このページの要点
- 要件は、期間がエステ・美容医療は1月超、ほかは2月超、金額はいずれも5万円超(どちらも「超える」)
- 中途解約の上限は役務ごとに政令で決まり、四の項と五の項では金額が違う
- 関連商品も、クーリング・オフでは解除できる(使用・消費で解除できなくなるのは一部の商品に限る)
- 提供済み役務の対価は、契約時の単価で計算するのが原則。割引前の単価に戻す精算は無効とされた裁判例がある
結論:7業種は、期間・金額の要件と上限を表で確認する
このページの結論
- 誰に当てはまるか
- エステ・美容医療・語学・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介を、継続して提供する事業者
- 何をすべきか
- 自社の役務がどの項に当たるか、期間と総額が要件を超えるかを確かめ、当たるなら概要書面・契約書面・赤枠と中途解約の上限をそろえる
- 期限
- クーリング・オフは契約書面を受領した日から8日。8日経過後はいつでも将来に向かって中途解約ができる
特定継続的役務提供は、勧誘の場所・手段を問わず、政令で定める7つの役務を、政令で定める期間を超えて提供し、5万円を超える金銭を受け取る契約です(特商法41条1項・2項、施行令24条・25条・別表第四)[1][2]。消費者庁のガイドも、7つの役務と、期間・金額の要件を取引類型のページで示しています[4]。診断は30秒診断、全体の位置づけは特定継続的役務の記事にあります。
7つの役務の定義と、法律が求める性質
7つの役務は、施行令別表第四の第一欄に列挙されています。ただし、法律の41条2項は、特定継続的役務に共通の性質も定めています。身体の美化や知識・技能の向上など、心身や身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行われ、かつ、その目的が実現するかどうかが役務の性質上確実でないことです。
「役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの」
「役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの」
各項の判定は、役務の名前ではなく、定義に当てはまる施術・教授・紹介かどうかで行います[2][6]。通達も、複数のコースがあれば個々のコースごとに判断するとしています。
「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(二の項に掲げるものを除く。)」
「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであつて、主務省令で定める方法によるものに限る。)」
「語学の教授」
「同項に規定する場所以外の場所において提供されるものに限る」
「役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る」
「電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授」
「結婚を希望する者への異性の紹介」
7業種の期間・金額の要件と、中途解約の上限
特定継続的役務7業種の要件と中途解約の上限
| 項と役務 | 期間・金額の要件 | 中途解約の上限(提供開始後) | 提供開始前の費用の上限 | 詳しいページ |
|---|---|---|---|---|
| 一の項 エステティック | 期間が1月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 2万円又は契約残額の10%のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 2万円(施行令31条、別表第四) | エステ |
| 二の項 美容医療 | 期間が1月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 2万円(施行令31条、別表第四) | 美容医療 |
| 三の項 語学の教授 | 期間が2月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 1万5千円(施行令31条、別表第四) | 語学教室 |
| 四の項 学力の教授・家庭教師型 | 期間が2月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 5万円又は1月分の役務の対価のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 2万円(施行令31条、別表第四) | 学習塾・家庭教師 |
| 五の項 学力の教授・学習塾型 | 期間が2月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 2万円又は1月分の役務の対価のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 1万1千円(施行令31条、別表第四) | 学習塾・家庭教師 |
| 六の項 電子計算機・ワープロの操作の教授 | 期間が2月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 1万5千円(施行令31条、別表第四) | パソコン教室 |
| 七の項 結婚相手の紹介 | 期間が2月を超え、かつ金額が5万円を超える(施行令24条1項・2項、別表第四) | 2万円又は契約残額の20%のいずれか低い額(施行令30条、別表第四) | 3万円(施行令31条、別表第四) | 結婚相談所 |
四の項と五の項は、上限の金額が違うため別の行にしています。要件は「期間が政令の期間を超え、かつ金額が5万円を超える」で、いずれも『超える』です(特商法41条1項、施行令24条)。
中途解約の上限は、8日経過後に役務を将来に向かって解除したとき、事業者が請求できる損害賠償額の上限です(49条2項)。提供開始後は「提供された役務の対価」に加えて、表の上限の額までが請求の限度で、開始前は表の費用の額までです[1]。
「政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額を超える金銭を支払うことを約する契約」
契約書面に記載する「金銭の額」は、次のように費目ごとの明細と合計で書きます(施行規則94条1項)[3]。
「入学金、入会金、授業料その他の役務の対価、施設整備費、入学又は入会のための試験に係る検定料、役務の提供に際し役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品の価格その他の費目ごとの明細及びその合計」
期間と総額の数え方:確認できた資料の整理
| 場面 | 数え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 入会金・教材・関連商品がある | 金額の要件(総額)には、入会金・施設利用料・カウンセリング料のほか、購入が必要な商品の代金も含めて数える。「役務は無料」と称しても、抱き合わせの商品と合計して要件を超えれば対象になりうる[6][5] | 通達 第4章(PDF82〜83頁)、Q&A Q19〜Q21 |
| 期限のあるチケット・会員権 | 有効期限を役務の提供期間とみなす | Q&A Q3[5] |
| 期限のないチケット・会員権 | いつでも使えるため、常に政令の期間を超えるものとして扱う | Q&A Q3[5] |
| 月謝制の学習塾 | 1か月単位で更新される契約は原則として対象外。ただし教材販売の拘束などの実態によっては、期間を超えて拘束されると判断されて対象になりうる | Q&A Q27[5] |
| 複数のコースがある | 個々のコースごとに判断する。パソコン教室は、他の教授と一体不可分なら全体が、分割できるなら該当部分だけが対象になる | 通達 第4章(PDF83〜85頁)[6] |
| 期間の暦への当てはめ | 期間は暦で判断し、初日を算入して数える例が示されている(エステで1月1日〜31日は1月以内、4月1日〜5月1日は1月超) | 通達 第4章(PDF82〜83頁)[6] |
どの場面でも、「必ず対象外」と決めつけず、先に期間と総額を確定します。
関連商品(施行令別表第五)
関連商品(施行令別表第五)
| 項と役務 | 関連商品として指定されている商品 |
|---|---|
| 一の項 エステティック | 動植物の加工品で人が摂取するもの(医薬品を除く)、化粧品・石けん(医薬品を除く)・浴用剤、下着、電気刺激・電磁波・超音波を用いて皮膚を清潔にし又は美化する器具・装置(施行令別表第五第一号) |
| 二の項 美容医療 | 動植物の加工品で人が摂取するもの、化粧品、歯牙漂白用のマウスピース・漂白剤、美容目的の医薬品・医薬部外品(施行令別表第五第二号) |
| 三の項 語学の教授 | 書籍、音・影像・プログラムを記録した物、ファクシミリ装置・テレビ電話装置(施行令別表第五第三号) |
| 四の項 学力の教授・家庭教師型 | 書籍、音・影像・プログラムを記録した物、ファクシミリ装置・テレビ電話装置(施行令別表第五第三号) |
| 五の項 学力の教授・学習塾型 | 書籍、音・影像・プログラムを記録した物、ファクシミリ装置・テレビ電話装置(施行令別表第五第三号) |
| 六の項 電子計算機・ワープロの操作の教授 | 電子計算機・ワードプロセッサーとその部品・附属品、書籍、音・映像・プログラムを記録した物(施行令別表第五第四号) |
| 七の項 結婚相手の紹介 | 真珠・貴石・半貴石、指輪その他の装身具(施行令別表第五第五号) |
関連商品のうち、使用・消費で価額が著しく減少するおそれのあるものを使用・消費した場合は解除できない。対象は別表第五第一号イ・ロ及び第二号に限る(事業者が使用・消費させた場合は除く)(特商法48条2項ただし書、同法施行令29条2項)
関連商品とは、役務の提供に際して役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品として、政令で定めるものです(48条2項)。クーリング・オフでは、役務提供契約だけでなく、関連商品の販売契約も解除できます。ただし、使用・消費で解除できなくなる関連商品は、次のとおり一部に限られています。
「法第四十八条第二項ただし書の政令で定める関連商品は、別表第五第一号イ及びロ並びに第二号に掲げる関連商品とする」
「第一項の表第二号の下欄に掲げる事項及び前項に掲げる事項は赤枠の中に赤字で記載しなければならない」
関連商品の解除後の精算は、クーリング・オフでは請求できる金銭がありませんが、中途解約の場合は、関連商品が返還されたときは通常の使用料相当額(販売価格から返還時の価額を差し引いた金額のほうが大きいときは、その金額)、返還されないときは販売価格相当額までが上限とされています(49条6項)[1]。この上限の考え方を使った裁判例も、後の節で紹介します。
中途解約の上限の計算例と、精算をめぐる裁判例
「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」
「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」
中途解約の上限は、次の設例のように、役務の対価の総額、提供済みの役務の対価、契約残額から計算します。設例の金額は、仕組みを示すための仮の数字で、実際の契約の金額を示すものではありません。
- 一の項(エステティック):総額30万円の契約を、提供開始後に中途解約し、提供済みの役務の対価が10万円だったとします。通常生ずる損害の額の上限は、契約残額(30万円−10万円=20万円)の10%は2万円で、2万円と比べて低い額の2万円です。事業者が請求できる額の上限は、提供済みの役務の対価10万円に2万円を加えた12万円です(特商法49条2項1号、施行令30条・別表第四)。
- 三の項(語学の教授):総額40万円の契約を、提供開始後に中途解約し、提供済みの役務の対価が10万円だったとします。通常生ずる損害の額の上限は、契約残額(40万円−10万円=30万円)の20%は6万円で、5万円と比べて低い額の5万円です。事業者が請求できる額の上限は、提供済みの役務の対価10万円に5万円を加えた15万円です(特商法49条2項1号、施行令30条・別表第四)。
- 五の項(学力の教授・学習塾型):総額12万円の契約を、提供開始後に中途解約し、提供済みの役務の対価が4万円だったとします。通常生ずる損害の額の上限は、1月分の役務の対価2万円と2万円を比べて低い額の2万円です。事業者が請求できる額の上限は、提供済みの役務の対価4万円に2万円を加えた6万円です(特商法49条2項1号、施行令30条・別表第四)。
- 一の項(エステティック):総額30万円の契約を、役務の提供を始める前に解除したとします。事業者が請求できる額の上限は、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として政令で定める2万円です(特商法49条2項2号、施行令31条・別表第四)。提供済みの役務の対価はまだ生じていないため、それを加えることはありません。
中途解約の上限のうち、実務で争いになりやすいのは「提供済みの役務の対価」を何の単価で計算するかです。確認できた裁判例は語学教室と家庭教師の事案に限られ、エステ・美容医療・結婚相手紹介・パソコン教室・学習塾の上限を直接判断した裁判例は、裁判所の裁判例検索では確認できませんでした。以下はいずれもその裁判所の判断で、上級審の結果が確認できていないものを含みます。
裁判例割引単価ではなく契約時の単価で精算すべきとした例(最高裁)[7]
- 裁判所・判決日
- 最高裁判所第三小法廷 平成19年4月3日
- 事件番号
- 平成17年(受)第1930号(民集第61巻3号967頁)
- 確認した場所と範囲
- 裁判所「裁判例検索」 https://www.courts.go.jp/hanrei/34469/detail2/index.html(確認の範囲:要旨のみ(判示事項・裁判要旨・判例集欄。判決書本文の逐語は未確認)。確認日:2026年10月23日)
事案の要旨外国語会話教室の受講契約(ポイントを前払いで登録し、1ポイントで1回の授業。登録ポイントが多いほど単価が安い)を受講開始後に解除した受講者が、規定に基づく精算金の返還を求めた事案です。
判断の要点精算規定が、使用したポイントに「使用ポイント数以下で最も近い登録ポイント数に対応する(高い)単価」を掛けて使用済み分の対価を算定するもので、契約時の単価で算定する場合より常に高額になるため、49条2項1号の額を超える金銭の支払を求めるものとして無効とされました。結論は上告棄却です。
事業者の実務への示唆中途解約の精算条項で、提供済み役務の対価を契約時と異なる高い単価で計算する設計は、法定の上限を超える請求として無効になりえます。
裁判例割引前の単価に戻す精算を、実質的な違約金として無効とした例[8]
- 裁判所・判決日
- 京都地方裁判所 平成18年1月30日
- 事件番号
- 平成17年(ワ)第784号
- 確認した場所と範囲
- 裁判所「裁判例検索」 https://www.courts.go.jp/hanrei/6676/detail4/index.html(確認の範囲:全文。確認日:2026年10月23日)
事案の要旨外国語教室の受講契約(150ポイント、レッスン料総額約29万円、有効期限3年)を中途解約した受講者が、既払金の返還を求めた事案です。教室の規定は、消化済み受講料を、契約時の単価ではなく、使用ポイント数以下で最も近いコースの単価で算定するものでした。
判断の要点前払金の授受の時点で役務の単価が定められていた場合、提供済み役務の対価は原則として契約時の単価で算定すべきで、合理的な理由なく受講者の負担が増える単価を使うのは、実質的に違約金を請求するものとして49条2項1号の趣旨に反し、49条7項により無効としました。数量割引制度の維持や他の受講者との公平は、異なる単価を使う合理的な理由にならないとしています。事業者の損害は、同号ロの「通常生ずる損害の額」(上限あり)で対処すべきだとしました。
事業者の実務への示唆割引制度のあるスクールで「割引前の単価に戻して精算する」設計は、無効とされるリスクが高いといえます。
裁判例手数料の上限を残額の割合と金額の上限の関係で整理した例[9]
- 裁判所・判決日
- 東京地方裁判所 平成17年2月16日
- 事件番号
- 平成16年(ワ)第25621号
- 確認した場所と範囲
- 裁判所「裁判例検索」 https://www.courts.go.jp/hanrei/5508/detail4/index.html(確認の範囲:全文。確認日:2026年10月23日)
事案の要旨外国語会話教室で前払いをした受講者が、中途解約をして、約款の精算規定による控除の無効と精算金の支払を求めた事案です。
判断の要点前払時に単価が定められていた場合、提供済み役務の対価は前払時の単価で算定するのが原則で、約款が最大で約1.9倍の高い単価を使うのは、中途解約権の行使を必要以上に制約するとして、控除できる額を制限しました。事業者が挙げた他の受講者との公平などの主張は採りませんでした。中途解約の手数料は、その事案の金額関係から、金額の上限が基準になると整理されています。
事業者の実務への示唆手数料は「契約残額の割合」と「金額の上限」のいずれか低い額という二段の上限で決まります。当時の金額は、現行の施行令・別表第四で確認が必要です。
裁判例クーリング・オフは不成立でも、中途解約と関連商品の解除を認めた例[10]
- 裁判所・判決日
- 名古屋簡易裁判所 平成15年10月10日
- 事件番号
- 平成15年(ハ)第973号
- 確認した場所と範囲
- 裁判所「裁判例検索」 https://www.courts.go.jp/hanrei/7607/detail4/index.html(確認の範囲:全文。確認日:2026年10月23日)
事案の要旨家庭教師派遣の勧誘で自宅を訪問した社員が、教材の売買契約をローンで結ばせた事案です。保証会社が代位弁済し、購入者に求償を請求しました。
判断の要点契約書の控えにクーリング・オフの手続が書かれていたため、8日経過後の内容証明はクーリング・オフとしては無効とされました。しかし、家庭教師派遣は特定継続的役務、教材は関連商品に当たるとして、通知の趣旨に将来に向かって契約を終わらせる意思が含まれると読み、中途解約の効力を認めました。
事業者の実務への示唆クーリング・オフの期間が過ぎても、中途解約と関連商品の解除は別に働きます。通知の文面は、趣旨が柔軟に読まれます。
裁判例関連商品の精算に、使用の実態と返還時の価値を使った例[11]
- 裁判所・判決日
- 東京簡易裁判所 平成16年12月22日
- 事件番号
- 平成16年(ハ)第965号
- 確認した場所と範囲
- 裁判所「裁判例検索」 https://www.courts.go.jp/hanrei/8990/detail4/index.html(確認の範囲:全文。確認日:2026年10月23日)
事案の要旨家庭教師派遣契約と教材(約52万円)の売買契約を信販会社の立替払いで結んだ保護者が、家庭教師の辞退を契機に契約を解除し、信販会社が残りの割賦金を請求した事案です。
判断の要点教材はすべて関連商品と認定され、中途解約・解除の確定的な意思表示が認められました。精算は、関連商品の解除について事業者が請求できる上限を定めた49条6項1号を類推適用し、通常の使用料相当額か、販売価格から返還時の価額を引いた額のうち高い方を基準としました。
事業者の実務への示唆関連商品の返品・精算は、使ったか否かと返還時の価値で金額が変わります。クレジットを使った場合は、信販会社にも解除を主張されうる点に注意が必要です。
7業種に入るか:周辺サービスの扱いと、相談・処分の動向
パーソナルジム・占い・コーチング・オンライン講座は、別表第四の一〜七の項のどれにも当然には当たりません。たとえばジムは、痩身を目的に体型を整え・体重を減ずる施術を併設・広告するなら一の項に当たる可能性があり、パソコン教室は教授の内容が六の項(電子計算機・ワードプロセッサーの操作に関する教授)に当たるかで決まります。当てはまるかどうかは、役務の実態で判断し、「当たらない」と決めつけません。サービスごとの整理はパーソナルジム、パソコン教室、コーチングのページにあります。
公的資料で7業種の周辺をみると、いずれも契約の中身が複雑になりやすい分野です。国民生活センターの美容医療の相談(美容医療サービス全体)は、PIO-NET(経由相談を除く)で2023年度6,281件、2024年度10,744件、2025年度7,944件です[12]。パーソナルトレーニングの相談は、2021年度の495件から2025年度の1,457件まで増えており、長時間の勧誘、エステやサプリなど関連商品・サービスの勧誘、中途解約時の精算の複雑さが問題点として挙げられています[13]。この資料はトレーニング指導が7業種に当たるかを述べておらず、該当性は役務の実態で別に判断します。
脱毛エステについて、2021年12月に公表された資料は、2016年度に2,851件、2017年度に4,916件、2018〜2020年度は毎年約2,900件前後の相談があり、そのうち解約が関わる割合は46.4%から61.0%の間(約5割前後)だったとしています[14]。事例には、「永久保証」と説明された契約が、有償は期間1年・5回までで、6回目以降は無償という構造だったため、1回の施術後に解約したら高額の請求が生じたというものがあります。通い放題のコースで有償部分が少なく無償部分が多いと、精算の基準が分かりにくくなります。事業者側が防ぐには、有償の期間・回数と単価を契約書面に明示し、広告の表現と実際の有償部分を合わせることです。
結婚相手紹介サービスは、2017年10月公表の資料(古い資料です)で、親が関与する相談の件数が2012年度の783件から2016年度の549件まで減る一方、家庭訪問・電話勧誘がきっかけの割合は43.9%から、2017年度(9月末まで)の52.2%に上がっています[16]。親名義の契約や、国際結婚の成婚料の事前説明なしの請求などの事例があり、契約当事者本人への説明と、費用の事前の明示が課題になります。
行政処分では、令和8年1月29日付で消費者庁が、エステの契約で関連商品販売契約を含む解除に関する事項について不実のことを告げたこと(44条1項)、契約を断る意思を示した者に迷惑を覚えさせる勧誘をしたことなどを理由に、業務停止命令(3か月)を出しています[15]。「定期購入の商品なので契約回数が終わるまで解約できない」と告げた経過が挙げられており、関連商品の解除ができる範囲を契約書面の赤枠で正しく示す必要があることが分かります。
各項の詳細は、エステ、美容医療、語学教室、学習塾・家庭教師、パソコン教室、結婚相談所のページで扱います。中途解約の計算は中途解約と上限、判例の整理は中途解約の判例にあります。業種サイトでは、エステの特定継続的役務の記事、学習塾のクーリング・オフの記事、Zoom個別相談の記事も参考になります。
根拠・出典
本文の[1][2]などの番号は、この一覧の番号に対応しています。
- 条文特定商取引に関する法律41条、48条、49条。e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057確認日:2026年10月23日
- 条文特定商取引に関する法律施行令24条・25条・29条・30条・31条・別表第四・別表第五。e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295確認日:2026年10月23日
- 条文特定商取引に関する法律施行規則91条・94条。e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」特定継続的役務提供 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁「特定商取引法ガイド」特定継続的役務提供に関するQ&A(Q3・Q19〜Q21・Q27) https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/continuousservices.html確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁・経済産業省「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日付。第4章 PDF82〜86頁) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_2401119_01.pdf確認日:2026年10月23日
- 裁判例最高裁判所第三小法廷 平成19年4月3日判決(平成17年(受)第1930号、民集61巻3号967頁)。裁判所「裁判例検索」(判示事項・裁判要旨のみ確認) https://www.courts.go.jp/hanrei/34469/detail2/index.html確認日:2026年10月23日
- 裁判例京都地方裁判所 平成18年1月30日判決(平成17年(ワ)第784号)。裁判所「裁判例検索」(全文を確認。上級審の結果は未確認) https://www.courts.go.jp/hanrei/6676/detail4/index.html確認日:2026年10月23日
- 裁判例東京地方裁判所 平成17年2月16日判決(平成16年(ワ)第25621号)。裁判所「裁判例検索」(全文を確認。上級審の結果は未確認) https://www.courts.go.jp/hanrei/5508/detail4/index.html確認日:2026年10月23日
- 裁判例名古屋簡易裁判所 平成15年10月10日判決(平成15年(ハ)第973号)。裁判所「裁判例検索」(全文を確認) https://www.courts.go.jp/hanrei/7607/detail4/index.html確認日:2026年10月23日
- 裁判例東京簡易裁判所 平成16年12月22日判決(平成16年(ハ)第965号)。裁判所「裁判例検索」(全文を確認) https://www.courts.go.jp/hanrei/8990/detail4/index.html確認日:2026年10月23日
- 国民生活センター国民生活センター「美容医療」(相談の件数や傾向。2023年度6,281件、2024年度10,744件、2025年度7,944件。経由相談を除く。2026年7月31日更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html確認日:2026年10月23日
- 国民生活センター国民生活センター「パーソナルトレーニングに関する契約トラブル」(2026年10月7日公表。2021年度495件〜2025年度1,457件) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20261007_1.html確認日:2026年10月23日
- 国民生活センター国民生活センター「脱毛エステ」の相談(2021年12月23日公表。古い資料) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20211223_1.html確認日:2026年10月23日
- 消費者庁消費者庁 特定継続的役務提供の事業者に対する行政処分(令和8年1月29日付。公表資料) https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_260130_01.pdf確認日:2026年10月23日
- 国民生活センター国民生活センター「結婚相手紹介サービスの、親への訪問や電話勧誘にご注意ください」(2017年10月19日公表。古い資料) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20171019_1.html確認日:2026年10月23日
よくあるご質問
4月で5万円ちょうどの語学教室は対象ですか?
金額が5万円ちょうどだと、「5万円を超える」という要件を満たしません(施行令24条2項)。期間が2月を超えていても、総額が5万円を超えなければ、特定継続的役務提供には当たりません。入会金や教材費などを含む総額で判断します。
学習塾と家庭教師は、なぜ別の行ですか?
役務を提供する場所で分かれ、中途解約の上限の金額が違うためです。事業者が用意する場所で提供するのが五の項(学習塾型)、それ以外の場所で提供するのが四の項(家庭教師型)です(施行令別表第四)。
関連商品はすべてクーリング・オフで解除できますか?
別表第五に掲げる商品が関連商品です。使用・消費で価額が著しく減少するおそれのある商品を使用・消費したときは解除できなくなりますが、対象は別表第五第一号イ・ロと第二号に限られ、事業者が使用・消費させた場合は除かれます(48条2項ただし書、施行令29条2項)。
8日が過ぎたら、中途解約を断れますか?
断れません。8日経過後も、将来に向かって特定継続的役務提供契約を解除できます(49条1項)。事業者が請求できる損害賠償等は、提供された役務の対価に、表の上限の額までを加えた範囲に限られます(49条2項)。
月額制なら対象外ですか?
決めつけられません。消費者庁のQ&Aは、月謝制の学習塾は原則として対象外としつつ、教材販売の拘束などの実態によっては該当しうると説明しています。期間や総額が判定できないときは、先にそれを確定してください。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、勧誘された場所や手段、申込みの方法、役務の内容と期間・金額、購入者の属性によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月23日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 国民生活センター / 裁判所