このページの要点
- 意味は条文を写さず、事業者が書類や運用を決めるときに必要な範囲で言い換えています
- 根拠条文は項・号まで示し、e-Gov法令検索(2026年10月23日時点)で確認したものに限ります
- 期間の語(起算、発信主義)と書面の語(概要書面、契約書面、赤枠)は一対で読みます
- 各語から、詳しい解説ページと早見表へ進めます
結論:まず「起算」「営業所等」「概要書面」「抗弁の接続」から引く
このページの結論
- 誰に当てはまるか
- 契約書面・申込み画面・特商法に基づく表記・規約を整える事業者で、条文や通達の言葉が分からず先に進めない方
- 何をすべきか
- 知りたい語を下の一覧から引き、意味・根拠条文・解説ページの3点を確かめる。本文で初めて出る語は、その場の注記からここへ戻れる
- 期限
- 特定の期限はありません。ただし、クーリング・オフの8日・20日は書面を受け取った日が起算点になるため、期間に関わる語(「起算」と「発信主義」)から先に確認してください
このページは、クーリング・オフと特商法を読むときに出てくる65の語を、意味・根拠条文・詳しいページの順で整理した用語集です。意味は、条文の言い回しをそのまま写すのではなく、事業者が書類や運用を決めるときに必要な範囲で言い換えています。条文は項・号まで示し、e-Gov法令検索(2026年10月23日時点)で確認したものに限っています。
語は、取引の類型、特定継続的役務などの特別な類型、書面、期間と通知、勧誘と広告、清算と決済、資料の順に並べています。各ページの本文で初めて出てくる専門用語は、その場で意味を注記し、この用語集へリンクしています。
読み方のコツは3つあります。第1に、特商法は取引の類型ごとに条が分かれており、「訪問販売の4条、電話勧誘販売の18条」のように、同じ内容の規定が類型の数だけ並んでいます。第2に、法律の本文は大枠だけを定め、書面の記載事項や期間・金額は政令(施行令)と省令(施行規則)に委ねています。第3に、役務を売る事業者も「販売業者又は役務提供事業者」の一員で、条文の名宛人です。
取引の類型と、対象になる人・場所の言葉
最初に押さえたいのは、通信販売と電話勧誘販売の境目です。法は、通信販売を「電話勧誘販売に該当しないもの」と定義しています。申込みの手段がフォームであっても、その前に事業者が電話で勧誘していれば、電話勧誘販売の側に入ります。
「その電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け」
- クーリング・オフ
一定の取引で、法定の書面を受け取った日から決まった期間内なら、理由を問わず、書面又は電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができる制度です。期間は、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入が8日、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引が20日です。通信販売には、クーリング・オフの規定はありません(商品等の返品の規定があります)。
条文:特商法9条1項(訪問販売)、24条1項(電話勧誘販売)、40条1項(連鎖販売取引)、48条1項(特定継続的役務提供)、58条1項(業務提供誘引販売取引)、58条の14第1項(訪問購入)、15条の3第1項(通信販売の返品)[1][2]
- 訪問販売
営業所等以外の場所で申込みを受け、又は契約を結んで行う販売や役務の提供と、営業所等でも特定顧客から申込みを受け、又は契約を結んで行うものをいいます。自宅や職場への訪問だけでなく、貸会議室のセミナー会場なども、営業所等に当たらなければ「営業所等以外の場所」になります。
条文:特商法2条1項1号・2号[1]
- 営業所等
訪問販売かどうかを分ける場所の基準です。営業所、代理店、露店や屋台店などの店、一定期間にわたって商品を並べて売る店舗に準じる場所、自動販売機のような設備を置いた場所が挙げられています。1日限りの会場がこれらに当たるかは、個別に確かめます。
- 特定顧客
営業所等で申込みを受けても訪問販売になる相手方です。営業所等以外の場所で呼び止めて営業所等に同行させた者のほか、政令の方法で誘引した者が含まれます。政令の方法には、勧誘のためであることを告げずに来訪を要請する方法と、他の者より著しく有利な条件で契約できると告げて来訪を要請する方法があります。
- 通信販売
郵便等により売買契約や役務提供契約の申込みを受けて行う商品・特定権利の販売や役務の提供のうち、電話勧誘販売に当たらないものです。つまり、通話での勧誘を伴わず、フォームやメールなどで申込みを受ける取引が中心になります。クーリング・オフはなく、広告の表示事項や申込み画面の表示などの規律があります。
条文:特商法2条2項、11条、12条の6[1]
- 郵便等
申込みを受ける手段を指す言葉です。郵便や信書便のほか、電話機・ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法、電報、預金又は貯金の口座に対する払込みが挙げられています。ネットの申込みフォームは、情報処理の用に供する機器を利用する方法に当たります。
- 電話勧誘販売
事業者が電話をかけ(又は政令の方法で電話をかけさせ)、その電話で契約締結の勧誘をして、相手方から郵便等で申込みを受け、又は契約を結ぶ販売や役務の提供です。申込みの手段がフォームでも、勧誘が電話で行われていれば、この類型に入ります。通達は、インターネット回線を使う通話(映像を伴う場合を含む)も「電話」に当たるとしています(PDF6頁)。
- 電話をかけさせる方法
事業者から電話をかけるのではなく、相手に電話をさせる場合でも電話勧誘販売になる政令の方法です。勧誘のためであることを告げずに電話をかけるよう要請する方法と、他の者より著しく有利な条件で契約できると告げて電話を要請する方法が定められています。買い手が広告を見て自発的に電話をかけた場合は、通信販売であって電話勧誘販売ではないとされています(通達PDF6〜7頁)。
- 特定権利
施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち政令で定めるもの、社債その他の金銭債権、株式や社員権などをいいます。訪問販売・通信販売・電話勧誘販売で、商品と並んで規制の対象になります。
条文:特商法2条4項1号〜3号[1]
- 販売業者・役務提供事業者・購入業者
販売業者は商品や特定権利を売る事業者、役務提供事業者は役務の提供の事業を営む者(2条1項1号で定義)、購入業者は物品の購入を業として営む者(訪問購入で出てくる側)です。条文は「販売業者又は役務提供事業者」と並べて書くため、講座やサロンのように役務を売る事業者も同じ義務の名宛人になります。
条文:特商法2条1項1号、58条の4[1]
- 訪問購入
購入業者が営業所等以外の場所で売買契約の申込みを受け、又は契約を結んで行う物品の購入です。事業者が物を売る側ではなく買い取る側になる取引で、クーリング・オフは8日、期間中は物品の引渡しを拒むこともできます。政令で定める物品は対象から除かれます。
条文:特商法58条の4、58条の14第1項、58条の15[1]
- 営業のために若しくは営業として
買い手が自分の事業のために契約する場合を、特商法の規定の適用から外す基準です。名義が法人や個人事業主かではなく、契約の目的や実態で判断されます。消費者庁のQ&Aは、稼ぐ目的があるだけでは営業のための契約にならないとし、通達は取引への習熟などを総合して判断する考え方を示します(PDF54頁)。
条文:特商法26条1項1号(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売)、50条1項1号(特定継続的役務提供)、58条の17第1項1号(訪問購入)[1][6][5]
- 請求した者
訪問販売では、その住居で契約の申込み・締結をすることを請求した者への販売、電話勧誘販売では、契約のために電話をかけることを請求した者への販売が、適用除外になります。請求の意思が明確な場合に限られ、事業者が訪問や電話を申し出て承諾を得ただけでは請求になりません。勧誘のためであることを告げずに電話を請求させた場合などは、除外から外れます。
- 適用除外
特商法の規定が当てはまらないとされる取引の総称です。訪問販売・通信販売・電話勧誘販売は26条、特定継続的役務提供は50条、訪問購入は58条の17に定められています。営業のための契約のほか、契約と同時に全部が履行され代金等の総額が政令の金額(3,000円)に満たない場合など、除外の理由は条ごとに異なります。
特定継続的役務・連鎖販売・業務提供誘引販売の言葉
- 特定継続的役務提供
政令で定める7つの役務(エステ、美容医療、語学、家庭教師型・学習塾型の学力の教授、パソコン、結婚相手紹介)を、役務ごとに定める期間を超えて提供し、5万円を超える金銭を受け取る契約です。勧誘された場所や手段を問わず対象になるのが、訪問販売などとの違いです。期間は、エステと美容医療が1月超、そのほかが2月超です。
- 特定継続的役務
国民の日常生活に関わる有償の取引として継続的に提供される役務のうち、身体を美しくする、知識や技能を高めるといった目的を掲げて勧誘が行われ、その目的を達成できるかどうかが役務の性質上はっきりしないものとして、政令で定めたものです。この2つの条件を満たす役務が、政令の別表に列挙された7つです。
- 関連商品
特定継続的役務の提供に際し、買い手が購入する必要のある商品として政令で定めるものです。役務ごとに別表第五で種類が決まっています。関連商品の販売契約も、役務の契約と同様にクーリング・オフで解除でき、中途解約でも解除できます。ただし、使用・消費で価額が著しく減少するおそれのある一定の関連商品は、使用・消費すると解除できません。
- 連鎖販売取引
物品の再販売・受託販売・販売のあっせん等をする者を、特定利益を得られるとうたって勧誘し、特定負担を伴う取引をするものです。「人を紹介すれば報酬が出る」といった仕組みで人を誘い、買わせる取引が典型です。クーリング・オフは20日で、20日経過後も将来に向かって解除できます。
条文:特商法33条1項、40条1項、40条の2第1項[1]
- 特定利益
連鎖販売取引で、商品の再販売、受託販売、販売のあっせんをする他の者などが提供する取引料その他の主務省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいいます。組織に加わった人の取引料などに由来する収入を指す、連鎖販売かどうかを見分ける中心の要素です。
条文:特商法33条1項[1]
- 特定負担・取引料
特定負担は、商品の購入、役務の対価の支払、取引料の提供をいいます。取引料は、取引料、加盟料、登録料、保証金など名義を問わず、取引をするに際して提供される金品です。連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引は、どちらも特定負担を伴うことが定義の要素になっています。
条文:特商法33条1項・3項、51条1項・2項[1]
- 統括者
連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し、又は役務の提供について自己の商号その他特定の表示を使用させ、取引に関する約款を定め、あるいは経営に関し継続的に指導を行うなどして、一連の連鎖販売業を実質的に統括する者です。勧誘前の氏名等の明示や書面の義務を負う主体として条文に出てきます。
条文:特商法33条2項、33条の2[1]
- 業務提供誘引販売取引
商品や役務を利用する業務(提供者自らが提供・あっせんするものに限る)に従事すれば利益が得られるとして相手方を誘引し、特定負担を伴う商品の販売や役務の提供の取引をするものです。在宅ワークや内職、モニターのような仕組みが典型で、クーリング・オフは20日です。自分の事業の知識を学ぶだけの講座は、通常は定義に入りません。
条文:特商法51条1項、58条1項[1]
書面と電子交付の言葉
書面の呼び名は、条文と実務で揺れます。条文は「申込みの内容を記載した書面」「契約の内容を明らかにする書面」「概要について記載した書面」などと書き分けており、実務では前者2つを合わせて概要書面・契約書面と呼びます。同じ言葉でも類型によって交付の時期が違うので、書類を作るときは、取引の類型を決めてから語を引いてください。
「書面には書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載しなければならない。」
- 概要書面(申込み時の書面)
契約の前後に渡す、取引の条件をまとめた書面の呼び名です。訪問販売と電話勧誘販売、訪問購入では、申込みを受けたときに「申込みの内容を記載した書面」を直ちに(電話勧誘販売は遅滞なく)交付します。申込みを受けた際に契約を結んだ場合は不要です。特定継続的役務提供・連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引では、契約を結ぶ前(特定継続的役務提供は締結までに)に交付する概要の書面です。
条文:特商法4条1項、18条1項、37条1項、42条1項、55条1項、58条の7第1項[1]
- 契約書面
契約を結んだ後(申込みと同時に契約を結んだときは直ちに)渡す、契約の内容を明らかにする書面です。クーリング・オフの8日・20日を数え始める基準になる書面でもあります。記載事項が欠けると、期間が進まないことがあります。
条文:特商法5条1項・2項、19条1項・2項、37条2項、42条2項、55条2項、58条の8第1項・2項[1]
- 赤枠
書面の内容を十分に読むべき旨と、クーリング・オフ等の事項を、赤枠の中に赤字で記載する書面の方式です。文字は8ポイント以上の大きさを用います。類型ごとに根拠の条が異なり、通信販売には赤枠の定めがありません。
条文:特商法施行規則6条2項・3項、7条6項、46条2項・3項、47条6項、92条2項、94条3項・4項、133条2項・3項、134条2項(順に、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問購入)[3]
- 8ポイント
日本産業規格Z8305で定める8ポイント以上の大きさの文字及び数字を、法定の書面に用いなければならないという基準です。赤枠の中だけの要件ではなく、書面全体に係る要件として規則に書かれています。
条文:特商法施行規則6条3項、22条2項[3]
- 電磁的方法による提供(書面の電子交付)
書面の交付に代えて、相手方の承諾を得て、記載事項を電子メールなどの電磁的方法で提供できる制度です。承諾を得て提供すれば書面を交付したものとみなされ、到達はファイルへの記録がされた時とされます。承諾の取り方は政令と規則に細かく定められ、手順を外すと書面を交付したことになりません(通達別添4)。
条文:特商法4条2項・3項(訪問販売)、18条2項・3項(電話勧誘販売)、42条4項・5項(特定継続的役務提供)、同法施行令4条、同法施行規則10条[1][4][3][7]
- 承諾を得たことを証する書面
電子交付の承諾を得たときに、電磁的方法による提供を行うまでに交付しなければならない書面です。承諾を書面で得た場合は、その書面の写しも含まれます。訪問販売は規則10条7項に定めがあり、ほかの類型にも対応する条があります。
- 電磁的記録
電子的方式や磁気的方式など、人の知覚だけでは認識できない方式で作られる記録のうち、コンピュータによる情報処理に使われるものです。クーリング・オフの通知は、書面のほか電磁的記録でもできます。消費者庁のQ&Aは、電子メール、記録媒体、事業者サイトの専用フォーム、ファクシミリを例に挙げています。
- 返品特約
通信販売で、商品や特定権利の返品(申込みの撤回等)について広告に表示する特約です。表示があれば、商品を受け取った日から8日以内の返品の規定は適用されません。電子消費者契約では、広告に加えて、申込みとなる操作の画面の見やすい箇所に明瞭に判読できるよう表示します。役務は返品の規定の対象外です。
- 特商法に基づく表記
通信販売の広告に表示する事項を指す通称で、法律の用語ではありません。販売価格、代金の支払の時期・方法、商品の引渡時期や役務の提供時期、申込みの期間、申込みの撤回・解除に関する事項のほか、事業者の氏名又は名称・住所・電話番号などを表示します。
- 特定申込み・最終確認画面
特定申込みは、事業者が定めた様式の書面や、電子計算機の映像面に表示する手続に従って顧客が行う通信販売の申込みです。その書面や画面に、分量や11条1号〜5号の事項を表示する義務があり、申込みになることなどを誤認させる表示は禁止されます。「最終確認画面」はこの画面を指す通称です。表示義務の違反による誤認で申し込んだ場合、意思表示の取消しの対象になります。
条文:特商法12条の6第1項・2項、15条の4第1項[1]
期間・通知・効果の言葉
期間の語は、書面の語と一対で使います。クーリング・オフの期間は、法定の書面を受け取った日から数えるため、書面が不備であれば、期間が始まらないことがあります。
「申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。」
「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。」
- 起算
期間を数え始めることです。クーリング・オフは「書面を受領した日から起算して八日」と定められ、その前に概要書面(申込み時の書面)を受領していれば、その日から数えます。民法140条の原則は初日不算入ですが、消費者庁の逐条解説は、書面を受領した日を含む8日と説明し、4月1日に法定書面を受領していれば8日まではできるが9日からはできない、と例示します。
- 発信主義
クーリング・オフの効力は、通知を発した時に生じるという考え方です。通知が事業者に届いたのが期間を過ぎた後でも、期間内に発信されていれば有効です。逐条解説は、民法の到達主義の例外であり、期間のうちに通知を発すればよいと説明しています。
- クーリング・オフの効果(請求できないもの)
クーリング・オフがあったときは、事業者は損害賠償や違約金を請求できません。すでに使われた商品の使用利益や、提供済みの役務の対価も請求できず、役務に関連して受け取った金銭は速やかに返還します。商品の引取りの費用は事業者の負担で、役務に伴い現状が変更された場合、買い手は原状回復を無償で請求できます。
条文:特商法9条3項〜7項(訪問販売)、24条3項〜7項(電話勧誘販売)、48条4項〜7項(特定継続的役務提供)[1]
勧誘・広告・禁止行為・処分の言葉
- 氏名等の明示(勧誘目的の明示)
勧誘に先立って、事業者の氏名又は名称、契約締結の勧誘をする目的である旨、商品や役務の種類を相手に明らかにする義務です。電話勧誘販売では、勧誘を行う者の氏名も告げます。特定継続的役務提供の章には、これを直接定める条はありません。
条文:特商法3条(訪問販売)、16条(電話勧誘販売)、33条の2(連鎖販売取引)、51条の2(業務提供誘引販売取引)、58条の5(訪問購入)[1]
- 再勧誘の禁止
契約を締結しない旨の意思を表示した者に対して、同じ契約の勧誘をしてはならないという規定です。訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入に定めがあります。「検討します」のような返事がどこまで意思表示に当たるかは、事実関係で判断が分かれるため、断られた記録の残し方が実務上の論点になります。
条文:特商法3条の2第2項(訪問販売)、17条(電話勧誘販売)、58条の6第3項(訪問購入)[1]
- 不実告知
勧誘に際し、あるいは契約の解除を妨げるために、重要な事項について事実と異なることを告げる行為です。商品や役務の内容、対価、支払や提供の時期、クーリング・オフ等に関する事項、契約の必要性に関する事項などが対象で、類型ごとに条文があります。通信販売でも、申込みの撤回・解除を妨げるための不実の告知が禁止されます。
条文:特商法6条1項(訪問販売)、21条1項(電話勧誘販売)、34条1項(連鎖販売取引)、44条1項(特定継続的役務提供)、52条1項(業務提供誘引販売取引)、13条の2(通信販売)、70条1号(罰則)[1]
- 威迫
契約を締結させ、又は申込みの撤回・解除を妨げるために、人を威迫して困惑させる行為です。禁止行為として各類型に定められ、クーリング・オフの期間が延びる事由にもなります。
条文:特商法6条3項、21条3項、34条3項、44条3項、52条2項[1]
- 過量販売
日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品・特定権利の売買契約や、回数・期間・分量を著しく超えて役務の提供を受ける契約です。訪問販売と電話勧誘販売では、契約から1年以内なら、申込みの撤回等ができます。買い手に特別の事情があったときは、この限りではありません。
条文:特商法9条の2第1項・2項、24条の2[1]
- 誇大広告等の禁止
広告で、性能・内容・効果などについて、事実とかけ離れた表示をすることや、実際よりも著しく優れている、あるいは有利であるかのように思わせる表示をすることの禁止です。通信販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引に、それぞれ条文があります。違反には100万円以下の罰金が定められています。
条文:特商法12条(通信販売)、36条(連鎖販売取引)、43条(特定継続的役務提供)、54条(業務提供誘引販売取引)、72条1項1号(罰則)[1]
- 合理的な根拠を示す資料
主務大臣が、広告の表示が誇大広告にあたるかを調べるために、表示を裏づける合理的な根拠の資料を出すよう求める制度です。期間内に提出しないときは、その表示は誇大広告に該当するものとみなされます。通信販売は12条の2に定めがあり、他の類型にも対応する条があります。
条文:特商法12条の2(通信販売)[1]
- 電子メール広告の承諾(オプトイン)
通信販売で、相手方の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならないという規定です。相手方の請求に基づく場合や、申込者・契約者への通知の際など、例外が定められています。承諾等を得たことの記録の作成・保存や、拒否の意思表示を受けた後の送信禁止も定められています。
条文:特商法12条の3第1項〜3項、72条1項2号・3号(罰則)[1]
- ネガティブ・オプション(売買契約に基づかないで送付された商品)
注文を受けていない相手に、売買契約の申込みをして商品を送り付けることです。販売業者は、送り付けた商品の返還を請求できません。営業のために又は営業として締結することとなる売買契約の申込みには、この規定は適用されません。
条文:特商法59条1項・2項[1]
清算・中途解約・決済・消費者契約法の言葉
「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」
- 中途解約
クーリング・オフの期間が過ぎた後に、契約を将来に向かって終わらせる解除です。特定継続的役務提供は、書面を受領した日から8日を経過した後、将来に向かっていつでも解除できます。連鎖販売取引は、20日を経過した後、将来に向かって解除できます。
条文:特商法49条1項(特定継続的役務提供)、40条の2第1項(連鎖販売取引)[1]
- 損害賠償等の額の制限
契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金の定めがあっても、法が定める上限を超えて請求できないとする規定です。特定継続的役務提供の中途解約は、提供開始後なら提供済みの役務の対価と、政令が役務ごとに定める損害の額(エステなら2万円など)の合計、開始前なら契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として政令が定める額が上限です。
条文:特商法10条(訪問販売)、25条(電話勧誘販売)、49条2項1号・2号(特定継続的役務提供)、40条の2第3項・4項(連鎖販売取引)、同法施行令30条・31条、別表第四[1][4]
- 取消権
不実告知や、表示義務の違反による誤認などで意思表示をした買い手が、その意思表示を取り消せる権利です。特商法は、訪問販売で不実告知や故意の不告知があった場合(9条の3第1項)や、通信販売の特定申込みで表示義務に違反した場合(15条の4第1項)に定めています。取消権は、追認できる時から1年、契約の時から5年を経過すると消滅します(9条の3第4項)。
- 割賦販売(自社割賦)
代金等の受領が2月以上の期間に及び、かつ3回以上の分割になる約束で、指定商品・指定権利を販売し、指定役務を提供することです。事業者自身が分割で代金を受け取る方式で、割賦販売法の表示(3条)や書面(4条)の義務が生じます。
条文:割賦販売法2条1項1号、3条1項、4条1項[12]
- 指定役務
割賦販売法の規制の対象になる役務で、政令が定めるものです。政令の別表第一の三には、エステや美容医療、語学、学力の教授、パソコン、結婚相手紹介のほか、保養のための施設やスポーツ施設の利用、「技芸又は知識の教授」なども掲げられ、特商法の7つの役務より範囲が広くなっています。
- 包括信用購入あっせん
カード等を利用者に交付し、利用者がカード等を提示・通知して購入したときに、カード会社などが事業者に代金相当額を交付し、後で利用者から受領する仕組みです。クレジットカード払いが典型です。
条文:割賦販売法2条3項1号・2号[12]
- 個別信用購入あっせん
カード等を利用せず、特定の販売業者の販売や役務の提供を条件に、代金等に相当する金額を事業者に交付し、後で購入者から受領する仕組みです。いわゆる提携ローンや個別クレジットがこれに当たります。あらかじめ定められた時期までに受領するのが2月を超えない範囲のものは除かれます。訪問販売・電話勧誘販売に係る契約の勧誘で不実告知等があった場合は、クレジット契約の申込みの意思表示を取り消せます。
- 抗弁の接続
購入者が販売業者に主張できる事由を、支払を請求してくるカード会社や信販会社にも主張できる仕組みです。包括信用購入あっせんは割賦販売法30条の4第1項、個別信用購入あっせんは同法35条の3の19第1項に定めがあります。支払総額が政令の金額に満たない支払には適用されず、包括は4万円(リボルビング方式は3万8千円)、個別は4万円です。
条文:割賦販売法30条の4第1項・4項、30条の5第1項、35条の3の19第1項・4項、同法施行令21条1項・2項、26条[12][14]
- 平均的な損害
消費者契約法9条1項1号で、解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を合算した額が、解除の事由や時期などの区分ごとに、同種の消費者契約が解除されたときに事業者に生じるはずの損害額の平均を上回る場合に、その超える部分が無効になるという基準です。「返金しない」という書き方でも、実質が解除に伴う金銭負担であれば、この基準で点検されます。
条文:消費者契約法9条1項1号、10条[13]
資料・制度の言葉
- PIO-NET
全国消費生活情報ネットワークシステムの略称で、国民生活センターが公表する相談件数の元になるデータです。国民生活センターの「2025年度 全国の消費生活相談の状況」は、2026年5月末日までにPIO-NETに登録された苦情相談を対象とし、2025年度の相談総件数を1,006,377件としています。年度ごとの数字は、公表ページの年度と対象期間を確かめて引用します。
条文:(法令の用語ではありません)[16]
- 逐条解説
消費者庁が「特定商取引法ガイド」に掲載している、条文ごとの解説資料です。令和7年6月1日時点版が章別のPDFで公開されています。法律そのものではありませんが、所管官庁が条文をどう読んでいるかを示す資料として、起算の数え方や発信主義などの確認に使います。
条文:(法令の用語ではありません)[17]
- 通達
「特定商取引に関する法律等の施行について」の通称で、法の運用の考え方を示す文書です。現行は令和6年11月19日付で、別添として再勧誘禁止の運用指針、電磁的方法による提供のガイドライン、返品特約の表示のガイドラインなどが付いています。本サイトでは、通達の頁はPDF頁(表紙を1頁目とする)で示します。
条文:(法令の用語ではありません)[5]
取引の類型ごとの、クーリング・オフの期間と起算点の早見
| 取引の類型 | 期間 | 数え始める書面 |
|---|---|---|
| 訪問販売 | 8日 | 契約書面(先に申込み時の書面を受領していれば、その書面) |
| 電話勧誘販売 | 8日 | 契約書面(先に申込み時の書面を受領していれば、その書面) |
| 特定継続的役務提供 | 8日 | 契約書面 |
| 訪問購入 | 8日 | 契約書面(先に申込み時の書面を受領していれば、その書面) |
| 連鎖販売取引 | 20日 | 契約書面(再販売する商品の最初の引渡しが後なら、その引渡しを受けた日) |
| 業務提供誘引販売取引 | 20日 | 契約書面 |
| 通信販売 | クーリング・オフなし | 返品の8日は、商品の引渡し等を受けた日から(特約の表示があれば適用なし) |
数字と起算点は特商法9条1項、24条1項、40条1項、48条1項、58条1項、58条の14第1項、15条の3第1項のとおり。詳しくは「7類型の早見表」を見てください。
この用語集の語が出てくる各ページには、7類型の早見表とよくある質問まとめから入れます。自分の取引がどの類型に当たるかは、診断の結果から確かめられます。
根拠・出典
本文の[1][2]などの番号は、この一覧の番号に対応しています。
- 条文特定商取引に関する法律 本ページで挙げた条(2条、3条、3条の2、4条〜7条、8条、9条〜10条、11条〜13条の2、15条の3、15条の4、16条〜19条、24条〜26条、33条、33条の2、34条、36条、37条、40条、40条の2、41条〜44条、46条、48条〜51条、53条〜55条、58条、58条の4〜58条の7、58条の10、58条の14、58条の15、58条の17、59条、70条〜72条)の現行条文(昭和51年法律第57号。2026年8月12日施行の現行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」トップ・「特定商取引法とは」(取引類型ごとのクーリング・オフ期間の一覧) https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/確認日:2026年10月23日
- 条文特定商取引に関する法律施行規則 1条、2条、5条〜7条、10条、22条〜25条、37条、44条、46条、47条、78条、80条、92条、94条、106条、119条、121条、133条、134条の現行条文(昭和51年通商産業省令第89号。2026年5月21日施行の現行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
- 条文特定商取引に関する法律施行令 1条、2条、4条、17条、19条、24条、25条、29条、別表第四、別表第五の現行条文(昭和51年政令第295号。2026年6月1日施行の現行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295確認日:2026年10月23日
- 消費者庁通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日付。PDF頁で引用) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_2401119_01.pdf確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」Q&A「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/exclusion.html確認日:2026年10月23日
- 消費者庁通達の別添4「契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_240515_01.pdf確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」Q&A「特定商取引法における電磁的記録によるクーリング・オフに関するQ&A」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/coolingoff.html確認日:2026年10月23日
- 消費者庁通達の別添7「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_230421_7.pdf確認日:2026年10月23日
- 条文民法 139条、140条の現行条文(明治29年法律第89号) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」逐条解説(令和7年6月1日時点版)第2章第2節 訪問販売(9条の解説。書面を受領した日を含む8日、発信主義) https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20250601la03_03.pdf確認日:2026年10月23日
- 条文割賦販売法 2条、3条、4条、30条の4、30条の5、35条の3の13、35条の3の19の現行条文(昭和36年法律第159号。2025年6月1日施行の現行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000159確認日:2026年10月23日
- 条文消費者契約法 2条、4条、7条、9条、10条の現行条文(平成12年法律第61号。2026年6月24日施行の現行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061確認日:2026年10月23日
- 条文割賦販売法施行令 21条、26条、別表第一の三の現行条文(昭和36年政令第341号) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000341確認日:2026年10月23日
- 裁判例最高裁判所第三小法廷 平成29年2月21日判決(平成27年(受)第659号、民集71巻2号99頁)。裁判所「裁判例検索」の判示事項・裁判要旨を確認(確認の範囲:要旨のみ) https://www.courts.go.jp/hanrei/86517/detail2/index.html確認日:2026年10月23日
- 国民生活センター国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」(2026年8月5日公表。PIO-NET=全国消費生活情報ネットワークシステム) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260805_1.html確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」法令の解説・逐条解説(令和7年6月1日時点版)の一覧ページ https://www.no-trouble.caa.go.jp/law/r4.html確認日:2026年10月23日
よくあるご質問
用語集の意味は、法律の定義そのものですか。
条文に定義がある語(営業所等、特定顧客、電話勧誘販売など)は、条文の定義に沿って書いています。通称(特商法に基づく表記、最終確認画面など)や資料の名称は、法律の用語ではないと明記しています。判断に迷うときは、各語に付けた条文で原文を確認してください。
同じ語が類型ごとに別の条に出てくるのはなぜですか。
特商法は、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入の類型ごとに章や節を分け、似た規定をそれぞれに置いているためです。語を引くときは、先に取引の類型を決めてください。
条文の番号は、旧条番号でも同じですか。
改正で条番号や項が付け替えられた規定があります。このページの番号は、2026年10月23日時点の現行条文に合わせています。古い資料の条番号を使うときは、現行の条番号を確かめてください。
用語集にない語は、どこで調べられますか。
条文はe-Gov法令検索で、解説は消費者庁の特定商取引法ガイドの逐条解説とQ&Aで確認できます。本サイトの各ページの本文でも、初めて出る語はその場で意味を注記しています。
用語集の内容は、個別の取引の判断に使えますか。
語の意味と条文の所在を整理した一般的な情報です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、買い手の属性によって変わります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月23日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所