このページの要点
- 先に七つの指定役務(エステ、美容医療、語学、家庭教師、学習塾、パソコン、結婚相手紹介)に当てはめる。限定列挙で、事業の名前では決まらない。
- 期間は政令の期間(エステ・美容医療は1か月超、ほかは2か月超)を超えるか、金額は5万円を超えるか。どちらも満たしたときに対象になる。
- 期間は無料期間を含め、金額は入会金・購入が必要な商品・消費税を含めて数える。有効期限のない回数券は常に期間を超える扱い。
- 月額制や解約自由の仕組みは、契約の実態によっては対象外と言い切れない。店舗での契約も対象になる。
結論:役務の名前ではなく、七つの指定役務に当てはめてから、期間と金額の二つの数字で確かめる
特定継続的役務提供とは、特商法41条が定める取引類型で、ほかの類型とは入口の作りが違います。訪問販売や電話勧誘販売が「どこで」「どんな手段で」勧誘したかで決まるのに対し、特定継続的役務提供は「何を」「どれだけの期間」「いくらで」提供するかで決まります。条文は、有償で継続的に提供される役務で、身体の美化や知識・技能の向上など、その人の心身や身上に関する目的を実現させることをうたって勧誘が行われ、しかも役務の性質上、その目的が実現するかどうか確実でないもの、という二つの性質を持つ役務のうち、政令で指定したものを対象とします。指定されているのは七つの役務です。
コーチング、オンライン講座、会員制のサービス、サブスクリプションの教室。これらが特定継続的役務提供に当たるかという質問に対して、この類型は、事業の名前では答えが出ません。提供する内容が七つの定義のどれかに当たるか、その役務を政令の期間を超えて提供するか、支払う金銭が5万円を超えるか、を順に確かめます。当たると、概要書面と契約書面の交付、クーリング・オフ、中途解約の規律が適用されます。当たらないと分かったときも、通信販売の表示や消費者契約法が残ります。
- 先に、提供する役務が七つの指定役務(エステ、美容医療、語学、家庭教師、学習塾、パソコン、結婚相手紹介)のどれかに当たるかを見る。限定列挙なので、七つに当たらなければこの類型には入らない。
- 次に、役務の提供期間が政令の期間(エステティックと美容医療は1か月超、そのほかは2か月超)を超えるか、支払総額が5万円を超えるかを確かめる。どちらも超えたときに対象になる。
- 期間は無料期間を含めて数え、金額は入会金・教材など購入が必要な商品・消費税を含めた総額で数える。
- 期限の定めがないチケット・回数券は、特段の事情がない限り、いつでも使えるため、政令の期間を超えるものとして扱われる。
- 月額制や解約自由の仕組みは、契約の実態によっては「必ず対象外」と言い切れない。
- 勧誘の場所や手段は問われない。店舗で契約した場合も対象になる。
取引類型の判定全体の流れは取引の見分け方と判定の順番で説明しています。このページは、その中の「役務の種類」の問いを、七つの定義、期間、金額に分けて掘り下げます。
七つの指定役務と、期間・金額の要件
七つの役務の内容は、政令(特商法施行令)の別表第四が定めています。期間は同別表の欄、金額は施行令24条2項の5万円です。表は条文の言葉を要約したもので、細かい除外や条件は条文と逐条解説で確認してください。
指定7役務の内容と期間(施行令別表第四・24条)
| 役務 | 内容(要旨) | 期間 | 逐条解説などが示す注意 |
|---|---|---|---|
| エステティック | 人の皮膚を清潔にし、美化し、体型を整え、体重を減ずるための施術(美容医療を除く) | 1か月を超える | 脱毛は含まれる。音楽を聴かせるだけ、お香を焚くだけの場合は施術に当たらない。増毛・植毛は通常当たらない |
| 美容医療 | 美容を目的とする医学的処置・手術・治療のうち、省令91条が定める方法のもの(脱毛、しみ等の除去、しわ・たるみの軽減、脂肪の減少、歯牙の漂白) | 1か月を超える | 傷病からの回復を目的とするものは美容目的に当たらない。行為の内容で分類され、実施場所や実施者では分類しない |
| 語学教室 | 語学の教授(日本語を含む)。学校の入学試験準備や学校教育の補習のための学力の教授に当たるものは除く | 2か月を超える | 英検などの資格試験のための語学の教授も当たる |
| 家庭教師 | 小学校・幼稚園を除く学校の入学試験に備え、または学校教育(大学・幼稚園を除く)の補習のための学力の教授で、学習塾の場所以外で提供するもの | 2か月を超える | 通信教育(FAX・電話・テレビ電話)でも当たる。受ける人の範囲に限定はない |
| 学習塾 | 同じ目的の学力の教授で、児童・生徒・学生を対象とし、事業者の事業所など事業者が用意する場所で提供するもの | 2か月を超える | 集会所やマンションの一室を借り上げた場合も含む。浪人生のみを対象とするコースは除かれる |
| パソコン教室 | 電子計算機(パソコンなど)またはワープロの操作に関する知識・技術の教授 | 2か月を超える | タブレット・スマートフォンも電子計算機に当たる。他の技術と一体不可分に教えるときは全体が対象になる |
| 結婚相手紹介 | 結婚を希望する者への異性の紹介 | 2か月を超える | 男女を問わない |
金額は、七つの役務すべてについて「5万円を超えるもの」です(施行令24条2項)。条文は2026年10月22日時点(e-Gov法令検索)、注意欄は消費者庁「特定商取引に関する法律の解説」(41条の解説)の要旨です。
表のうち、家庭教師と学習塾は、どちらも学力の教授で、違いは役務を事業者が用意した場所で提供するかどうかです。消費者庁のQ&Aは、個別指導の形でも、教室に生徒が通って学ぶ形なら学習塾に当たると説明しています。また、「学習塾」は対象者を小学生・中学生・高校生などに限り、小学校や幼稚園に入るための、いわゆるお受験の対策は含みません。ピアノ、絵画、そろばん、習字などの技芸は、通常は学力の教授に当たらないとされています。ただし、音楽大学の入試準備のように、学校の入学試験に備えるために提供される場合は、技術指導も含めて当たりうる、というのが逐条解説の説明です。
七つの役務が限定列挙であることは、実務上は重要な意味があります。継続的で高額な講座であっても、七つの定義のどれにも当たらなければ、特定継続的役務提供には当たりません。他方、定義に当たる要素が講座の一部に含まれている場合は、その部分が対象になることがあります。たとえば、外国語の習得をうたう講座は語学の教授、パソコンやスマートフォンの操作を教える講座は電子計算機の操作に関する知識・技術の教授に当たりうる、といった具合です。
該当性の判定:四つの問いを上から当てはめる
判定の順番を図にします。順番を逆にして、先に金額だけを見ると、定義に当たらない契約を対象と考えたり、逆に合計額で5万円を超える契約を見落としたりします。
特定継続的役務提供に当たるかの判定
- 1
その役務は、有償で、継続的に提供されるものか
はい次の問いへ
いいえ実質的に無償で、または1回で完結する役務は、この類型に当たりません。ただし、外見上は無料でも、独立して経済的価値を持ち、受ける人もそう認識している役務は有償と見られます
- 2
提供する役務は、七つの指定役務のどれかの定義に当たるか
はい次の問いへ
いいえ特定継続的役務提供には当たりません。訪問販売・電話勧誘販売・通信販売の規律、割賦販売法、消費者契約法は、別に確かめます
- 3
役務の提供期間は、その役務の政令の期間を超えるか(無料期間を含める。回数券・チケットは有効期限で見る)
はい次の問いへ
いいえ当たりません。ただし、延長を当初から予定している場合や、延長前後が実質的に一体と見られる場合は、一体として判断されます
- 4
支払う金銭の総額は5万円を超えるか(入会金・教材・購入が必要な商品・消費税を含める)
はい特定継続的役務提供に当たる。概要書面・契約書面、クーリング・オフ(8日)、中途解約の規律が適用される
いいえ当たりません。契約を後で変更して5万円を超えたときは、変更の時点から対象になりうる
特定継続的役務提供に当たる場合の書面は契約書面・概要書面、中途解約は中途解約と損害賠償の上限で扱います。
当たると決まったあとに、何が必要になるか
特定継続的役務提供に当たると、取引の入口から出口までの規律がまとめて適用されます。全体像を表にします。それぞれの詳細は、このガイドの別のページに分けています。
特定継続的役務提供に当たるときの主な規律
| 場面 | 内容(要旨) | 条文 |
|---|---|---|
| 契約を結ぶまで | 契約の概要を記載した書面(概要書面)を交付する。Q&Aは、契約のために店舗を訪れた人に、役務の内容などの説明とあわせて交付する場面を例に挙げている | 42条1項 |
| 契約を結んだとき | 契約内容を明らかにした書面(契約書面)を、遅滞なく交付する。特段の事情がない限り、契約を結んだその場で渡す形になる(Q&A Q4) | 42条2項 |
| 広告・勧誘 | 役務の内容や効果などについての誇大広告の禁止。勧誘のとき、または解除を妨げるための不実の告知、故意の不告知、威迫の禁止 | 43条・44条 |
| 契約書面を受け取った日から8日 | 理由を問わずにクーリング・オフができる。購入が必要な関連商品の売買契約も、同様に解除できる | 48条1項・2項 |
| 8日が過ぎた後 | 契約期間中は、いつでも将来に向かって解除できる。事業者が請求できる損害賠償等の額には上限がある | 49条 |
| 前払いを受けるとき | 役務の提供に先立って5万円を超える金銭を受け取る取引(前払取引)では、業務と財産の状況を記した書類を事務所に置き、相手方の閲覧などの求めに応じる | 45条、施行令27条 |
条文は2026年10月22日時点(e-Gov法令検索)。書面の記載事項は契約書面・概要書面、赤枠は赤枠の書き方で扱います。
期間と金額の数え方:何を数え、何を数えないか
期間の数え方
期間の要件で使うのは、契約書面に記載する役務の提供期間です。逐条解説は、期間について、特商法42条2項4号の書面の記載事項である役務の提供期間を指すと説明しています。つまり、書面に書く期間と、判定に使う期間は同じ数字です。期間は、始期と終期で定める場合も、「契約締結の日から○か月」のように定める場合も、暦に当てはめて、政令の期間を超えるかを判断します。
期間の数え方の場面
| 場面 | 数え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 期間を始期と終期で定める | 暦に当てはめる。エステティック(1か月)の例で、「1月1日から1月31日まで」「1月1日から31日間」は超えず、「4月1日から5月1日まで」「4月1日から31日間」は超える(いずれも初日を算入する場合) | 逐条解説(41条) |
| 無料の期間を設ける | 無料の期間も、役務の提供を受ける権利がある期間として含めて判断する | 逐条解説(41条) |
| 有効期限のあるチケット・回数券 | 有効期限を役務の提供期間とみなす。期限が政令の期間を超えれば対象 | 逐条解説、Q&A Q3 |
| 有効期限のないチケット・回数券・会員権 | いつでも使えるので、特段の事情がない限り、常に政令の期間を超えるものとして扱う | 逐条解説、Q&A Q3 |
| 月謝制で、解約も自由 | 月ごとに更新されていると評価され、政令の期間を超えないと評価されうる。ただし契約の実態(教材販売が実質など)で、拘束される期間が政令の期間を超えると評価されれば対象になる | 逐条解説、Q&A Q27(学習塾の例) |
| 延長や契約変更がある | 延長を当初から予定していた場合や、延長前後が実質的に一体と見られる場合は、一体として判断し、当初の契約の時点から対象。そうでなければ、変更後の契約が要件を満たした時点から対象 | 逐条解説、Q&A Q5 |
月謝制の例は、学習塾について消費者庁が示した考え方で、ほかの役務にそのまま広げられるとは限りません。ただし、「月ごとの契約だから期間の要件を満たさない」と形式で判断せず、実際に何か月分の利用を前提に契約しているか、解約が実際に自由か、教材などの購入で事実上の拘束が生じていないかを実態で見る、という発想は、月額制のプランを持つ事業者にとって共通の点検項目になります。
役務を提供する事業者以外の第三者が、チケットや会員権を販売する場合は、特定権利販売契約(41条1項2号)として、同じように対象になります(Q&A Q3)。反対に、事業者が自ら継続的に提供する役務を、「会員権」の名前をつけて販売していても、法律上は特定継続的役務提供契約として扱われると、逐条解説は説明しています。会員権、チケット、サブスクリプションといった商品名は、判定には使えません。
金額の数え方
金額の要件は、契約書面の記載事項である、役務の提供を受ける人が支払わなければならない金銭の額(42条2項2号)を指します。逐条解説は、狭い意味の役務の対価に限らず、入学金、入会金、施設利用料なども含めた役務の対価に加え、役務の提供に際して購入しなければならない商品がある場合は、その商品の対価も含めた額で、5万円を超えるかを判断すると説明しています。消費税などの諸税も含めた額で判断します。役務の対価の部分が5万円に満たなくても、抱き合わせで販売される商品などの価額と合計して5万円を超えれば、全体として対象になります。
消費者庁のQ&Aは、役務自体は無料と説明されていても、契約の実態を見て判断するとしています。たとえば、エステは無料のサービスとして、化粧品や健康食品の売買契約だけを結ぶ形にしていても、実態が物販と役務の提供が一対の契約であり、役務の提供期間が1か月を超え、支払額が5万円を超えるなら対象になる、という回答です。また、教材に付く通信添削が無料と説明されていても、独立して経済的価値を持ち、受ける人も価値を認識している場合は有償と見られます。他方、教材のアフターサービスとして、販売の条件になっておらず、消費者もそう認識している通信添削やテレフォン学習相談は、該当しないと考えられるとされています。
役務の提供に際して購入する必要がある商品のうち、政令(施行令29条・別表第五)が役務ごとに定めるものは関連商品と呼ばれ、クーリング・オフ(48条2項)や中途解約(49条5項)では、役務の契約と同じように解除できる対象になります。金額の判定では購入が必要な商品を合算し、解除の場面では関連商品の契約も同様に扱う、という二つの意味があります。教材や化粧品などを役務と組み合わせて販売する事業者は、販売する商品が関連商品に当たるかを、役務ごとに確かめる必要があります。扱いの詳細はクーリング・オフ後の清算と代金返還・関連商品の扱いで整理します。
金額の計算例(架空の数字です)
| 項目 | 例1:対象になる | 例2:対象外になりうる |
|---|---|---|
| 入会金 | 3,300円(税込) | 0円 |
| 受講料(3か月分) | 36,300円(税込) | 39,600円(税込) |
| 購入が必要な教材 | 13,200円(税込) | 購入は任意(購入しなくても受講できる) |
| 支払総額 | 52,800円 | 39,600円 |
| 判定 | 5万円を超える。期間が政令の期間を超えるなら対象(語学教室などで3か月) | 5万円以下。ただし、教材の購入が実際には事実上必須になっていないかを確認する |
数字は説明のための架空の例です。教材が「任意」とされていても、勧誘の実態で購入が前提になっていれば、購入が必要な商品として合算される可能性があります。
判定式にまとめると、次のようになります。金額が「総額>5万円」で、期間が「その役務の政令の期間を超える」という二つの条件が、どちらも満たされたときに対象になります。どちらか一方だけでは対象になりません。
コーチング・オンライン講座は当たるのか:当てはめの方法
コーチングやオンライン講座が特定継続的役務提供に当たるか、という質問に、事業の名前で当たる、当たらないと答えることはできません。内容を七つの定義に照らして、要素ごとに確かめます。
- 語学の教授に当たる要素はないか:外国語の習得、資格試験のための語学、日本語の習得などが含まれていれば、語学教室の定義に近づきます。学校の入学試験準備や学校教育の補習に特化したものは語学教室から除かれ、家庭教師や学習塾の側で見ます。
- 電子計算機の操作に関する教授に当たる要素はないか:パソコン、タブレット、スマートフォンの操作を教える内容が含まれていれば、パソコン教室の定義に近づきます。他の知識や技術と一体不可分に教えるなら全体が、明確に分けられるなら分けた部分が、対象になりえます(逐条解説)。
- 美容・体型に関する施術はないか:施術を伴うサービスは、エステティックまたは美容医療の定義を確かめます。
- どの定義にも当たらないか:起業、副業、投資、占い、スポーツ、芸術、一般的な自己啓発などの講座は、定義にそのまま当たる要素がなければ、この類型には入りません。ただし「当たらない」という結論は、他の規律が残るという意味にとどまります。
七つの役務ごとの詳しい事情は、業種のガイドに置いています。パーソナルジムの当てはめはパーソナルジムとクーリング・オフ、エステはエステは特定継続的役務提供か、学習塾は学習塾・個別指導の開業と特定継続的役務提供、結婚相手紹介は結婚相談所は特定継続的役務提供に当たるか、美容医療は美容医療の契約書と特定継続的役務提供が扱っています。このページは、業種を横断して「どう数えるか」に絞っています。
「当たらない」という結論から、特商法も消費者契約法も問題ないと進んでしまう失敗は、このガイドの別の記事でも繰り返し出てきます。通信販売の表示と返品の定めは通信販売にクーリング・オフがない意味と返品特約、「返金しない」と書いた規約の問題は「返金しない」規約が無効になる場面で扱います。
よくある失敗と直し方
書き方の例(一般的な例) 期間・金額・役務の判断の書き方
役務の見立て
理由業界名や商品名では、七つの定義には当てはまりません。内容に含まれる要素ごとに見ます
金額の数え方
理由逐条解説は、購入が必要な商品の対価や消費税も含めた額で判断すると説明しています
期間の数え方
理由無料期間にも役務の提供を受ける権利があるため、含めて判断します
月額制
理由解約自由の月謝制でも、契約の実態によっては該当する場合があります(学習塾について示された考え方)
回数券
理由有効期限のない回数券は、特段の事情がない限り、常に政令の期間を超えるものとして扱われます
期間と金額を契約書面にどう書くかの一例を示します。書面に書く期間と金額が、そのまま判定に使う数字になるため、判定の根拠と書面の記載がずれないようにします。
役務の提供期間と対価の総額、回数券の有効期限
- 本契約に基づく役務の提供期間は、○年○月○日から○年○月○日までとする。無料で提供する期間がある場合は、その期間を含めて記載する。
- 受講者が当社に支払う金銭の総額は、次のとおりとする(消費税等を含む。)。(1)受講料 ○円 (2)入会金 ○円 (3)本契約に伴い購入が必要な教材その他の商品 ○円 (4)その他の金銭 ○円 (5)合計 ○円
- 回数券又はチケットの有効期限は、○年○月○日までとする。有効期限を定めない場合は、その旨を記載する。
特定継続的役務提供に当たる契約の書面の一部を、論点のために抜き出した例です。書面全体の記載事項は契約書面・概要書面の記載事項で整理しています。
ヒヤリングで確かめること
確かめる問いと理由期間・金額・役務を確かめる問い
提供する役務の中身は何か。語学、パソコン・スマートフォンの操作、美容の施術、学力の教授など、七つの定義に近い要素を含むか。分離して提供できるか
定義への当てはめは内容で決まります。複数の要素を含む場合に、一体不可分か分けられるかで、対象になる範囲が変わります。
提供期間の始期と終期はいつか。無料期間、更新の仕組み、自動更新、解約が自由かどうか
期間は暦に当てはめて、無料期間も含めて数えます。月額制は、実際に拘束される期間を確かめます。
支払総額の内訳は何か。受講料、入会金、教材、施設利用料、購入が必要な商品、消費税
5万円の判定は総額で行います。購入が必要な商品の有無は、勧誘の実態でも確かめます。
回数券・チケットを販売しているか。有効期限はあるか
有効期限は役務の提供期間とみなされ、期限がなければ常に政令の期間を超える扱いです。
勧誘や広告で、痩せる、成績が上がる、上達するなど、目的の実現をうたっているか
特定継続的役務は、目的の実現をうたって誘引が行われる役務です(41条2項1号)。広告の現物で確かめます。
契約期間中に、期間の延長や追加の商品の購入を予定しているか
延長を当初から予定していれば、一体として判断される場合があります。追加の購入は、書面の記載事項にも影響します。
答えが決まらないときは、「分からない点」として書き出し、契約書や広告の現物で確かめます。
起きがちなこと:定義に当たるか見る前に、金額だけで結論を出す
特定継続的役務の判定で起きがちなこと
- 受講料の金額だけを見て5万円以下と判断し、入会金・教材・消費税を合算していない。
- 無料の体験期間を期間に数えず、政令の期間を超えないと判断している。
- 月額制だから必ず対象外と考え、教材の購入などによる実質的な拘束を確認していない。
- 有効期限のない回数券を販売しながら、期間の要件を満たさないと整理している。
- 七つの役務に当たらないという結論のまま、訪問販売・電話勧誘販売・通信販売の規律の検討を終えている。
- 契約の変更や延長のたびに、期間と金額の要件を見直していない。
判定を誤ったときの影響は、概要書面を契約前に渡していない、契約書面の記載事項が足りない、といった形で表に出ます。書面に不備があるとクーリング・オフの期間が始まらない場面もあります(書面の不備と期間)。判定の根拠は、導線ごとの記録とあわせて残しておくと、後から経過を確かめるときの手掛かりになります。
この記事の出典
- e-Gov法令検索:特定商取引に関する法律41条・42条、同施行令24条・25条・別表第四(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「特定商取引に関する法律の解説」第41条・第42条の解説(令和7年6月1日時点版、特定商取引法ガイド掲載)(確認日:2026年10月22日)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」特定継続的役務提供Q&A(https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/continuousservices.html)Q1〜Q5・Q19〜Q27(確認日:2026年10月22日)
よくあるご質問
コーチングやオンライン講座は、特定継続的役務提供に当たりますか。
事業の名前では決まりません。提供する内容が、七つの指定役務(エステ、美容医療、語学、家庭教師、学習塾、パソコン、結婚相手紹介)のどれかの定義に当たるかを先に確かめます。外国語の習得をうたう内容なら語学の教授、パソコンやスマートフォンの操作を教える内容なら電子計算機の操作に関する教授に近づきます。どれにも当たらなければ、この類型には入りません。当たる要素が含まれる場合は、期間と金額の要件を確かめます。
5万円という金額には、消費税や教材費も含みますか。
含みます。消費者庁の逐条解説は、入学金、入会金、施設利用料などを含めた役務の対価に加え、役務の提供に際して購入しなければならない商品がある場合はその対価も含めた額で、5万円を超えるかを判断すると説明しています。消費税などの諸税も含めた額で判断するとされています。受講料の部分が5万円以下でも、合計が5万円を超えれば対象になりえます。
無料の体験期間は、期間に数えますか。
数えます。契約で一定の期間を無料で提供する場合、お客様はその無料の期間も含めて役務の提供を受ける権利を持つため、政令の期間を超えているかは無料の期間も含めて判断する、というのが逐条解説の説明です。有料期間だけを切り出して判断しないようにします。
月額制で、いつでも解約できる場合は、対象外ですか。
必ず対象外とは言い切れません。消費者庁は、1か月単位で契約が更新される月謝制の学習塾について、原則として規制を受けないが、教材の販売など契約の実態として、政令の期間を超えて契約に拘束されると判断される場合は規制を受けることがあるという考え方を示しています。これは学習塾についての説明ですが、実際に何か月分の利用を前提にしているか、解約が実際に自由か、を実態で確かめる発想は、月額制のプランに共通して使えます。
特定継続的役務提供に当たるとき、事業者は何をする必要がありますか。
契約を結ぶまでに概要書面を、契約を結んだら遅滞なく契約書面を交付します(42条)。契約書面では、クーリング・オフの事項と、書面をよく読むべき旨を、赤枠の中に赤字で示します(施行規則94条3項・4項)。クーリング・オフは契約書面を受け取った日から8日以内(48条)、クーリング・オフの期間が過ぎたあとも、契約期間中は中途解約ができます(49条)。それぞれのページに分けて整理しています。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月22日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所