電子交付の承諾書面が必要な取引と記載事項の一覧

書面をメールやダウンロードで渡すには、承諾の手続と、承諾を得たことを証する書面が要ります。どの取引で何を書くのか、紙か電子か、条文の号ごとに整理します。

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電子交付は選べますが、選んだら手順は省けません。承諾の方式、買い手の機器の確認、承諾証明書面の交付順序を条文で確かめられます。

このページの要点

  • 電磁的方法の提供の根拠は取引ごとに置かれ、承諾を得たことを証する書面の定めは特商法施行規則10条7項、50条7項、83条7項、99条7項、124条7項、137条7項にあります。通信販売には見当たりません。
  • 承諾は、買い手が氏名と説明を理解した旨を記入する方法で得ます。チェックボックスやボタンだけの承諾は、方式を満たしません。
  • 承諾を得たことを証する書面は、電磁的方法で提供する前に交付します。紙が原則で、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引・特定継続的役務提供の一部に電磁的方法で出せる例外があります。
  • 手続の不備があれば、書面を交付したものとはみなされず、クーリング・オフの権利も存続します。紙を希望した人に電子の手続を進める行為は禁止行為です。

結論:電子交付では、承諾と、承諾を得たことを証する書面が前提になる

このページの結論

誰に当てはまるか
訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入で、概要書面・申込み時の書面・契約書面をメールやダウンロードなどで渡したい事業者。通信販売には、この書面の定めはありません。
何をすべきか
買い手に電磁的方法の種類と内容を示し、規則の定める事項を説明し、買い手の機器で確認してから、氏名と理解した旨の記入で承諾を得る。そのうえで、承諾を得たことを証する書面を、電磁的方法で提供する前に交付する。
期限
承諾を得たことを証する書面は、電磁的方法による提供を行うまでに交付します。電磁的方法で提供した事項が買い手の機器のファイルに記録された時に到達したとみなされ、その日から8日(連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引は20日)を過ぎるとクーリング・オフはできなくなります。

特定商取引法(以下「特商法」)は、概要書面(契約の前に渡す、取引の条件をまとめた書面)、申込み時の書面、契約書面を、買い手の承諾を得たうえで電磁的方法で提供してよいと定めています。電磁的方法とは、メールでの送信、ウェブサイトからのダウンロード、記録媒体の交付など、情報通信の技術を使って書面の記載事項を渡す方法のことです。この方法で提供すれば、事業者は書面を交付したものとみなされます[1]。

ただし、これは「メールにPDFを付ければ済む」という制度ではありません。承諾の取り方、事前の説明、買い手の機器の確認、承諾を得たことを証する書面の交付まで、施行令と施行規則に手順が置かれています[4][5]。手順に不備があれば、書面を交付したものとはみなされず、書面の交付義務の違反となるおそれがあります。その間は、クーリング・オフの権利も存続し続けるとされています[11]。

このページは、書類の側から整理します。どの取引で承諾を得たことを証する書面が要るのか、何を書くのか、紙で出すのか電子で出せるのか、どこで漏れが出やすいのかを、条文の号・項ごとに並べました。電子交付の手順を実務の流れで読みたい場合は、特商法の書面を電子交付する手順と承諾の取り方と併せて読んでください。メールやLINEでの通知の受付はクーリング・オフ通知のメール・LINE・フォーム対応に分けて書いています。

この書類が必要になる取引の一覧

承諾を得たことを証する書面(電子交付時)が必要になる取引の一覧

取引の類型要否条件・補足根拠条文
訪問販売条件付き書面を電磁的方法で提供する場合特商法4条2項、同法施行規則10条7項
電話勧誘販売条件付き書面を電磁的方法で提供する場合特商法18条2項、同法施行規則50条7項
通信販売不要——
連鎖販売取引条件付き書面を電磁的方法で提供する場合特商法37条3項、同法施行規則83条7項
特定継続的役務提供条件付き書面を電磁的方法で提供する場合特商法42条4項、同法施行規則99条7項
業務提供誘引販売取引条件付き書面を電磁的方法で提供する場合特商法55条3項、同法施行規則124条7項
訪問購入条件付き書面を電磁的方法で提供する場合特商法58条の7第2項、同法施行規則137条7項

要=法令で必要/条件付き=場合により必要/任意=法令上の義務はないが実務上置く/不要=不要。

表の「条件付き」は、書面を電磁的方法で提供する場合に限って必要になる、という意味です。書面を紙で手渡し、または郵送するのであれば、承諾の手続も承諾を得たことを証する書面も要りません。電子交付を採るかどうかは事業者が選べますが、選んだ場合の手続は省略できない、という関係です。

なお、通信販売は表のとおり「不要」です。通信販売には契約書面の交付義務がなく、前払式の通信販売で申込みを承諾する旨などを通知する書面(13条1項)を電磁的方法で提供する場合の承諾の手続も、特商法施行規則39条から41条には、承諾を得たことを証する書面の交付を求める定めが見当たりません[10]。通信販売の側の表示は、特商法に基づく表記の必要事項一覧で扱います。

全国の相談の状況を見ると、書面の交付義務が重くかかる取引ほど、相談の件数も少なくありません。2025年度(PIO-NET、経由相談を除く)では、訪問販売が78,392件、電話勧誘販売が66,768件、訪問購入が7,523件でした。訪問購入では契約当事者の55.9%が70歳以上でした[12]。消費者庁のガイドラインが承諾の確認を厚くしているのは、不意打ち的な勧誘を受けやすい取引で、書面の存在を第三者が気づけなくなることを避けるためと説明されています[11]。

どの取引で、どの条文から電子交付できるか

電磁的方法による提供の根拠は、取引の類型ごとに、法・施行令・施行規則が一組になって置かれています。条番号は類型ごとに異なりますが、手順の骨格は同じです。ガイドラインも、手順に大きな違いがないとして、訪問販売の申込み時の書面に係る規定を代表にして説明しています[11]。

電子交付の根拠条文と、承諾を得たことを証する書面の条項

取引の類型電子交付できる書面と法の条項承諾の手続(施行令)説明・確認・承諾証明(施行規則)
訪問販売申込み時の書面(4条1項)・契約書面(5条1項・2項)。法4条2項・3項、5条3項施行令4条施行規則8条〜13条。承諾を得たことを証する書面は10条7項
電話勧誘販売申込み時の書面(18条1項)・契約書面(19条1項・2項)。法18条2項・3項、19条3項。支払受領の通知(20条1項)は特商法20条2項施行令9条(20条2項の通知は10条)施行規則48条〜53条・55条。承諾証明は50条7項(20条の通知は60条7項)
連鎖販売取引概要書面(37条1項)・契約書面(37条2項)。法37条3項・4項施行令21条施行規則81条〜83条。承諾証明は83条7項
特定継続的役務提供概要書面(42条1項)・契約書面(42条2項・3項)。法42条4項・5項施行令26条施行規則97条〜99条。承諾証明は99条7項・8項
業務提供誘引販売取引概要書面(55条1項)・契約書面(55条2項)。法55条3項・4項施行令32条施行規則122条〜124条。承諾証明は124条7項
訪問購入申込み時の書面(58条の7第1項)・契約書面(58条の8第1項・2項)。法58条の7第2項・3項施行令35条施行規則135条〜137条。承諾証明は137条7項
通信販売書面の交付義務なし。前払式の承諾等の通知(13条1項)は13条2項施行令8条施行規則39条〜41条(承諾証明書面の定めは見当たらない)

条番号は e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)で確認。施行令・施行規則の各条の見出しで、対応する法の条項を確かめた。

この電磁的方法による提供の仕組みは、2023年6月1日に施行された改正で現行の形になっています。e-Govの改正履歴で、法4条・5条の現行規定、施行令4条、施行規則8条から13条の施行日がいずれも同日であることを確かめました[1][4][5]。e-Govの条文の履歴では、4条の2項と3項(承諾を得た電磁的方法による提供と、到達のみなし)は、令和3年法律第72号による改正が施行された2023年6月1日に加わっています。それ以前の取引について考えるときは、当時の条文を確かめる必要があります。

いつから8日(連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引は20日)を数えるかも、電磁的方法で提供するかどうかで変わります。クーリング・オフの期間は、書面を受領した日から数えるのが原則です[9]。電磁的方法で提供した場合は、買い手の機器のファイルに記録された時に到達したものとみなされ(法4条3項など)、その日から数えます[1][2][3]。

記録媒体を渡す方法だけは例外です。特商法施行規則13条は、到達のみなしが働く対象から、記録媒体を交付する方法(特商法施行規則8条1項2号)を外しています[5]。ガイドラインは、この場合は記録媒体を実際に買い手へ交付した日から数えると説明しています[11]。USBメモリやDVDで渡す設計では、日付の記録が交付日になる点に注意が必要です。

承諾を得るまでの手順を、条文の号ごとに追う

承諾を得て電磁的方法で提供するまでの流れは、次の順に並べると、条文の抜けを見つけやすくなります。ここでは訪問販売の条文(施行令4条、施行規則8条〜12条)を代表に書きます。電話勧誘販売は施行令9条と施行規則48条〜53条、特定継続的役務提供は施行令26条と施行規則97条〜99条というように、条番号を読み替えてください。

  1. 電磁的方法の種類と内容を、あらかじめ買い手に示す(施行令4条1項、施行規則9条。使う方法と、ファイルへの記録の方式を示す)。
  2. 施行規則10条1項の4つの事項を、平易な表現で説明する(同条2項)。
  3. 施行規則10条3項の3つの事項を、買い手が日常使う機器を自分で操作する形で確認する(同条4項)。
  4. 買い手に、氏名と、説明の内容を理解した旨を記入してもらい、承諾を得る(同条5項。方法は施行規則11条)。
  5. 承諾を得たことを証する書面を、電磁的方法で提供するまでに交付する(同条7項)。
  6. 電磁的方法で提供する。買い手が希望すれば、指定する者にも同時にメールで送る(同条6項)。
  7. ファイルに記録されたか、閲覧に支障がないかを、提供のたびに確認する(施行令4条3項、施行規則12条)。

第1の段階は、事業者がどの方法を使うかを決める作業です。メールの添付、ウェブサイトからのダウンロード、記録媒体の交付のどれを使うかを決め、ファイルの形式(PDFなど)を示します。ここで示さずに、後から別の方法に切り替えると、承諾の範囲を超えた提供になりかねません。

第2の段階の説明事項は、規則に4つ書かれています。要点は、承諾しなければ書面が交付されること、提供される事項は書面の記載事項であって重要なものであること、記録された時に到達して所定の日数が過ぎればクーリング・オフができなくなること、一定の画面の大きさの機器を日常的に使い自分で操作できる人に限って電磁的方法で受け取れること、の4点です[5]。

条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第10条第1項第3号(抜粋)e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「…申込みをした者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該申込みをした者に到達したものとみなされ、かつ、当該記録がされた日から起算して八日を経過した場合においては、法第九条第一項の規定による申込みの撤回等ができなくなること。」

解説この号は、書面の到達の時と、期間が終わる時を、買い手に説明することを求めています。電子交付で渡した日を契約日や発送日と混同した説明は、この号を満たしません。電話勧誘販売の特商法施行規則50条1項3号は24条1項を、連鎖販売取引の特商法施行規則83条1項3号と業務提供誘引販売取引の特商法施行規則124条1項3号は、20日を経過した場合を、それぞれ指しています。
条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第10条第1項第4号(抜粋)e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「法第四条第二項の規定による電磁的方法により提供される事項を閲覧するために必要な電子計算機…を日常的に使用し、かつ、当該提供を受けるために電子計算機を自ら操作…することができる申込みをした者に限り、法第四条第二項の規定による電磁的方法による提供を受けることができること。」

解説条文では、閲覧に必要な電子計算機の画面の大きさが数式で書かれています。映像面の最大径をセンチメートルで表した数値を2.54で割って四捨五入した数値が5以上、つまり5インチ以上の画面の機器です。スマートフォンも、この要件を満たせば電子計算機に含まれるとガイドラインは説明しています[11]。

第3の段階の確認は、事業者の側で「使えるはずだ」と判断することではありません。買い手が電子メールの送受信などの閲覧に必要な操作を自分で行えること、閲覧に必要な機器とメールアドレスを日常的に使っていること、機器のサイバーセキュリティを確保していること、買い手があらかじめ指定する人にも同じ内容を送る希望があるかどうか、の3つが確認の対象です[5]。確認の方法は、買い手が普段使っている機器を自分で操作し、事業者のウェブページなどを利用する形に限られます(特商法施行規則10条4項)。

条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第10条第5項e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「販売業者又は役務提供事業者は、申込みをした者が令第四条第一項の書面等に当該申込みをした者の氏名及び第一項の説明の内容を理解した旨を記入することにより、法第四条第二項の規定による承諾を得るものとする。」

「この場合において、販売業者又は役務提供事業者は、記号の記入その他の当該申込みをした者の当該承諾に係る認識が明らかにならない方法を用いてはならない。」

解説承諾の方式を決める項です。ガイドラインは、氏名等の具体的な記入を求めない、チェックボックスやボタンを押すだけの承諾は、政令の定める方式による承諾とならないと説明しています。キーボードで入力する形は、記入に含まれます[11]。

第4の段階の「書面等」とは、施行令4条1項が承諾の手段として挙げる、書面または情報通信の技術を使う方法のことです。特商法施行規則11条は、買い手が自分の機器から承諾する旨を送信して事業者の機器に記録される方法、事業者のウェブページで示された方法の種類と内容を見て承諾する旨を記録する方法、承諾する旨を記録した記録媒体を交付する方法を挙げています。いずれも、事業者が記録を出力して書面を作れることが条件です(特商法施行規則11条2項)。

承諾を得た後にも、条文には歯止めがあります。買い手から、書面等で「電磁的方法による提供を受けない」という申出があったときは、事業者は電磁的方法で提供してはならず、後に買い手から改めて承諾を得た場合に限って、再び電磁的方法に戻せます(施行令4条2項)[4]。この申出を受ける窓口を決めておかないと、承諾の画面は整っていても、運用の途中で違反状態に陥ります。

承諾を得たことを証する書面に書くこと

承諾を得たことを証する書面は、事業者が、電磁的方法による提供について買い手から承諾を得たことを、第三者からも外形で判断できるようにするための書面です。契約書面の記載事項が電磁的方法で提供されたことに、家族や周囲の人が気づけないと、被害が広がるおそれがあるためと、ガイドラインは説明しています[11]。

記載事項の細目は、規則には書かれていません。ガイドラインは、規定の内容から、買い手が書面の交付に代えて、どのような電磁的方法で提供を受けることに承諾したのかを明らかにした書面であることが典型例になる、と述べています。たとえば「ウェブサイトにアクセスしてファイルをダウンロードする方法で提供を受けることに承諾したため、売買契約についてはダウンロードしてもらうこととした」という趣旨の、日付と事業者名を添えた文書が、例として示されています[11]。

承諾を得たことを証する書面に入れる事項(ガイドラインの典型例から整理)

書く事項意味根拠・出典
買い手が承諾した事実買い手が、書面の交付に代えて電磁的方法で提供を受けることに承諾したこと特商法施行規則10条7項、ガイドライン8〜9頁
電磁的方法の種類と内容メール送信・ダウンロード・記録媒体のどれか。ファイルの形式施行令4条1項、特商法施行規則9条、ガイドライン9頁
対象の書面と取引どの取引の、どの書面(申込み時の書面・契約書面など)を電磁的方法にするかガイドライン9頁の記載例
日付と事業者名いつ承諾を得たか、どの事業者が交付する書面かガイドライン9頁の記載例
承諾を書面で得た場合その書面の写しを渡せば足りる(記載が足りる場合)特商法施行規則10条7項かっこ書、ガイドライン9頁

規則に細目はないため、実務では上の事項を書面に入れる設計が多い。ガイドラインの記載例は典型例の一つであって、これ以外の書き方を排除するものではない。

この書面の交付時期は、電磁的方法による提供を行う前です。承諾を得た日に同時に渡すか、その後、本体の提供より前に届くようにします。順序を逆にして、契約書面のPDFを先に送ってから承諾の書面を後追いで渡す運用は、条文の文言(「提供を行うまでに」)と合いません。

条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第10条第7項e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「販売業者又は役務提供事業者は、第一項の説明及び第三項の確認をした上で、法第四条第二項の規定による承諾を得たときは、申込みをした者に対し、同項の規定による電磁的方法による提供を行うまでに、当該承諾を得たことを証する書面(当該承諾を書面によつて得た場合においては、当該書面の写しを含む。)を交付しなければならない。」

解説説明と確認を済ませ、承諾を得たら、電磁的方法で提供する前に、承諾を得たことを証する書面を渡します。承諾を書面で得たなら、その書面の写しも、この書面に含まれます。

紙で出すか、電子で出せるか

承諾を得たことを証する書面の根拠は、取引ごとに施行規則の別の条にあります(訪問販売は特商法施行規則10条7項、電話勧誘販売は同規則50条7項、連鎖販売取引は同規則83条7項、特定継続的役務提供は同規則99条7項、業務提供誘引販売取引は同規則124条7項、訪問購入は同規則137条7項)[5][6][7]。

この書面は、「証する書面」「書面の写し」と規定されていることから、有体物としての書面、つまり紙媒体を交付するのが原則だと、ガイドラインは説明しています。そのうえで、不意打ち性や利益誘引性のない取引の契約書面、クーリング・オフに結び付かず早期に概要の把握を促すべき概要書面については、規則が例外を置いています[11]。例外が書かれている条項と、書かれていない条項を、取引ごとに表にします。

承諾を得たことを証する書面を電磁的方法で提供できる場合

取引の類型紙が原則の書面電磁的方法でも提供できる場合
訪問販売特商法施行規則10条7項の書面確認した範囲では、例外の定めは見当たらない
電話勧誘販売特商法施行規則50条7項の書面(支払受領通知の電子化では60条7項の書面)確認した範囲では、例外の定めは見当たらない
訪問購入特商法施行規則137条7項の書面確認した範囲では、例外の定めは見当たらない
連鎖販売取引特商法施行規則83条7項本文の書面(契約書面を電子化する場合)概要書面(法37条1項)を電磁的方法で提供する場合(同項ただし書)
業務提供誘引販売取引特商法施行規則124条7項本文の書面(契約書面を電子化する場合)概要書面(法55条1項)を電磁的方法で提供する場合(同項ただし書)
特定継続的役務提供特商法施行規則99条7項の書面(上記以外)概要書面(法42条1項)を電磁的方法で提供する場合、およびインターネットだけで申込みから役務の提供まで完結する取引の契約書面を電磁的方法で提供する場合(同条8項)

条文はe-Gov(取得日:2026年10月23日)で確認。例外が見当たらない取引は、その条の7項の文言に電磁的方法で代える旨の定めがないことの確認であり、他の条項に別の定めがないことまでは確認していない。

条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第99条第8項(抜粋)e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「役務提供事業者又は販売業者は、次に掲げる場合には、前項の規定による書面を電磁的方法により提供することができる。」

「一 法第四十二条第一項の書面に記載すべき事項を同条第四項の規定による電磁的方法により提供する場合」

解説特定継続的役務提供の例外です。第2号は、契約の申込みがインターネットで行われ、役務の提供もインターネットを通じて行われる取引の契約書面が対象で、オンラインとオフラインを買い手が選べる場合も含まれる、とガイドラインは説明しています[11]。
条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第83条第7項ただし書e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「ただし、法第三十七条第一項の書面に記載すべき事項を同条第三項の規定による電磁的方法により提供する場合においては、当該承諾を得たことを証する書面を電磁的方法により提供することができる。」

解説連鎖販売取引の例外です。業務提供誘引販売取引は、特商法施行規則124条7項ただし書に同じ構造で置かれています。

電話勧誘販売の事業者が「電話もオンラインも、完全にペーパーレスにしたい」と考える場面がありますが、特商法施行規則50条7項と60条7項に、電磁的方法で代えてよいとする定めは確認できません[6]。契約書面を電磁的方法で出す設計にすると、承諾を得たことを証する書面は紙で出すことになり、手順は紙の契約書面を直接郵送するより多くなります。電子交付を選ぶ利点が出るかどうかは、取引の件数と運用で比べて決めます。

電磁的方法で提供するときの禁止行為と、不備の効果

承諾の取得と提供の段階には、禁止行為が置かれています。訪問販売では、施行規則18条9号がその根拠で、イからリまでの類型が並びます[8]。ガイドラインは、この号が電磁的方法による提供を買い手の真意によるものにするための規定であることを、例を挙げて説明しています[11]。

電磁的方法による提供に際しての禁止行為(特商法施行規則18条9号。訪問販売)

号禁止される行為起きがちな場面
イ電磁的方法による提供を希望しない旨を表示した人に、その手続を進めること「紙で受け取りたい」と言われたのに、承諾の画面へ進める
ロ判断に影響することについて不実のことを告げること「法律上、紙の交付は禁止されている」などと説明する
ハ威迫して困惑させること「メールアドレスを教えるまでは帰らない」と述べる
ニ財産上の利益を供与すること電子で受け取る人だけ代金を割り引く
ホ書面の交付につき、費用の徴収その他の財産上の不利益を与えること紙の交付だけ諸経費を徴収する
ヘ・ト確認に際して不正の手段で不当な影響を与えること、確認をしないか確認ができない人に電磁的方法で提供すること買い手の機器で確認せず、事業者側の判断で提供する
チ・リ承諾や受領を代行すること、その他、意に反して承諾させ受領させること担当者が買い手に代わって承諾の欄に入力する

「起きがちな場面」の例は、ガイドライン15〜17頁の説明を要約したもの。条文の逐語は、条文の引用欄を参照。

条文の引用特定商取引に関する法律施行規則 第18条第9号イ・ト(抜粋)e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「電磁的方法による提供を希望しない旨の意思を表示した顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に対し、電磁的方法による提供に係る手続を進める行為」

「第十条第三項の確認をせず、又は確認ができない顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に対し電磁的方法による提供をする行為」

解説営業の場面では、事業者が「電子で出したほうが早い」と考えて、買い手の意向の確認を飛ばしてしまうことがあります。この号は、そのような進め方を禁止行為にしています。ガイドラインは、訪問販売の条文を代表に説明しているため、他の類型の条番号は個別に確認してください。

不備の効果は二つあります。一つは行政上・刑事上の効果です。承諾の手続に不備があって書面を交付したものとみなされなければ、書面を交付せず、または必要な事項が記載されていない書面を交付したことになります。法71条1号は、これに当たる行為をした者を、6か月以下の拘禁刑と100万円以下の罰金のどちらか、または両方を科すと定めています[9]。

もう一つは民事上の効果で、買い手のクーリング・オフの権利がなくならないことです。書面の交付があるまで期間が進まないという考え方は、紙で渡す場合と同じです。電磁的方法による提供の場合は、その提供が適法に行われた時(買い手の機器のファイルに記録された時)から数えます[11]。承諾の手続の不備は、期間がいつ始まるかを事後に争われる原因になります。

書面の記載事項そのものの不備については、書面に不備があるとクーリング・オフ期間が始まらないで整理しています。契約書面の記載事項は契約書面の記載事項を条文の号ごとに整理した一覧、概要書面は概要書面の記載事項一覧に分けました。電子交付の画面や台本の作り方は、各ページを併せて確認してください。

よくある漏れ→正しいやり方

電子交付の設計で、実務に出やすい漏れを七つ取り上げます。並びは、論点が出やすい順です。いずれも、条文のどの号に当たるかを添えてあります。

書き方の例(一般的な例) 承諾の手続と承諾証明書面

承諾の取得そのもの

よくある書き方契約書面のPDFをメールに添付して送れば、電子交付になると考える。承諾の手続は取らない
整えた書き方電磁的方法の種類と内容を示し、説明・確認をしたうえで承諾を得る。承諾の前に、PDFを送らない

理由承諾なしの提供は、書面を交付したものとみなされない(法4条2項、施行令4条1項)。書面の交付義務の違反となるおそれがある

承諾の方式

よくある書き方「同意する」のチェックボックスやボタンだけで承諾を得る
整えた書き方氏名と、説明の内容を理解した旨を、買い手が記入または入力する形にする

理由特商法施行規則10条5項。記号の記入のように認識が明らかにならない方法は用いてはならない

機器等の確認

よくある書き方買い手の機器・メールアドレス・操作能力を確認せず、事業者の判断で電子交付に進む
整えた書き方特商法施行規則10条3項の3つの事項を、買い手が日常使う機器を自分で操作する形で確認し、記録する

理由確認をしないか、確認ができない人への提供は禁止行為(特商法施行規則18条9号ト)

到達と期間の説明

よくある書き方書面を送った日を起算日として説明し、記録された時に到達する点を説明しない
整えた書き方ファイルに記録された時に到達し、その日から8日(連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引は20日)で終わることを、平易な表現で説明する

理由特商法施行規則10条1項3号・2項。説明の欠落は承諾の手続の不備になりうる

承諾を得たことを証する書面

よくある書き方承諾のログやチェックの記録を社内に残すだけで、買い手には何も渡さない
整えた書き方電磁的方法で提供する前に、承諾を得たことを証する書面(承諾を書面で得たなら、その写し)を買い手に交付する

理由特商法施行規則10条7項。例外は連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引・特定継続的役務提供の一部に限られる

電子契約サービスとの混同

よくある書き方電子契約サービスの署名済みPDFが自動で送られるので、法定書面の電子交付も済んだと考える。承諾を契約書の条項の中で取る
整えた書き方署名の手続と、特商法の書面の電磁的方法による提供の手続を分ける。承諾は書面等の別の手続で、契約書面を渡す前に得る

理由契約書の本文の中の承諾は、書面を交付する前の承諾の手続にならない。契約書面を渡す前に承諾が済んでいる必要がある

電話勧誘販売の設計

よくある書き方電話勧誘販売でも、紙を1枚も送らずに完結できると考える
整えた書き方契約書面を電子化するなら、承諾を得たことを証する書面は紙で届ける。比較して、紙の契約書面を直接郵送する設計も検討する

理由特商法施行規則50条7項。電磁的方法で代える旨の定めは確認できない

これらのうち、第1と第5は、手順の欠落そのものです。第2から第4は、手順は置いたものの、画面や台本の文言が規則に届いていないために、形だけの承諾になる型です。画面を作る側と、条文を読む側が別の人であることが多いため、チェックの項目を条文の号に紐付けて持つと、変更のたびに確認しやすくなります。

確かめる問いと理由電子交付を始める前に確かめること

  1. 電子交付する書面は、どの取引の、どの書面か

    概要書面・申込み時の書面・契約書面で、例外の範囲(概要書面か、契約書面か)が変わるためです。

  2. 承諾の記入を、誰が、どの画面で、どう残すか

    特商法施行規則10条5項の方式を満たす画面と、承諾の記録の保存方法を決める必要があります。

  3. 承諾を得たことを証する書面を、いつ、どの方法で渡すか

    提供の前に届く順序にする必要があります。紙で出す場合の郵送日数も見込みます。

  4. 買い手が紙を希望したとき、誰が受け付け、どう切り替えるか

    施行令4条2項と特商法施行規則18条9号イの運用です。窓口の担当と記録様式を決めます。

  5. 提供後の確認を、誰が、どの方法で行うか

    施行令4条3項と特商法施行規則12条に基づく確認が、提供のたびに必要です。

確かめた結果は、承諾の画面、台本、社内の手順書に反映します。

電子契約サービスを使う場合の署名順序や、メール・LINEでの連絡の扱いは、電子契約の記事(書面交付と電子交付)と、契約前の説明の記事にも整理があります。また、承諾と同時に取り交わす契約書本文の作り方は、クーリング・オフの赤枠が必要な取引と記載事項の一覧と合わせて確認します。電磁的方法で提供した書面でも、赤枠の表示を明瞭に読める形で出す必要があります(特商法施行規則8条3項)。

ガイドラインは、明瞭に読めない例として、赤地に赤字で表示する場合、印刷して8ポイントを下回るような極端に小さい文字で表示する場合、極端に大きい文字で一画面に一文が入らない場合を挙げています[11]。電子で渡すPDFは、スマートフォンの画面でも読めるかを確かめてから出します。

この書類の作成・点検は、事務所で承ります。料金と進め方

根拠・出典

本文の[1][2]などの番号は、この一覧の番号に対応しています。

  1. 条文特定商取引に関する法律4条1項〜3項・5条3項(訪問販売の書面と電磁的方法による提供) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  2. 条文特商法18条2項・3項、19条3項、20条2項(電話勧誘販売) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  3. 条文同法37条3項・4項(連鎖販売取引)、42条4項・5項(特定継続的役務提供)、55条3項・4項(業務提供誘引販売取引)、58条の7第2項・3項(訪問購入) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  4. 条文特定商取引に関する法律施行令4条・9条・10条・21条・26条・32条・35条(承諾に関する手続等) https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295確認日:2026年10月23日
  5. 条文特定商取引に関する法律施行規則8条〜13条(訪問販売の書面の電磁的方法による提供と承諾の取得) https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
  6. 条文同規則48条〜53条・55条(電話勧誘販売の申込み時の書面)、58条〜61条(同20条の通知) https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
  7. 条文同規則83条7項、99条7項・8項、124条7項、137条7項(承諾を得たことを証する書面) https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
  8. 条文同規則18条9号(電磁的方法による提供に際しての禁止行為) https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
  9. 条文特定商取引に関する法律9条1項、24条1項、40条1項、48条1項、58条1項、58条の14第1項(クーリング・オフの期間)、71条1号(書面の不交付等の罰則) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  10. 条文同法13条2項、同法施行令8条、同法施行規則39条〜41条(前払式通信販売の承諾等の通知の電磁的方法による提供) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  11. 消費者庁消費者庁「契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」(通達別添4)。令和6年11月19日付通達に添付 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_240515_01.pdf確認日:2026年10月23日
  12. 国民生活センター国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」(2026年8月5日公表。経由相談を除く件数) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260805_1.html確認日:2026年10月23日

よくあるご質問

承諾は、同意のチェックボックスやボタンで足りますか。

足りません。特商法施行規則10条5項は、買い手が氏名と、説明の内容を理解した旨を記入する方法で承諾を得ることとし、記号の記入のように承諾に係る認識が明らかにならない方法を用いてはならないと定めています。ガイドラインは、必要事項の具体的な記入を求めないチェックボックスやボタン押下による承諾は、政令の定める方式による承諾とならないと説明しています。キーボードで入力する形は、記入に含まれます。

承諾を得たことを証する書面も、メールで送ってよいですか。

取引によります。規則は「書面」と定め、ガイドラインは紙媒体の交付が原則だと説明しています。例外は、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引の概要書面を電磁的方法で提供する場合、特定継続的役務提供の概要書面と、インターネットだけで完結する取引の契約書面を電磁的方法で提供する場合に置かれています。訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入では、確認した範囲で例外の定めは見当たりません。

クーリング・オフの期間は、電子で送ったとき、いつから数えますか。

買い手の機器のファイルに記録された時に到達したものとみなされ、その日から数えます(法4条3項など)。記録媒体を交付する方法は、実際に交付した日から数えます。期間は訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問購入が8日、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引が20日です。

買い手が「紙で受け取りたい」と言った場合は、どうすればよいですか。

電磁的方法による提供の手続を進めてはなりません。希望しない旨の意思を表示した人に手続を進める行為は禁止行為です(訪問販売では特商法施行規則18条9号イ)。承諾を得た後でも、書面等で提供を受けない旨の申出があれば、電磁的方法で提供できなくなります(施行令4条2項)。紙で交付する運用に切り替える手順を用意しておきます。

通信販売でも、承諾を得たことを証する書面が必要ですか。

確認した範囲では、必要とする定めは見当たりません。通信販売には契約書面の交付義務がなく、前払式の通信販売で承諾等を通知する書面(13条1項)の電磁的方法による提供の手続は、施行令8条と特商法施行規則39条から41条に置かれていますが、承諾を得たことを証する書面の交付を求める条項は確認できませんでした。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月23日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所

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