占い・スピリチュアルのクーリング・オフと返金規約

占いは7業種にないから返金不可・解約不可と書く前に、申込みの導線で通信販売・電話勧誘販売・訪問販売のどれかを判定する必要があります。導線ごとの書類、返金規約の点検、霊感等を用いた勧誘の取消し、処分と相談の事例を整理します。

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同じ鑑定でも、申込みの導線が違えばクーリング・オフの有無が変わります。

このページの要点

  • 占いは特定継続的役務提供に指定されていない。通信販売・電話勧誘販売・訪問販売のどれかを勧誘の導線で判定する。
  • ネットのフォームだけなら通信販売でクーリング・オフはない。通話・ビデオ通話の勧誘は電話勧誘販売、会場は訪問販売。
  • 返金不可・解約不可の規約も、消費者契約法9条1項1号・10条で点検される。通信販売だからと全員に「適用外」と書かない。
  • 霊感等で不安をあおり契約が必要不可欠と告げる勧誘は、消費者契約法4条3項8号により3年間取り消せる。

結論:占い・スピリチュアルは7業種に入らない。勧誘の導線で、通信販売・電話勧誘販売・訪問販売のどれかを先に決める

このページの結論

誰に当てはまるか
占い・鑑定、スピリチュアルの面談、霊性・心理系のオンライン講座、開運アイテムを個人に売る事業者(占い師、講座主宰者、サロン運営者)。
何をすべきか
「占いは7業種にないから返金不可・解約不可」と一律に書く前に、申込みの導線(サイト、通話・ビデオ通話、セミナー会場)ごとに類型を決め、その類型の表示・書面と、消費者契約法に沿った返金・解約規約を整える。
期限
通信販売ならクーリング・オフはなく、返品特約や解約条件は広告と最終確認画面で表示する。電話勧誘販売と訪問販売なら、契約書面を受け取った日から8日のクーリング・オフが働く。

結論の表:占い・スピリチュアル

項目内容
当てはまる取引の類型
  • サイト・アプリで申込み(通話も会場もなし)
    → 通信販売(診断結果 R07)
  • 電話・ビデオ通話で勧誘したあとに申込み
    → 電話勧誘販売(診断結果 R05)
  • セミナー・会場で当日に申込み
    → 訪問販売(診断結果 R03)
  • 買い手が自分から電話をかけて占いを申し込む
    → 買い手が自分から請求(診断結果 R12)
当てはまらない場合の条件
  • 購入者が営業のために又は営業として契約する場合(名義でなく実質で判断)(特商法26条1項1号(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売)、50条1項1号(特定継続的役務提供))
  • 買い手が契約のために電話をかけることを請求した場合(請求の意思が明確なときに限る)(特商法26条7項1号)
必要な書類(要るもの・要らないもの)
  • サイト・アプリで申込み(通話も会場もなし)
    要=特商法に基づく表記・最終確認画面の表示/条件付き=返品特約の表示/任意=利用規約/不要=概要書面(申込み時の書面)・契約書面・赤枠・承諾書面(電子交付時)・商品・関連商品の記載
  • 電話・ビデオ通話で勧誘したあとに申込み
    要=契約書面・赤枠・商品・関連商品の記載/条件付き=概要書面(申込み時の書面)・承諾書面(電子交付時)/任意=利用規約/不要=返品特約の表示・特商法に基づく表記・最終確認画面の表示
  • セミナー・会場で当日に申込み
    要=契約書面・赤枠・商品・関連商品の記載/条件付き=概要書面(申込み時の書面)・承諾書面(電子交付時)/任意=利用規約/不要=返品特約の表示・特商法に基づく表記・最終確認画面の表示
  • 買い手が自分から電話をかけて占いを申し込む
    民事の契約書面(特商法の書面が要るかは、適用除外の要件を満たすかで決まる)
クーリング・オフの期間
  • サイト・アプリで申込み(通話も会場もなし)
    なし(役務は15条の3の対象外。返金条件は契約と広告で定める)
  • 電話・ビデオ通話で勧誘したあとに申込み
    8日(特商法24条1項)
  • セミナー・会場で当日に申込み
    8日(特商法9条1項)
  • 買い手が自分から電話をかけて占いを申し込む
    要件次第(適用除外なら働かない)
中途解約の有無と上限
  • 訪問販売:特商法に定めなし。解約・返金の条件は契約で定め、消費者契約法の規制を受ける(消費者契約法8条〜10条)
  • 電話勧誘販売:特商法に定めなし。解約・返金の条件は契約で定め、消費者契約法の規制を受ける(消費者契約法8条〜10条)
  • 通信販売:特商法に定めなし。解約・返金の条件は契約で定め、消費者契約法の規制を受ける(消費者契約法8条〜10条)

占いは指定7役務に入りません。まず勧誘の導線で取引の類型を判定します。 診断の分かれ道は診断の結果、取引の類型ごとの一覧は7類型の早見表にあります。

占い・鑑定は、特定継続的役務提供(法律が定める7つの継続的な役務。エステ、語学、学習塾など)に指定されていません。そのため、「期間と金額の線」で判定する他のサービスと違い、どの類型に入るかは勧誘の導線で決まります[1][5]。表の4つの導線が、そのまま判定の入口です。

導線と結果の対応は、診断の結果の通信販売(役務)、電話勧誘販売、訪問販売(会場)、買い手が自分から請求した場合と同じです。全類型の一覧は7類型の早見表にあります。導線の考え方の基本は取引の見分け方で説明しています。

判定の根拠:導線ごとの類型、適用除外、消費者契約法

通信販売と電話勧誘販売の境目は「電話での勧誘」

通信販売は、郵便その他の方法で申込みを受けて行う販売や役務の提供のうち、電話勧誘販売に当たらないものです。つまり電話勧誘販売かどうかが先に判断され、当たらないものが通信販売になります[1]。

条文の引用特定商取引に関する法律 第2条第3項e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「販売業者又は役務提供事業者が、電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該売買契約を郵便等により締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は電話勧誘顧客から当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該役務提供契約を郵便等により締結して行う役務の提供をいう。」

解説要素は三つです。事業者が電話をかける(又は政令の方法でかけさせる)こと、その電話で契約の勧誘をすること、申込みを郵便等(フォームやメールを含む)で受けることです。占い師がSNSで無料鑑定を案内し、通話やビデオ通話で高額な講座を勧めて、あとでフォームに申し込ませる流れは、この三つがそろいます。

インターネット回線を使う通話は、映像を伴うものを含めて「電話」に当たり、通話のURLを送って通話に誘うことも「電話をかけ」に当たる、というのが消費者庁の整理です[9][11]。LINE通話、Zoom、Google Meetなどの名称は問いません。

「電話をかけさせる方法」は、勧誘の目的を告げずに電話をかけさせる場合と、他の者より著しく有利な条件を告げて電話をかけるよう要請する場合です(特商法施行令2条)[1]。「無料で運勢を見ます」とだけ案内して通話に誘い、その場で有料の講座を勧める流れは、前者に近づきます。

会場での申込みは訪問販売

セミナーや開運イベント、貸会議室でのワークショップなど、営業所等以外の場所で申込みを受ければ訪問販売です(特商法2条1項1号)。営業所等は、営業所、代理店、露店や屋台に類する店、一定期間商品を陳列して販売する店舗に類する場所などで、一時的に借りた会議室は含まれません(同法施行規則1条)[1][2]。イベント会場に呼び出して申込みを受ける場合も、特定顧客への販売として訪問販売に入りえます。会場・展示会販売で詳しく扱っています。

クーリング・オフが働かない場合:通信販売と適用除外

ネットのフォームだけで申込みを受ける占い・鑑定は、役務の通信販売です。通信販売にクーリング・オフはなく、「商品の引渡しを受けて8日」の返品の規定(特商法15条の3)は商品と特定権利が対象で、役務の鑑定は含まれません[4]。その代わり、広告に価格、支払時期、申込みの撤回又は解除に関する事項を表示し(11条)、最終確認画面で分量や価格などを分かりやすく表示します(12条の6)[4]。

通信販売でも訪問販売でも電話勧誘販売でも、買い手が営業のために又は営業として契約する場合は、特商法の該当章が適用されません(26条1項1号)[3]。さらに電話勧誘販売には、買い手が契約のために電話をかけることを請求した場合の除外があります。

条文の引用特定商取引に関する法律 第26条第7項第1号e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結するために電話をかけることを請求した者(電話勧誘行為又は政令で定める行為によりこれを請求した者を除く。)に対して行う電話勧誘販売」

解説除外されるのは、買い手が申込みや契約のために電話してほしいとはっきり求めた場合です。消費者庁は、相談目的で電話を依頼しただけの場合は多くが「請求した者」に当たらないとし、勧誘目的を告げずに請求させた場合は除外にならないとしています。買い手が自分から電話をかけて占いを申し込む場合は、この除外に近い扱いになります。

「営業のために」の判断は、名義でなく実態で決まります。「稼ぐ目的」があるだけでは営業のための契約にならず、取引への習熟などを総合して判断する、というのが消費者庁Q&Aの整理です[10][11]。受講者が占い師を目指す講座でも、収入が見込める、事業としての意思があるといった事情だけで、除外が当然に認められるわけではありません。事業者間契約の適用除外が詳しいです。

どの類型でも残る、消費者契約法

特商法の対象でない契約も、買い手が個人で、事業のためでなければ消費者契約法の対象です。同法でいう「消費者」は、事業として、または事業のために契約する場合を除いた個人です[6]。

条文の引用消費者契約法 第4条第3項第8号e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げること。」

解説これを告げられて困惑し、契約を結んだ消費者は、契約の申込み又は承諾の意思表示を取り消すことができます(同条3項柱書)。占いの結果そのものでなく、「このままでは重大な不利益を避けられない、だから契約が必要不可欠」と告げる勧誘が対象です。
条文の引用消費者契約法 第7条第1項e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「第四条第一項から第四項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間(同条第三項第八号に係る取消権については、三年間)行わないときは、時効によって消滅する。 当該消費者契約の締結の時から五年(同号に係る取消権については、十年)を経過したときも、同様とする。」

解説霊感等の告知による取消権は、他の取消事由より長く、追認できる時から3年、契約から10年です。クーリング・オフの期間とは別に、長期間残る点に注意が要ります。

返金や解約の規約は、消費者契約法8条の2(事業者の債務不履行による消費者の解除権を放棄させる条項)、9条1項1号(解除に伴う違約金等が平均的な損害を超える部分)、10条(消費者の利益を一方的に害する条項)で点検されます[7]。

条文の引用消費者契約法 第9条第1項第1号e-Gov法令検索(取得日:2026年10月23日)

「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分」

解説「受講料は一切返金しない」は、名称が違約金でなくても、中途解約に伴う金銭の取扱いとしてここで点検されます。解除の事由や時期の区分ごとに、事業者に生じる平均的な損害の範囲に収める必要があります。

講座形式で知識を教える契約は、割賦販売法の指定役務にも関係します。同法施行令の別表第一の三の第11号は、技芸又は知識の教授(第5号から第8号を除く)を掲げています[8]。自社で2月以上・3回以上に分けて受け取る、又はカード・提携ローンを使うときは、特商法とは別の書面や抗弁の接続の問題が出ます。分割払い・カードを参照してください。

よくある誤り→正しいやり方:占い・スピリチュアルで起きやすい型

実務でよく見られる例を、影響の大きい順に並べます。

1 7業種にないから、返金不可・解約不可を一律に書く

7業種に入らないことは、特継の中途解約の上限が働かないという意味にすぎません。民事の規約としての点検は残ります。「いかなる理由でも返金しない」「受講開始後は中途解約できない」と一律に書くと、消費者契約法9条1項1号と10条で無効と判断される部分が出るおそれがあります。

正しい運用は、解約・返金の条件を、時期と提供の進み具合ごとに区分することです。開始前、提供済みの回数、準備費用が個別に生じる部分を分け、事業者に生じる損害の範囲に収めます。返金しない規約に点検の順番をまとめました。

2 「通信販売なのでクーリング・オフ適用外」を全員に書く

規約の冒頭や特商法表記に、この一文をそのまま置くのは危険です。通信販売で完結する人にはその通りですが、通話で勧誘された人や会場で契約した人は、類型が電話勧誘販売や訪問販売に変わり、クーリング・オフが働きます。そこに「適用外」と告げれば、解除に関する事項の不実告知になりえます(特商法6条1項、21条1項)[5]。

導線ごとに書き分けるか、「通信販売の場合は」と条件を付けて書き、通話・会場の申込みには別の書面を使う、という整理が必要です。

3 導線に通話や会場があるのに、通信販売の整理だけで済ませる

無料鑑定のビデオ通話、LINE面談、講座説明会は、申込みボタンがウェブフォームでも、勧誘が通話や会場で行われていれば電話勧誘販売や訪問販売です。この場合、勧誘に先立つ氏名・目的・役務の種類の告知(特商法16条)、断った人への再勧誘の禁止(17条)、申込み時の書面と契約書面(18条、19条)が要ります[5]。フォームの利用規約だけでは足りません。オンライン講座の電話勧誘販売の判定と勧誘前の明示に、通話冒頭の告知の仕方があります。

4 不安をあおる表現の勧誘ルールがない

鑑定結果を使って「今契約しないと家族に不幸が起きる」「この講座を受けなければ運勢が悪化する」と告げる勧誘は、消費者契約法4条3項8号の取消事由になりえます。鑑定と契約の勧誘を同じ場面で行わない、結果を断定しない、契約の必要性を運勢に結びつけない、といったルールを台本と社内の取り決めにしておきます。

そのほかに多い型

  • 事業目的受講の申込区分で消費者契約法を外せると考える。自己申告でなく実態で判断されます(消費者契約法2条1項、特商法26条1項1号)。
  • 効果を断定する広告と、成果を保証しない免責の矛盾。「必ず当たる」「良縁が確実」と、規約の「成果は保証しない」が食い違うと、断定的な広告のほうが勧誘の場で問題になります。
  • 面談の当日キャンセル全額負担を、コース全体の返金不可と同じに扱う。面談1回分のキャンセル料と、コース全体の中途解約は、別の仕組みとして書き分けます。
  • アイテムや教材を「提供済み」とみなして返金から差し引く。提供済みの範囲と金額の根拠が説明できないと、9条1項1号の点検で残りません。

書類の作り方の要点:導線ごとに必要な書類を分ける

通信販売の導線:表記、最終確認画面、解約・返金の表示

通信販売の導線では、特商法に基づく表記(事業者の氏名・住所・電話番号、価格、支払時期、提供時期、申込みの撤回又は解除に関する事項など)を広告に載せます(11条、規則23条)。申込み直前の画面には、分量、価格、支払の時期・方法、提供時期、申込期間などを示します(12条の6)[4]。物品(開運アイテムなど)を同じページで売る場合は、返品特約の表示も別途必要です。特商法表記の事項、申込みフォーム、返品特約の表示で号ごとに整理しています。

ポイント課金や電話占いの課金では、有料に切り替わる時点と料金を画面で分かるようにします。国民生活センターは、無料のつもりで始めた鑑定が、有料のポイント料金の積み上がりにつながった事例を紹介しています(後述)。

電話勧誘販売の導線:勧誘前の告知、申込み時の書面、契約書面、赤枠

通話・ビデオ通話で勧誘するなら、通話の冒頭で事業者名、勧誘を行う者の氏名、役務の種類、契約の勧誘の電話であることを告げます(16条)。契約を結ばない意思を示した人には、勧誘を続けません(17条)。申込みを受けたら、遅滞なく申込み時の書面を、契約を結んだら契約書面を渡します(18条1項、19条)[5]。契約書面には、クーリング・オフの事項を赤枠の中に赤字で、8ポイント以上で書きます(規則46条2項・3項、47条6項)。概要書面、契約書面、赤枠を参照してください。

会場の導線:訪問販売の書面

会場で申込みを受ける場合は、勧誘に先立つ氏名等の明示(3条)、申込み時の書面(4条)、契約書面(5条)と赤枠(規則6条2項・3項、7条6項)を整えます。その場で契約を結ぶなら、申込み時の書面は契約書面にまとめられます。電子で渡す場合は、書面の電子交付の承諾の手順が前提です。

規約:導線を問わず、書類と一致させる

利用規約を置くなら、特商法表記、申込み画面、書面と食い違わせません。規約との関係に、食い違いの直し方を整理しました。キャンセル・解約の規定は、予約の鑑定、継続の会員、講座の三つで性質が違うため、区分して書きます。

関係する判例・処分事例・相談事例

裁判例:霊感を理由とする取消しと、紹介報酬つきの契約

裁判例霊感等を用いた勧誘と、代理店契約の連鎖販売取引への該当[15]

裁判所・判決日
熊本地方裁判所民事第2部 令和7年12月5日判決
事件番号
令和6年(ワ)第19号(損害賠償等請求事件)
確認した場所と範囲
裁判所「裁判例検索」https://www.courts.go.jp/hanrei/95413/detail4/index.html の判決全文(確認の範囲:全文。確認日:2026年10月23日)

事案の要旨「先祖が因縁で苦しんでいる」といった説明を受けた原告らが、家系図作成契約と、権利金のかかる代理店契約を結びました。原告らは、勧誘は意思決定の自由を侵し公序良俗に反するとして賠償を求め、認められない場合に備えて、消費者契約法4条3項8号などによる取消しと、特商法40条1項による解除に基づく返還を求めた事案です。

判断の要点裁判所は、各原告がどのような勧誘を受けたかの主張立証が足りないとして、不法行為や公序良俗違反を認めず、家系図作成契約について4条3項8号などの取消しも認めませんでした。他方、代理店契約は、新規代理店の紹介による報酬と、権利金という負担を組み合わせた取引で連鎖販売取引(特商法33条1項)に当たるとしました。契約書面に必要な記載がなく、20日が過ぎていてもクーリング・オフの期間が始まっていないとして、解除を有効とし、権利金の返還を認めました。この判決は令和7年12月の下級審判決で、上級審の結果は確認していません。

事業者の実務への示唆名称が「代理店」「認定講師」でも、紹介による報酬と権利金の組み合わせがあれば、連鎖販売取引と判断される場合があります。霊感等を理由とする取消しでは、個々の勧誘内容の記録が結論を左右するため、台本、説明会の資料、面談の記録を残す運用が根拠になります。同種の整理は連鎖・副業の判例に並べました。

裁判例返金しない特約と、入学金の考え方[16]

裁判所・判決日
最高裁判所第二小法廷 平成18年11月27日判決
事件番号
平成17年(受)第1158号(不当利得返還請求事件。民集60巻9号3437頁)
確認した場所と範囲
裁判所「裁判例検索」https://www.courts.go.jp/hanrei/33837/detail2/index.html の詳細ページ(確認の範囲:要旨のみ(判示事項・裁判要旨)。確認日:2026年10月23日)

事案の要旨大学の在学契約で、納付済みの授業料等を返還しないとする特約の効力が争われた事案です。

判断の要点裁判要旨によれば、この特約は損害賠償額の予定又は違約金の性質を持ち、消費者契約法9条1号(現行9条1項1号)の対象になります。「平均的な損害」の主張立証は、原則として無効を主張する側が負いますが、入学金は入学できる地位の対価で、特段の事情がない限り返還義務はないとされました。解除の時期によって結論が分かれています。

事業者の実務への示唆教育サービスの事案で、占いや講座にそのまま当てはまるわけではありません。ただ、「前払金は返金しない」という条項が、名称にかかわらず点検の対象になること、地位の対価と役務の対価を分けて考えることは、鑑定・講座の規約を設計するときの枠組みになります。返金しない特約判例にまとめています。

反対方向の事例も知っておくと設計の幅が分かります。大阪高裁(令和6年12月19日判決、令和5年(ネ)第1812号)は、テーマパークの入場チケットの規約中の、法令に基づく解除・無効の事由がなければキャンセルを認めないという条項を、個別の役務と利用権に直接の対応関係がないことなどから、消費者契約法10条に当たらないとしました[17]。個別に準備費用が生じる鑑定や講座には、そのまま当てはめられません。

行政処分:通話での勧誘と、解除を妨げる告知

2025年1月22日に消費者庁が行った電話勧誘販売の処分は、SNSの投稿からメッセージアプリに登録させ、通話のリクエストで電話をかけて勧誘していた事業者に、業務停止命令3か月、指示、代表取締役2名への業務禁止命令を出したものです[12]。違反の型は三つで、勧誘に先立つ事業者名の不明示(16条)、契約内容を明らかにする書面の不交付(19条1項)、解約に関して「事業主として見ているのでクーリング・オフはない」「既払い金は返金しない」などと告げて解除を妨げたこと(21条1項)です。申込みは、規約へのチェックボックスで受けていました。

占い・スピリチュアルの導線は、この流れと重なりやすい構造です。通話の冒頭の告知を台本に入れる、書面を申込み後に渡す、解約の相談には断定せず窓口で確認する、の三点が、同じ処分の型を避ける最低限の運用です。行政処分の事例、妨害行為と期間もご覧ください。

相談事例:占いサイトの課金と、講座の勧誘

国民生活センターが2020年11月26日に公表した資料では、占いサイト・アプリの相談は、2016年度1,490件、2017年度1,406件、2018年度1,430件、2019年度1,837件でした(PIO-NET)。2020年度は10月31日までで1,016件、約8割が女性です[13]。5年以上前の資料であり、最新年度の件数ではありません。

事例では、無料のつもりで始めたところ、鑑定士を名乗る相手から「必ず宝くじの高額当選に導く」と言われて、ポイント料金が積み上がったものや、電話占いが途中で切れずに高額請求になったものが紹介されています。事業者が防げるのは、有料に切り替わる時点と料金を画面で明示すること、成果を断定する表現を使わないことです。

講座やコンサルの勧誘については、2026年9月16日の国民生活センターの公表資料が参考になります。以前はSNS広告をきっかけに通信販売で契約する例が多かったのが、近年は広告で知った事業者からWeb会議サービスなどで勧誘されて契約する例がみられ、電話勧誘販売に当たる場合があると述べています[14]。同じ資料は、広告や説明会の訴求と実際の内容の食い違い、クレジットによる高額化、解約条件の説明不足を問題点に挙げました。なお、2025年度の電話勧誘販売の相談全体は66,768件です[18]。

ヒヤリングで確かめること、業種サイトの詳しい記事

確かめる問いと理由占い・スピリチュアルの契約を整理する前に確かめる6点

  1. 商品の種類は何か(単発の鑑定、継続の会員、講座、アイテム、対面の面談)

    継続や講座なら期間・総額の設計と割賦販売法、アイテムなら返品特約が論点に加わる

  2. 申込みの導線は何か(SNS、サイト、通話・ビデオ通話、LINE、説明会、会場)

    類型が導線で決まるため、判定の最初の入口になる

  3. 通話や会場での勧誘は誰が、どのような台本と記録で行うか

    電話勧誘販売・訪問販売の告知義務と、霊感等の表現の点検の元になる

  4. 総額と分割の有無(自社分割、カード、提携ローン)

    割賦販売法の書面や抗弁の接続が関係する

  5. 事業目的での受講を認める範囲と、その確認の方法

    自己申告でなく実態で判断されるため、確認の記録を残す必要がある

  6. 効果や成果に関する広告・勧誘の表現と、規約の免責の内容

    断定的な広告と免責の食い違いを防ぐ

確かめた内容を、導線ごとの書類、規約、広告の表示に反映します。

占い・鑑定の事業者向けの詳しい記事は、業種サイトにあります。

オンライン講座の導線はオンライン講座別、高額なコンサルやコーチングはコーチングで、同じ判定の考え方を扱っています。

根拠・出典

本文の[1][2]などの番号は、この一覧の番号に対応しています。

  1. 条文特定商取引に関する法律2条1項〜3項、同法施行令2条(電話をかけさせる方法) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  2. 条文特定商取引に関する法律施行規則1条(営業所等) https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
  3. 条文特定商取引に関する法律9条1項・24条1項・26条1項1号・26条7項1号 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  4. 条文特定商取引に関する法律11条・12条の6・15条の3、同法施行規則23条・24条 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  5. 条文特定商取引に関する法律3条・4条・5条・6条1項・16条・17条・18条1項・19条・21条1項、同法施行規則6条・7条・46条・47条 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
  6. 条文消費者契約法2条1項、4条3項8号、7条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061確認日:2026年10月23日
  7. 条文消費者契約法8条の2、9条1項1号、10条 https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061確認日:2026年10月23日
  8. 条文割賦販売法2条1項1号・5項、同法施行令1条3項、別表第一の三(第11号) https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000159確認日:2026年10月23日
  9. 消費者庁特定商取引法ガイド Q&A「電話勧誘販売の解釈に関するQ&A」(Q5ほか) https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/telemarketing.html確認日:2026年10月23日
  10. 消費者庁特定商取引法ガイド Q&A「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」(Q1ほか) https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/exclusion.html確認日:2026年10月23日
  11. 消費者庁通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日付)第2章(PDF頁6・54・63) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_2401119_01.pdf確認日:2026年10月23日
  12. 消費者庁電話勧誘販売に対する行政処分(処分日2025年1月22日、公表2025年1月23日) https://www.caa.go.jp/notice/entry/040837/確認日:2026年10月23日
  13. 国民生活センター「それって占い?!」占いサイトのトラブルに注意(2020年11月26日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20201126_1.html確認日:2026年10月23日
  14. 国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」(2026年9月16日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_3.html確認日:2026年10月23日
  15. 裁判例熊本地方裁判所民事第2部 令和7年12月5日判決 令和6年(ワ)第19号。判決全文を確認。上級審の結果は未確認 https://www.courts.go.jp/hanrei/95413/detail4/index.html確認日:2026年10月23日
  16. 裁判例最高裁判所第二小法廷 平成18年11月27日判決 平成17年(受)第1158号(民集60巻9号3437頁)。判示事項・裁判要旨を確認 https://www.courts.go.jp/hanrei/33837/detail2/index.html確認日:2026年10月23日
  17. 裁判例大阪高等裁判所第5民事部 令和6年12月19日判決 令和5年(ネ)第1812号(当裁判所の判断の主要部分を確認。上告等の結果は未確認) https://www.courts.go.jp/hanrei/93729/detail4/index.html確認日:2026年10月23日
  18. 国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」(2026年8月5日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260805_1.html確認日:2026年10月23日

よくあるご質問

占いのオンライン鑑定は、通信販売だからクーリング・オフはないと考えてよいですか。

ネットの申込みフォームだけで完結し、通話や会場での勧誘がないなら通信販売で、クーリング・オフはありません。ただし、通話・ビデオ通話で勧誘して申込みを受けるなら電話勧誘販売、会場なら訪問販売です。導線ごとに判定します(特商法2条1項〜3項)。

買い手が自分から電話をかけて鑑定を申し込む場合は、どう扱いますか。

契約のために電話をかけることを買い手が請求した場合は、電話勧誘販売の規定の一部が適用されません(特商法26条7項1号)。ただし、請求と言えるのは申込みや契約のために電話してほしいとはっきり求めた場合などで、相談目的で電話を依頼しただけの場合は多くが該当しません。

「受講開始後は中途解約できない」と規約に書いておけば足りますか。

足りません。占いは特定継続的役務提供の7業種に入りませんが、消費者契約法9条1項1号、10条で規約は点検されます。開始前・提供済みなどの区分ごとに、事業者に生じる損害の範囲に収める設計が必要です。電話勧誘販売・訪問販売に当たる契約のクーリング・オフを妨げる定めは無効です。

鑑定の結果を踏まえて講座を勧めることは、問題になりますか。

鑑定結果を使って、このままでは重大な不利益を避けられないと不安をあおり、契約が必要不可欠だと告げる勧誘は、消費者契約法4条3項8号の取消事由になりえます。鑑定と契約の勧誘を同じ場面で行わず、運勢と契約を結びつけない取り決めが有効です。

受講者が占い師を目指す場合は、事業者間の契約として扱えますか。

名義や目的の自己申告だけでは決まりません。営業のために又は営業として結ぶ契約かどうかは、取引への習熟、利益活動との関連、設備の準備などの実態から総合的に判断されます。事業目的の申込区分は設けても、確認の記録を残し、個人の受講者には消費者向けの規律で運用するのが安全です(特商法26条1項1号)。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月23日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所

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