このページの要点
- 2025年度の相談は約100.6万件。通信販売が38.0%で最多です。
- ビジネス講座の相談は2020年度の1,169件から2025年度の3,551件に増えています。
- 事例は、体験・通話からの勧誘、クレジット、解約条件、関連商品、事業者間契約の五つの型に整理できます。
- 件数は取引量に左右されます。違法の多さの指標ではなく、運用点検のきっかけとして使います。
結論:件数は「どの取引が多いか」、事例は「事業者側のどの対応が相談になるか」を読む
国民生活センターが公表する相談件数や事例は、消費者に向けた注意喚起として書かれています。しかし事業者の側から読むと、同じ資料が「相談に出てくる型」の一覧になります。契約の入口で何があり、お金の面で何があり、出口の解約でどこがもめるのか。件数は規模感を、事例は型を教えてくれます。
本稿は、国民生活センターが2026年8月から10月にかけて公表した三つの資料を使います。一つは2025年度の全国の消費生活相談の状況、もう一つはビジネス講座に関する注意喚起、三つ目はパーソナルトレーニングに関する注意喚起です。結論を先に言うと、次の五つが事業者側の読みどころです。
- 2025年度の全国の相談件数は約100.6万件で、前年度から約9万件増えました。販売購入形態別で最も多いのは通信販売で、全体の38.0%です。
- ビジネス講座の相談は、2020年度から2025年度にかけて年々増え、2025年度は3,551件でした。Web会議などで勧誘された契約は電話勧誘販売に当たる場合があり、通信販売より契約金額が高額になる傾向が指摘されています。
- パーソナルトレーニングの相談も、2025年度に1,457件と、前年度の885件から大きく増えています。
- 事例に共通するのは、無料体験や通話からの勧誘、クレジットでの高額契約、解約条件の説明不足、関連商品の勧誘、「事業者間契約だから解約できない」という言い切りです。
- どれも契約書の文言だけでは防げず、勧誘・書面・解約対応の運用で起きています。
本稿の数字は、すべて国民生活センターの公表ページと報告書に書かれたものです。推測で補った数字はありません。確認できなかったもの(たとえば特定継続的役務提供だけの2025年度の相談件数や、クーリング・オフだけの年度別件数)は、載せていません。消費者の側への助言は書きません。
2025年度の全国の消費生活相談の状況
2025年度に全国の消費生活センター等から寄せられ、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された相談は、約100.6万件(1,006,377件)でした。2024年度は約91.3万件(913,355件)で、約9万件の増加です。対象は2026年5月末日までに登録された苦情相談です。
販売購入形態別の件数
相談を「どういう形態で買ったか」で分けると、通信販売が最も多くなっています。報告書の図に示された件数は次のとおりです。
2025年度の販売購入形態別の相談件数
| 販売購入形態 | 件数 | 全体に占める割合 | 特商法の取引類型との関係 |
|---|---|---|---|
| 通信販売 | 382,721件 | 38.0% | クーリング・オフの規定はない。返品特約や表示の規律(本サイトの「通信販売」の記事) |
| 店舗購入 | 200,695件 | 19.9% | 営業所等での契約は原則として訪問販売の対象外(営業所等へ誘引した相手との契約は訪問販売になる場合がある) |
| 訪問販売 | 78,392件 | 7.8% | 書面とクーリング・オフ(8日)の中心的な類型 |
| 電話勧誘販売 | 66,768件 | 6.6% | 通話・Web会議での勧誘を含む。書面とクーリング・オフ(8日) |
| 訪問購入 | 7,523件 | 0.7% | 事業者が消費者宅などで物品を買い取る取引 |
| マルチ取引 | 4,003件 | 0.4% | 連鎖販売取引。クーリング・オフは20日 |
| ネガティブ・オプション | 3,640件 | 0.4% | 注文していない商品の送り付け |
出典:国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況」報告書本文(2026年8月5日公表)。割合は報告書に記載の値。右列は、当サイトが取引類型の特商法上の位置づけを添えたもので、報告書の記載ではありません。
通信販売が最多なのは、取引の総量が多いからです。事業者の側で注意すべきなのは、件数の順位より、一件あたりの金額と、解約をめぐる摩擦の大きさです。電話勧誘販売は件数こそ通信販売の6分の1ほどですが、後述のビジネス講座の資料では、契約金額が通信販売より高くなる傾向が指摘されています。
金額・年代・手口の特徴
- 契約購入金額:合計4,776億円、平均88万円です。既に支払われた金額は合計2,087億円、平均50万円でした。いずれも2024年度より増えています。
- 契約当事者の年代:70歳以上が最も多く、25.6%です。マルチ取引は20歳代が最も多く、29.3%を占めます。
- 販売方法・手口:インターネット通販と定期購入では、化粧品や健康食品などの定期購入に関する相談が多く、電話勧誘販売ではインターネット接続回線に関する相談が目立つ、とされています。
この全体像は、オンライン講座やサロンなどの事業者が直接当てはまるものではありません。ただ、通信販売の定期購入、電話勧誘での契約、高額の契約という三つの条件が重なると、相談が増えやすいことを示しています。通信販売の規律は通信販売にクーリング・オフがない意味と返品特約、類型の見分け方はクーリング・オフが使える取引の見分け方と判定の順番で扱っています。
ビジネス講座の注意喚起:増える相談と、勧誘の手段の変化
国民生活センターは2026年9月16日に、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座に関する相談について、注意喚起を公表しました。背景として、リスキリング(学び直し)の支援施策の推進や、副業・兼業への関心の高まりが挙げられています。
相談件数と平均契約購入金額の推移
ビジネス講座に関する相談件数と平均契約購入金額(PIO-NET)
| 年度 | 相談件数 | 通信販売の平均契約購入金額 | 電話勧誘販売(Web会議での勧誘を含む)の平均契約購入金額 |
|---|---|---|---|
| 2020年度 | 1,169件 | 44万円 | 60万円 |
| 2021年度 | 1,831件 | 47万円 | 69万円 |
| 2022年度 | 2,106件 | 59万円 | 84万円 |
| 2023年度 | 2,510件 | 57万円 | 88万円 |
| 2024年度 | 2,682件 | 64万円 | 99万円 |
| 2025年度 | 3,551件 | 64万円 | 87万円 |
| 2026年度(7月31日まで) | 1,121件(前年同期は821件) | 48万円 | 79万円 |
出典:国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」(2026年9月16日公表)。消費生活センター等からの経由相談は含まれない。2026年度の金額は年度途中の値。
2025年度の相談件数は、2020年度の約3倍(当サイトによる計算)に増えています。2026年度は7月31日までで1,121件と、前年同期の821件を上回りました。金額の面では、通信販売で契約したものよりも、電話勧誘販売(Web会議での勧誘を含む)で契約したもののほうが、各年度とも平均金額が高くなっています。
勧誘の入口が変わった、という指摘
資料は、以前はSNS広告をきっかけにした通信販売での契約が多かったが、近年は、SNS広告で事業者を知り、そのWeb会議で説明を受けて契約に進む流れも見られる、と述べています。こうしたケースは、特商法の電話勧誘販売に該当する場合があるとされています。相談の内容としては、広告や勧誘時の説明と実際の講座内容が大きく異なっていたという相談に加え、勧誘が目的だとは伝えられないままWeb会議の場に入ったという相談も紹介されています。
事業者の側から読めば、通話やWeb会議を使う導線は、通信販売ではなく電話勧誘販売の規律の中で見られる可能性がある、という注意です。判定の順番はオンライン講座・Web会議の勧誘は電話勧誘販売か、冒頭に告げる項目は勧誘前の氏名等の明示と再勧誘の禁止で整理しています。業種サイトでは、Zoom個別相談・無料セミナーと電話勧誘販売が、導線の組み方を扱っています。
四つの相談事例の要旨
- SNS広告からメッセージアプリに誘導され、説明会を受けてオンラインのAI講座を契約したが、内容が期待した水準ではなかった。
- Web会議で説明を受け、クレジットを組んで高額な講座を契約したが、支払いが困難になった。
- SNS広告で知った副業スクールを契約した後に、厳しい解約条件があることを知った。
- 副業の面接のつもりで応募したところ、講座の契約になっており、「事業者間契約だから解約できない」と言われた。
資料はこれらから、事前の説明がないままの勧誘、クレジットを利用した契約の高額化、解約条件の説明不足や厳しい条件を問題点として挙げています。
パーソナルトレーニングの注意喚起:個別の提案が契約を動かす
2026年10月7日には、パーソナルトレーニングに関する契約トラブルの注意喚起が公表されました。無料体験に行ったら高額なコースを勧められ、その場で契約した、体験の後にエステまで勧誘された、といった相談が寄せられているとしています。
パーソナルトレーニングに関する年度別の相談件数(PIO-NET)
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2021年度 | 495件 |
| 2022年度 | 722件 |
| 2023年度 | 861件 |
| 2024年度 | 885件 |
| 2025年度 | 1,457件 |
| 2026年度(8月31日まで) | 537件(前年同期は468件) |
出典:国民生活センター「パーソナルトレーニングに関する契約トラブル」(2026年10月7日公表)。経由相談は含まれない。
資料は、パーソナルトレーニングの特徴を、体の状態や生活習慣、目標を聞き取ったうえで、一人ひとりに合わせたトレーニングやコースを提案するところにあるとし、そこに契約上の注意点があるとしています。「あなたの場合は何回必要」「痩身ならエステも併せたほうがよい」と個別に提案されることで、料金や解約条件を十分に確認しないまま契約したり、関連する商品やサービスまで契約したりするケースが見られる、という整理です。
挙げられた相談事例は、次のようなものです。
- SNS広告をきっかけに無料体験へ行くと、終了後に長いカウンセリングが続き、その場を離れにくくて契約に至った。
- 無料体験の後に高額なプランを勧められ、断り切れずに契約した。
- サイトでは安価だったため体験に行ったら、サプリメントやエステなど複数の契約も勧誘された。
- 一年間のコースを契約したが、通えなくなったので途中で解約を申し出たところ、割引の適用がなくなり、入会金も支払うよう言われた。
- 解約しようとしたが、手続がなかなか進まない。
- 希望する日時に予約が取れない。
問題点としては、長時間の勧誘や強引な勧め方、個別の提案が契約判断に影響すること、関連商品・サービスの勧誘、中途解約時の手続や精算が複雑になりやすいこと、契約したサービスを実際に利用できるかを事前に確認しにくいことが挙げられています。業種サイトのパーソナルジムの体験・入会の契約書は、体験から入会までの説明の範囲を扱っています。
事業者が見るべき「相談に出てくる型」五つ
三つの資料の事例を、事業者の側の運用に引き寄せて整理すると、次の五つの型になります。それぞれ、相談になりやすい運用の特徴と、本サイトのどの記事で整えるかを示します。
型1:無料体験・通話・面談からの勧誘
無料体験や無料相談を入口にして、その場や後日の通話で契約を勧める導線です。事例には、体験の後の長時間のカウンセリング、勧誘があることを知らされないままのWeb会議への接続が出てきます。事業者の側では、最初に何を告げるか、断られたらやめるかが運用の中心になります。取引類型の判定はオンライン講座・Web会議の勧誘は電話勧誘販売か、冒頭の告知と再勧誘は勧誘前の氏名等の明示と再勧誘の禁止が扱います。
型2:クレジットでの高額契約
高額な講座をクレジットで契約し、支払いが困難になる、という事例です。事業者の側では、決済の方式(自社の分割、カードの分割、提携ローン、個別クレジット)によって、法律上の義務と、購入者がカード会社などに主張できることが変わります。月々の支払額だけを前面に出した説明は、トラブルの種になります。整理はクレジット払い・分割払いのクーリング・オフと割賦販売法にあります。
型3:解約条件の説明不足と厳しい条件
契約後に厳しい解約条件を知った、という事例です。パーソナルトレーニングの資料でも、中途解約時に割引の適用がなくなり、入会金を請求された、という事例が出ています。特定継続的役務提供に当たる契約では、中途解約の清算には役務ごとの上限があり(特定継続的役務の中途解約と損害賠償・違約金の上限)、解約の条件を規約に書いていても、法令に反する部分は無効になります(「返金しない」「解約不可」の規約が無効になる場面)。
型4:関連商品・サービスの勧誘
体験の後にエステやサプリメントなどの契約を勧められる、という事例です。関連商品の販売契約は、役務提供契約と一体でクーリング・オフや中途解約の対象になる場合があります。関連商品を別契約として扱い、解約の対象外だと告げる運用は、後でもめる原因になります。清算の考え方はクーリング・オフ後の清算と代金返還・関連商品の扱いにあります。
型5:「事業者間契約だから解約できない」
副業の面接のつもりが講座の契約になっていて、事業者間契約だから解約できないと言われた、という事例です。特商法の適用除外は、契約が営業のために、あるいは営業として締結されるかで判断され、契約の相手方が事業者名義であることだけで一律に決まるものではありません。言い切りの危うさは事業者間契約でクーリング・オフが対象外になる場面で扱っています。投資・副業系のスクールの表示については、「稼げる」「利益が出た」の表示と消費者契約法が参考になります。
事例と運用の型の対応
| 資料に出てくる事例の特徴 | 型 | 運用で確かめること | 整える記事 |
|---|---|---|---|
| 無料体験の後の長時間の勧誘、勧誘と知らされないWeb会議 | 型1 | 冒頭の告知、断られた後の対応、通話の手段 | 勧誘前の明示 |
| クレジットで高額契約、支払い困難 | 型2 | 決済方式、総額の説明、割賦販売法の義務 | 分割払い・カード |
| 厳しい解約条件、割引の消滅、入会金の請求 | 型3 | 中途解約の清算、書面への記載、規約の文言 | 中途解約と上限 |
| エステやサプリなどの追加契約の勧誘 | 型4 | 関連商品の範囲、解約時の扱い | 解除後の清算 |
| 事業者間契約だから解約できないという言い切り | 型5 | 名義と実態の確認、案内の項目 | 事業者間契約 |
| 広告・勧誘時の説明と実際の内容が異なる | 補足 | 広告とLPの文言、成果の言い方 | 広告・LP表示 |
「補足」の行は、型1〜5とは別に、資料が問題点の一つに挙げている事項に対応する記事を示したものです。
数字の読み方と限界:事業者が誤読しやすい点
相談件数は、事業者にとって気になる数字ですが、読み方を誤ると判断を誤ります。ここでは、誤読しやすい点を、よくある疑問の形で整理します。
よくある疑問と回答相談件数の読み方で、よくある疑問
相談件数が多い取引は、違法な取引が多いということですか。
そうとは限りません。相談件数は、取引の総量が多ければ増えます。通信販売が最多なのは、通信販売の取引量が多いことも一因です。件数の多さは、法令違反の多さを意味せず、相談という形で表に出た摩擦の量を示すにすぎません。
ビジネス講座の相談件数が増えたのは、悪質な事業者が増えたからですか。
資料は、リスキリングの支援策や副業・兼業への関心の高まりを背景に、講座の需要が広がったことを述べています。需要が増えれば、相談の絶対数も増えます。資料から読み取れるのは、増えているという事実と、勧誘の手段が変わってきたという指摘までです。
平均契約購入金額は、そのまま自社の価格の目安になりますか。
なりません。平均は、相談として登録された契約についての値で、価格帯が異なる契約が混ざっています。通信販売と電話勧誘販売で平均が違うという傾向は読み取れますが、自社の価格設定や、契約の類型の判断には使えません。
2026年度の件数は、前の年度と比べてよいのですか。
年度の途中までの値なので、そのまま比べられません。資料は前年同期の件数(ビジネス講座は821件、パーソナルトレーニングは468件)を示しています。同じ時期同士で比べる必要があります。
PIO-NETの件数は、全国の相談のすべてですか。
ビジネス講座とパーソナルトレーニングの件数は、消費生活センター等からの経由相談を含みません。2025年度の全国の状況は、対象が2026年5月末日までに登録された苦情相談です。数字は、公表時点の登録分である点にも留意が必要です。
特定継続的役務提供やクーリング・オフに絞った件数はありますか。
本稿が確認した三つの資料では、特定継続的役務提供だけの2025年度の件数や、クーリング・オフだけの年度別件数は確認できませんでした。確認できない数字は載せず、推測で補うこともしません。
件数は、事業者が自社の運用を点検するきっかけとして使い、価格や契約の類型の判断には、条文と所管官庁の資料を使います。
自社の運用に引き寄せる:よくある失敗と、確かめること
契約書作成の実務の経験をもとに、相談に出てくる型につながる運用上の失敗を、書き方の対比と問いで整理します。いずれも一般的な例で、特定の事業者を指すものではありません。
書き方の例(一般的な例) 相談につながりやすい書き方と、整えた書き方
体験・相談の案内
理由体験の後の長時間の勧誘や、勧誘と知らされないままの面談は、資料に出てくる相談の入口です。
料金の見せ方
理由月々の支払額だけの説明は、クレジットでの高額契約に結びつきやすくなります。
解約の案内
理由解約条件を契約後に知った、割引が消えて入会金を請求された、という事例を防ぐ書き方です。
追加契約の勧め方
理由関連商品の勧誘は、中途解約時の精算を複雑にします。
成果の言い方
理由広告・勧誘時の説明と実際の内容が異なる、という相談は、型の中でも多く挙げられています。
確かめる問いと理由運用を点検するために、確かめること
無料体験や無料相談の入口から、契約までの導線を、場所と手段(対面・通話・Web会議・メッセージ)で書き出せますか。
導線の手段によって取引の類型が変わります。書き出せないまま運用していると、書面や告知の漏れに気づけません。
体験や相談の予約の時点で、勧誘があることを伝えていますか。
勧誘と知らされずに接続した、という事例が資料に出てきます。予約画面や案内メッセージの文言を確認します。
決済は、一括・自社の分割・カードの分割・提携ローンのどれを用意していますか。
決済方式で、法律上の義務と、購入者が主張できることが異なります。方式を増やしたときに、書面と表示が追いついているかも確かめます。
解約の問い合わせに、誰が、どの手順で、どの項目を案内しますか。
解約手続が進まない、という相談も資料に出てきます。窓口と手順が決まっていないと、遅れや言い切りが起きます。
関連する商品やサービスを別に勧めるとき、その契約の解約の扱いを案内していますか。
関連商品の勧誘は、型4として相談に出てきます。
問いは、点検のためのものです。個別の事業者の運用を推測するものではありません。
実際のチェックリストと記録の残し方は、クーリング・オフ対応のチェックリストと記録の残し方に、書面・勧誘・解約対応の順にまとめています。行政処分の公表事例で、相談の型が処分にどうつながるかは特商法の行政処分の公表事例に見る書面と勧誘の失敗で扱います。コーチングや養成講座の業種サイトでは、コーチングの効果の言い方と、養成講座の受講契約書が、それぞれの事情を詳しく扱っています。
起きがちなことと、出典
相談につながる、起きがちなこと
- 通話やWeb会議で勧誘する導線を持ちながら、通信販売のつもりで、書面もクーリング・オフの案内も整えていない。
- 体験や相談の予約の案内に、契約の勧誘があることを書いていない。
- 月額の表示を大きく出し、総額や支払回数の表示が小さい。
- 解約条件は規約には書いているが、申込み画面や契約書面では案内していない。
- 中途解約のとき、割引の消滅や入会金を、契約書面に書いていないのに請求する。
- 追加の商品やサービスを別契約として勧め、元の契約の解約と一緒に扱う場合の案内をしていない。
- 「事業主の契約だから」と、実態を確認する前に解約の相談を断る。
- 相談件数の多寡を、自社の取引が違法かどうかの判断材料にしてしまう。
この記事の出典
- 国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況―PIO-NETより―」(2026年8月5日公表)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260805_1.html、報告書本文PDF(確認日:2026年10月22日)
- 国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意―広告・勧誘と実際の講座内容が異なる、Web会議での思わぬ勧誘に気をつけましょう―」(2026年9月16日公表)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_3.html(確認日:2026年10月22日)
- 国民生活センター「パーソナルトレーニングに関する契約トラブル―痩身エステ等、関連商品・サービスも勧誘されて高額に!?―」(2026年10月7日公表)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20261007_1.html(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」逐条解説(令和7年6月1日時点版)(雑則・営業のために又は営業として締結する契約の考え方)(確認日:2026年10月22日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」26条1項1号(確認日:2026年10月22日)
よくあるご質問
国民生活センターの相談件数を、自社の契約書や広告の点検にどう使えばよいですか。
件数そのものより、事例の中身を「自社の運用に同じ型がないか」の点検に使うのが実用的です。無料体験や通話からの勧誘、クレジットでの高額契約、解約条件の説明不足、関連商品の勧誘、事業者間契約と言われた解約という五つの型を、導線・書面・決済・解約対応のそれぞれに当てはめて確かめます。
2025年度で、相談件数が最も多い販売購入形態は何ですか。
通信販売です。国民生活センターの2025年度の報告では、通信販売が全体の38.0%を占め、件数は382,721件でした。店舗購入が200,695件、訪問販売が78,392件、電話勧誘販売が66,768件と続きます。相談件数の多さは取引量の多さにも左右される点に注意が必要です。
ビジネス講座の相談は、なぜ電話勧誘販売と関係するのですか。
国民生活センターの注意喚起は、SNS広告で知った事業者から、Web会議サービスなどを使って勧誘を受けて契約するケースが見られ、こうしたケースは特定商取引法の電話勧誘販売に該当する場合があると指摘しています。通話やWeb会議での勧誘であれば、申込みがフォームでも、電話勧誘販売の規律で見られる可能性があります。
パーソナルトレーニングの相談が増えているのは、特定継続的役務提供の問題ですか。
資料は、トレーニングの契約を特定継続的役務提供と位置づけているわけではありません。無料体験後の勧誘、関連商品・サービスの勧誘、中途解約時の精算の複雑さを問題点として挙げています。特定継続的役務に当たるかは、役務の種類、提供期間、金額を条文に当てはめて判断します。
数字を自社のサイトや資料で引用してもよいですか。
数字を使うときは、出典名、公表日、ページのURLを添え、年度の途中の値には「何月までの値」と明記します。国民生活センターのページや報告書の文章をそのまま写すのではなく、要旨を自分の言葉で書くのが原則です。本稿の数字は、確認日を2026年10月22日として、各公表ページで確認したものです。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月22日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所