説明し、お申込みをご案内するためのものです。
- 個別相談では、冒頭に、当社の名称と担当者の氏名をお伝えします。
- ご説明をお聞きいただいたうえで、お申込みをお断りいただくことができます。お断りいただいた場合に、当社から契約のご案内を重ねてお送りすることはありません。
予約ページの案内は、通話の目的を事前に伝える趣旨です。案内を付けたことで電話勧誘販売でなくなるわけではなく、通話の冒頭の告知と、通話後の法定書面は別に必要です。金額や期間は、実際の契約の内容に合わせて具体的に書きます。
通話の冒頭:16条が求める告知
特商法16条は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、相手方に対し、事業者の氏名または名称、勧誘を行う者の氏名、商品や役務の種類、その電話が契約を勧めるための電話であることを、あらかじめ告げなければならないと定めています。逐条解説は、事業者から電話をかける場合は、通常は相手方が電話に出たら開口一番に告げなければならず、知人を装って長々と世間話をしたり、アンケートと称して会話に引き込んだりしてから勧誘することは違反になると説明しています。氏名または名称は、個人事業者なら戸籍上の氏名か商業登記簿に記載された商号、法人なら登記簿上の名称であり、架空の名称や通称では足りないとされます。勧誘を外部の代行業者に委託している場合も、告げるのは販売業者の名称です。
通話の冒頭で告げる項目(台本ではなく項目)
- 事業者の氏名または名称(個人事業者は戸籍上の氏名または登記された商号、法人は登記簿上の名称)
- 勧誘を行う担当者の氏名
- 勧誘する商品・権利・役務の種類(たとえば、特定の講座やコース)
- この通話が、契約を勧めるためのものであること
- 以上を、近況の質問や雑談の前の、通話の最初に告げる
Web会議の場合は、画面に事業者の名称と担当者の氏名を表示するだけでなく、音声やチャットでも最初に伝える形にしておくと、告げたことを示しやすくなります。通話の開始時刻、設定した者、冒頭の告知を行った担当者を、記録に残します(チェックリストと記録の残し方)。
通話のあと:書面とクーリング・オフ
電話勧誘販売では、申込みを受けたときは申込みの内容を記載した書面(18条)、契約を結んだときは契約の内容を明らかにする書面(19条)を、遅滞なく交付します。書面にはクーリング・オフに関する事項を記載し、赤枠の中に赤字で書きます。クーリング・オフは、書面を受け取った日から8日以内にできます(24条1項)。書面の記載事項は契約書面・概要書面、赤枠の書き方は赤枠の書き方、メールなどで交付するときの承諾の取り方は書面の電子交付に整理しています。申込みフォームの規約にチェックを入れて進めば契約が成立するという形だけでは、書面の交付にはなりません。上の処分の事例でも、規約へのチェックだけで契約が進み、書面が交付されていなかったことが違反行為として挙げられています。
講座の契約書面の赤枠については、オンライン講座の電話勧誘販売を例にした電話勧誘販売の契約書面とクーリング・オフの赤枠に、書面の項目が整理されています。無料のZoom個別相談や無料セミナーの運用上の注意はZoom個別相談と電話勧誘販売が、高額なカウンセリングやコーチング契約の場面は高額カウンセリング契約とクーリング・オフが、それぞれの業種の事情に沿って扱っています。
よくある失敗と直し方、ヒヤリングで確かめること
書き方の例(一般的な例) 電話勧誘販売の判定と整備
通話ツールの認識
理由インターネット回線の通話は、映像つきでも「電話」に当たるというのが消費者庁の解説の考え方です。会議用URLを送る行為が「電話をかけ」に当たりうるとされています
予約導線の評価
理由除外は、契約の申込みや締結のために請求した場合に限られます。「予約の導線を工夫すれば電話勧誘販売を避けられる」と言い切ることはできません
申込みの方法
理由施行規則2条の郵便等には、情報処理の用に供する機器を利用する方法が含まれます
通話の開始
理由16条の告知は勧誘に先立って行うもので、通常は開口一番に告げる必要があるとされています
契約の成立
理由18条・19条の書面の交付義務は、チェックボックスでは満たされません。書面が交付されなければ、クーリング・オフの期間も始まりません
確かめる問いと理由通話を使う導線を確かめる問い
通話やWeb会議は、誰が設定しているか(事業者の架電、会議URLの送付、お客様からの予約)
「電話をかけ」「かけさせ」の別を決める出発点です。予約の画面を作ったのが事業者でも、予約の実際の経緯を事実で確かめます。
予約ページや案内メッセージに、通話の目的と案内する講座の種類をどう書いているか。画面と文面の現物はあるか
施行令2条1号の「勧誘をするためのものであることを告げ」たかを、現物で確かめます。「お悩みの整理」などとだけ書かれていないかを見ます。
通話の中で契約を勧めるか。勧めるなら、どの場面(冒頭、中盤、終盤)で、誰が行うか
勧誘の有無は通話の実際の内容で決まります。目的を相談に限っていても、購入意思に影響を与える説明が入れば勧誘です。
お客様が通話を求めたとき、契約のために求めたことを示す記録(依頼文、申込みのメッセージ)はあるか
26条7項1号の除外は、契約のための請求に限られます。依頼の文面や経緯が残っているかが分かれ目です。
通話の冒頭で、事業者の名称・担当者の氏名・講座の種類・契約を勧める目的をどう伝えているか
16条の告知は、最初に告げる必要があります。担当者ごとにやり方が違っていないかを確かめます。
申込みの方法と、書面の交付方法・時期は何か。通話から申込みまでの日数はどのくらいか
申込みが勧誘に起因しているか、書面を遅滞なく交付しているかを確認します。
答えは導線ごとに書き分け、通話の担当者が複数いる場合は、担当者ごとの運用の違いも書き出します。
起きがちなこと:通話の目的が曖昧なまま、通信販売の前提で運用する
通話を使う導線で起きがちなこと
- 予約ページに「無料個別相談」とだけ書き、通話の中で初めて講座の契約を勧めている。
- 申込みがフォームであることを理由に通信販売と整理し、通話の冒頭の告知や法定書面を用意していない。
- お客様が予約したことを理由に、お客様が通話を請求した場合に当たると整理している。相談目的の予約と、契約のための請求を区別していない。
- 担当者ごとに通話の始め方が違い、事業者名や契約を勧める目的を冒頭で告げていない担当者がいる。
- 契約の申込みを、規約へのチェックだけで受け付け、書面の交付やクーリング・オフの記載を省いている。
- 断られたあとに、メッセージで講座の案内を続けている(17条)。
通話を使う導線は、広告から申込みまでの流れの中で、通話の目的の伝え方、冒頭の告知、書面の交付という三つが連続して整っていることが前提になります。一つでも欠けると、行政処分の公表事例にあるような、告知なし・書面なし・解約の妨害という組み合わせに近づきます。勧誘そのものの規制は勧誘前の明示と再勧誘の禁止で、不当な解約の妨げはクーリング・オフの妨害と期間の延長で扱います。
この記事の出典
- e-Gov法令検索:特定商取引に関する法律2条・16条・17条・18条・19条・20条・24条・26条、同施行令2条・19条・20条、同施行規則2条・3条(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「特定商取引に関する法律の解説」第2条・第16条・第26条の解説(特定商取引法ガイド掲載、確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」電話勧誘販売の解釈に関するQ&A(https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/telemarketing.html)(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「電話勧誘販売業者に対する行政処分について」(2025年1月23日公表)(https://www.caa.go.jp/notice/entry/040837/)(確認日:2026年10月22日)
- 国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意―広告・勧誘と実際の講座内容が異なる、Web会議での思わぬ勧誘に気をつけましょう―」(2026年9月16日公表)(https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_3.html)(確認日:2026年10月22日)
よくあるご質問
Zoomなどのオンライン会議は、電話勧誘販売の「電話」に当たりますか。
消費者庁の逐条解説とQ&Aは、インターネット回線を使って通話する形式は、映像を伴う場合も含めて「電話」に当たるとしています。事業者がWeb会議を設定して会議用のURLを送った行為は、通常「電話をかけ」に当たると考えられるとも説明されています。したがって、Zoomなどを使うから電話勧誘販売に当たらない、とは整理できません。通話の中で契約を勧めたか、申込みが勧誘に起因しているかも合わせて確かめます。
予約フォームからお客様が申し込んだ個別相談は、お客様が電話を請求した場合に当たりますか。
26条7項1号の除外は、契約の申込みや締結のために電話をかけることを請求した場合に限られます。消費者庁の逐条解説は、内容を聞きたいから電話してほしいという依頼では足りず、契約の意思を明確に示した場合や、平常の取引関係から購入の意思が客観的に明らかな場合に限られるとしています。個別相談の予約が、これに当たるかどうかは、予約の文面と経緯を事実で確かめて判断します。除外に当たる場合も、16条・17条・20条は適用されます。
通話は悩みを聞くだけにして、契約の話は通話後のメールでする運用なら、電話勧誘販売になりませんか。
電話勧誘販売の「勧誘」は、お客様の契約締結の意思の形成に影響を与える行為で、直接購入を勧める場合に限りません。購入した場合の便利さを強調するなど、客観的に購入意思の形成に影響を与えていれば勧誘に当たると、逐条解説は説明しています。通話で契約に触れない運用を徹底していても、実際の通話の内容で判断されます。通話の運用の内容は、記録に残して確認できるようにしておきます。
通話の数日後にフォームから申し込まれた場合も、電話勧誘販売になりますか。
申込みが通話での勧誘に起因していれば、郵便等(フォームやメールを含む)での申込みも電話勧誘販売の範囲に入ります。逐条解説は、どのくらいの期間が過ぎれば「勧誘により」に当たらなくなるかを、日数で一概に決められないとしたうえで、最後の通話から1か月以上たってから申込みがあったようなケースは該当しない場合が多いと考えられるとしています。数日後であれば、通常は勧誘に起因していると見られます。
通話の最初に、何を告げる必要がありますか。
16条は、事業者の氏名または名称、勧誘を行う者の氏名、商品・権利・役務の種類、その電話が契約を勧めるためのものであることを、勧誘に先立って告げるよう定めています。逐条解説は、事業者から電話をかける場合は、通常は相手が電話に出たら開口一番に告げる必要があるとしています。具体的な言い回しは決まっていませんので、項目が漏れなく、最初に伝わる形にします。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月22日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所